論文:  基礎理論

「弁証法論理と生き方」(ノート)(第二部)

中川徹の6箱方式へのコメント

高原利生   (高原利生ノート 2015-2)

『TRIZホームページ』投稿論文、
受理 2015年 8月10日、掲載 2015年11月13日

掲載:2015.11.10

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編集ノート (中川 徹、2015年11月 9日)

これは高原利生さんの最新の三部作の第二部です。合計55頁の力作を、読みやすさに配慮して三部に分割して、8月に提出されたものです。三部作の構成の概略は下表のようです。

第一部: 粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート    1. はじめに: 目的と概要 
2. 準備: 粒度、オブジェクト、矛盾
3. 本論 1: 根源的網羅思考
第二部: 中川徹の6箱方式へのコメント    4. 本論 2:  矛盾と解
第三部: 弁証法論理の応用展開ノート   5. 本論 3: 生き方、認識と変更の統一的理解
6.本論 4:人類の歴史と未来
7. 結論と今後の課題
謝辞
参考文献

この第二部は、第一部での基本概念の導入をベースにして、「差異解消」のプロセスの一部始終を論理的に厳密に解明しているものです。高原さんのいう「矛盾の状況確認」は問題を捉えることであり、「事実の矛盾」を明確にすることは、問題のある現在の状況を分析することです。そして「解の矛盾へ変換する」というのは、理想を考え、「解決した結果」を定式化することです。「解の矛盾の解を求める」とは、「解決した結果」を実現するための方法を求めることに相当します。

このようにして高原さんが積み上げてきたものが、「気がついたら中川徹の6箱方式(2005年)と同じことを言っていた」というのです。私の「TRIZのエッセンス(英語による50語の表現)」(2001年)と「6箱方式」について、評価し採り入れてもらっているのは、嬉しいことです。私は、きっと近い将来に、「USITオペレータ体系」も高原理論の中の重要な要素になることと期待しています。

ともかくこの第二部が「差異解消」の方法に関する高原理論の中核部分であり、新しい「弁証法論理」を記述しているものです。第三部はそれを、人間の生き方、認識と行動から、人類の文化(技術と制度)の歴史などにまで応用して適用していっているわけです。

 

本論文(第二部)の目次は以下のようです。

中川徹の6箱方式へのコメント   (2015年8月の高原利生三部作「弁証法論理と生き方」(ノート)の第二部)

概要

4. 本論 2:  矛盾と解

  4.1 矛盾の状況確認

  4.2 事実の矛盾1: 客観的時間空間粒度確定

  4.3 事実の矛盾2:客観的属性粒度確定

  4.4 事実の矛盾から解の矛盾 (差異解消矛盾) へ変換

  4.5 解の矛盾の解を求める

4.5.1 解を求める
4.5.2 TRIZの40の発明原理

  4.7 根本原理と解を実現するオブジェクト操作の+−×÷による表現

結論と課題

謝辞

参考文献

 

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中川徹の6箱方式へのコメント

(高原利生ノート 2015-2)

A Comment on ‘Six-Box Scheme’ by Nakagawa

(Takahara Note 2015-2)

高原 利生
TAKAHARA Toshio

『TRIZホームページ』投稿論文、受理 2015年 8月10日、掲載 2015年11月13日

 

概要(高原「論文解題」より)

本稿は、「粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート」 [THPJ201501] 3章までを受け、弁証法論理についての試論として中川徹の6箱方式の一部についてのコメントを述べる。

中川徹の「TRIZのエッセンス」は、技術に限定された表現になっているが全ての領域に拡張できる。中川徹の6箱方式の矛盾による根拠を述べ、粒度の重要性をコメントで追加した。この二つが弁証法論理のエッセンスであると考える。

本文にも書いたことだが、[34] “粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート: ノート2015-1”で、粒度、オブジェクト、論理的網羅という最小の基本概念で、新しい弁証法論理を作ろうとして、その一部が、気が付いたら、中川徹の6箱方式と同じになっていた。6箱方式は2005年に発表されたもので、当時、読んで「当たり前」だと誤解していたことを中川先生にお詫びしなければならない。

本稿に、多少、新しい内容がある。

中川徹の6箱方式が、認識と事実変更に共通の方法であり、事実の矛盾と解の矛盾という矛盾の統一的原理的理解による単純な方法であり、それゆえ豊かであること示した。

但しこれは、中川徹の6箱方式についての高原のその根拠の理解とコメントに過ぎず、中川徹の6箱方式そのものではない。

中川徹の6箱方式は、本稿で触れた以上に豊富な内容がある。本稿は、中川徹の6箱方式を、やや単純化してとらえ過ぎているところがある。事実の矛盾を、機能について単純化して限定し、解の矛盾を解くのを、機能と構造の矛盾を解くことに限定しているところなどである。

発明原理のうち、「追加」の三つ(オブジェクトの追加、分割、既存の二項または分割した二項の運動の生成)、「新しい機能」の三つ(転用、汎用性、セルフサービス)、「新しい構造」の二つ(入れ子、仲介(媒介、間接化))を根本的発明原理とした。(「追加」の二つ(40の発明原理に、「追加」の二つ(オブジェクトの追加、既存の二項または分割した二項の運動の生成)、「新しい機能」の一つ(転用)を、追加している)

 

4. 本論 2:  矛盾と解  [TS2006-12] [THPJ2012] [CGK2014]

本稿は、「粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート」 [THPJ201501] 3章までを受け、弁証法論理についての試論として中川徹の6箱方式の一部についてのコメントを述べる。

生き方は、
    1. 普通、無意識の、態度に影響する事実と未来像についてのモデルである世界観、
    2. 普通、無意識の、価値に規定される事実に対する態度、
    3. 普通、無意識の、事実を認識し変更する単位である粒度特定、
    4. やや意識的なオブジェクトについての論理,方法
の四つの全体である。

粒度は、物事を知覚し認識し変更する単位である。

まず、態度と粒度特定を意識的に行うことを求める。

生き方生きることを決める。生きて、認識と変更を行い、人類の存続に関わる大きな課題解決から日常の労働や生活の小さな課題解決により価値実現をする。

図4.1 生き方

 

分かっていることより分かっていないことのほうが圧倒的に多い。今まで人の書いたことの全体よりも分かっていないことが圧倒的に多い。何が分かっていないかこそ書くべきだと思っているので、整理できてないままの形でなるべくそれを書くようにした。

思考経過もなるべく分かるようにしたい。今考えることは、論理的に網羅されたものの中のどれであるか、それを選ぶ理由は何かを分かるようにするのが良いと思っている。そのため数字を冠した箇条書きを、論理的網羅を示すために多用している。目次と混同し見づらいがご容赦いただきたい。また、各項単独で読め、全体では更によく読めるように心がけた。そのため重複が多い。

理論は必ず未完である。理論は完成したと読者に思わせてはならない。なるべく、著者のその意図が分かるようにしたい。これは未熟な論理であることの言い訳と見分けが付かない気がするが、とにかく、議論は本稿で閉じず開いたまま未完で終わる。

今回の一連のノートは、以上を意識して書いたはじめてのものである。

 

過去の発表と本稿と異なる場合、本稿を優先する。

本文中、著者名に敬称は省略する。デカルトさんとかデカルト氏と言わない。
   青字は既述と引用を示す。[引用文献 改]の「改」は、当該文献の内容をやや改めたことを示す。
   緑字は例を示す。
    下線は主な課題を示す

 

「粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート」を受け、4章は、結果として中川の「TRIZのエッセンス」と6箱方式の二つが弁証法論理の本質を示していることに気付き、この一部へのコメントになった。今まで、淡々と論理を積み上げたつもりでいた。最小限のオブジェクト、粒度、矛盾、論理的網羅で、淡々と論理を展開していたある日、それまでの展開が中川の6箱方式とほぼ同じものになっていることに気付いたというわけである。今まで中川の6箱方式 [NKGW2005] を理解していなかったことになる。

中川の6箱方式は、解決過程の中の6つの箱の状態を表現し、弁証法論理の中核をなす重要な提案である。

おこがましいが、4章までは中川の「TRIZのエッセンス」と6箱方式の根拠とコメントを述べたことになった。

図4.2 中川の「TRIZのエッセンス」 [THPJ]

 (中川による貴重な説明を、2015.04.15にいただいた。

「『TRIZのエッセンス』の誕生にはつぎのような背景があります。2001年3月のTRIZCONでの発表の際に、当時世界の多くの人が「TRIZは高度で、膨大な知識ベースを持ち、だから簡単には分からなくてもしかたがない」と考えていたのに対して、「日本ではTRIZをもっとやさしく導入しようと努力している。TRIZの本当のエッセンスはもっとやさしいものだ」と言いたくて1枚のスライドに作ったものです。その内容は、Y. SalamatovのTRIZ教科書(V. Souchkovによる英語版)を監訳したことが最も大きな影響を与えていると思っています。その後、同年5月にこのエッセンスのきちんとした説明を書き、和・英で『TRIZホームページ』に掲載しましたが、それは実は同年11月のETRIA TFCでの発表論文の一つの章を、学会に先行して発表したものでした。」)

「TRIZのエッセンス」で、中川は次のように述べる、

「TRIZにはつぎの三つの側面がある。
    方法論 (a): 技術を見る新しい見方、
    方法論 (b): 問題解決の思考方法、
    知識ベース: 方法論(a)を実装する事例集。
この見方によれば, TRIZのエッセンスを方法論(a) と方法論(b) との中から見つけるべきことが明瞭になる。」 [THPJ] [TS2009]

この表現は、扱う範囲を技術に限定している。しかし、中川の「TRIZのエッセンス((英語で)50語の表現)」は、本来、全領域に拡張できる弁証法論理の骨子である。

「方法論 (a): 技術を見る新しい見方」を態度とし、「方法論(b) : 問題解決の思考方法」を論理,方法として、本稿は(a) (b)の全体を「生き方」に拡張してとらえる。

「TRIZのエッセンス(50語の表現)」の「矛盾」が6箱方式 [NKGW2005] における「問題」であると思う。

本稿では、その矛盾を、事実の矛盾と解の矛盾に区別して扱う。つまり、事実の矛盾とその解のためのオブジェクト操作の関係である。これらは、認識、変更という違いがあるが、矛盾という点で同じなので、展開する論理が似てくる。

まず、事実の矛盾は項−関係−項とその外部に関する。これに「問題」があり変更の必要があると分かったら、この四つのいずれかを変更しなければならない。その変更は必ずこの四つによる事実の矛盾という運動とは別の運動である。これが解の矛盾である。

扱う領域が、技術、制度のどちらかということは本質的に問題にならない。操作するオブジェクトが、もの、観念(特に共同観念)であるかは問題であるが、技術、制度のどちらにも両者があるからである。

 

中川の6箱の箱と箱の間に五つの過程;問題の定義、問題の分析、アイデア生成、解決策作成、実現の5つがある。 [NKGW2005]

中川の「問題の定義」が 4.1矛盾の状況確認に当たる。

ここで状況を確認し解への態度を決める。以下の検討が進むにつれ、取り敢えず解が一つ見つかれば良いのか、複数の解から一番良い解を見付けたほうが良いのかなどが分かってくる。後の過程が前に遡って影響するのは全ての過程に当てはまる。

中川の「問題の分析」とは、4.2、4.3 事実の矛盾を理解することである。

解の粒度は矛盾の粒度に依存する。矛盾の粒度は把握する事実の粒度に依存する。つまり、事実をどのような粒度、つまり空間時間、価値(に規定された属性)で把握するかで矛盾と解は異なる。

矛盾の時間空間の各粒度に、1. 客観的時間空間の粒度と、2. ある客観的時間空間の粒度内のオブジェクト世界内、オブジェクト世界外という二段階がある。オブジェクト世界内外は、主観的に人が決めるものである。

事実の客観的時間空間、属性の粒度は、事実の矛盾確定の時に4.2、4.3で定め、解の客観的時間空間、属性の粒度は、解の確定の時 4.5で定める。

 

4.2で「何のいつの」空間時間範囲の矛盾か、次いで4.3で「どのような」属性,機能,構造の矛盾かを絞り込む。

   4.2 事実の矛盾1:時間空間、いつの何の矛盾かの確定。
   4.3 事実の矛盾2:客観的属性(機能と構造)、どのような矛盾かの確定。

この順は逆の方が良い場合もある。まず価値から属性を定め、次に空間時間を求める逆の 4.2 と 4.3 を入れ替えた案もある。

どちらも空間時間、属性をお互いに相互作用しつつ絞り込んで決め最終的にある粒度に収束する。

認識のみの場合、これで終わり正確な認識ができた。法則の認識の場合、粒度と網羅の矛盾の中の型の認識が特に必要となる。

変更の場合、次がある。

 

中川の「アイデア生成」は、4.4 事実の矛盾を解の矛盾に変換すること、「解決策構築」は、4.5 解の矛盾を解くことである。

    4.4 事実の矛盾から解の矛盾への変換:差異解消矛盾。
    4.5 解の矛盾を解く:両立矛盾を解く。

    a) 属性(機能と構造) のオブジェクト操作の型:矛盾を実現するためにどのように操作するか
    b) オブジェクト操作の対象の型:矛盾を実現するために何を操作するか

この事実の矛盾、解の矛盾の両者について、それぞれ、二つの粒度つまり時間空間と、属性,機能,構造に分ける。

現に起こっている不具合解決の場合でさえ、どの程度根本的な解を求めるか、それがどの程度時間空間範囲で有効かは解決すべきで相互作用はある。TRIZの古典的例題では相互作用はなくなるまで抽象化されている。

表4.1 粒度と網羅の矛盾、粒度内の空間時間と属性の矛盾

 

 

矛盾

粒度とオブジェクトの矛盾

オブジェクト内部の矛盾

粒度内部の矛盾

 

中川徹の
6箱方式

粒度と網羅

粒度と機能

粒度と構造

機能と構造

空間時間と属性

事実の矛盾


網羅的認識


網羅的認識


理解要


機能特定

問題の定義と分析、
システムの理解

解の矛盾に変換


粒度特定


機能特定

アイデア生成

解の矛盾の解


粒度特定


構造特定


構造特定


構造特定

解決策構築

 

図4.3 中川の6箱方式 [NKGW2005]

中川の6箱方式を、高原の、状態とその間の遷移、運動を対等に表す表示法 [FIT20041表示法] [TS2007]で表すと下図のようになる。

図4.4  中川の6箱方式の別表現

 

4.2 と 4.3 は全体として中川と同じものである。

4.4 と 4.5 は表現が異なるが、分け方も内容も中川と同じである。

中川の「実現」「ユーザーの具体的解決策」は高原に含まれない。しかしこれは、オブジェクトという情報の世界から事実の世界への変換で、重要で困難な過程である。

これを同様の表現で図にする。

図4.5 高原の矛盾と解表現

 

4.1 矛盾の状況確認

中川のコメント2015.04.15によれば「6箱方式では、この段階を「現実の世界」で、「現実世界の評価基準で」判断することを強調する。まず、問われているのはどのような解なのかを意識する。」

求める解の数と解の粒度は関係がある。解の数は、矛盾の時間空間の各粒度で異なる。客観的時間空間の各粒度で異なるだけではない。ある客観的時間空間の粒度内でも、オブジェクト世界内での解を求め、これで得られない場合、オブジェクト世界外をも探索して解を探る必要があり、オブジェクト世界内での解が得られた場合でも、オブジェクト世界外の探索でより「良い」解を得るかもしれない。

一般に解は無数にある。解への態度として、解の数について、
    1. 解を一つ求めればいい、
    2, 解をいくつか求める、
    3. 解を全てあるいはできるだけ多く求める、
    4. 最も「良い」解を求める
という態度がある。[OTW1992]

4.の最も「良い」解を求める場合、求められている「良い」解の基準も網羅しておく必要がある。どういう価値(属性)のための解なのか、根本的な解か、安価な解かなどである。良い解を求める場合、これらのどれとどれを加味して実際の基準を作るかを決める必要がある。基準の作り方は、まだ網羅されてない。

この前提の、解の有無について、
    5. 解があるまたはないことを証明する問題

(中川コメント2015.04.15:  「この記述は、あまりにも理論的(非実践的)である。実際には、「制約」をどのように設定するかであり、ある「制約設定」では有効な解が得られない時に、どのように制約をはずして考えられるかが問題になる」)

があり、解がない場合、
    6. 解はないが解に最も近いものを求める問題
がある
[OTW1992]

理想的には、あらゆる状況のあらゆる矛盾と解を求める。

通常は状況を判断し、どのような解を求めるのか、一つだけで良いのか、出来るだけ良い解を求めるのかを決める。

 

4.2 事実の矛盾1: 客観的時間空間粒度確定 [THPJ 201501]

(中川から下記のコメントをもらい2015.04.15採用した。

「(4.2, 4.3 に相当する「システムの理解」は)指定してあるような情報を獲得し・明示せよと言っているだけであり、その獲得の方法や順序には関与しない。時間空間を属性よりも先に分析する方が多くの場合にやりやすく、適切であるが、その順序に限定する必要はない」)

事実の認識の前提は両立矛盾の構造である。

    ・ 粒度とオブジェクトの矛盾 粒度と機能(属性)の矛盾と、粒度と網羅の矛盾
   ・ 粒度内部の空間,時間、属性の矛盾

の主と副の矛盾構造がある。これから入れ子構造をした制約充足問題に似た問題が出てくる。

第一の要件として、選ぶ粒度は網羅された中の一つでなければならない。その根本は、粒度とオブジェクトの矛盾の内の粒度と網羅の矛盾である。以下でも出てくるが、様々なオブジェクトに対して粒度と網羅の矛盾がある。

第二の要件として、何かおかしいと考える全てを把握しなければならない。

問題の一次近似を行い、機能(属性)を目標と考え、価値は、機能(属性)のみに着目すれば取り敢えず充分とする。

この時、事実の矛盾とは、何かおかしいと感じた時の、機能に関する全ての矛盾の集合である。

オブジェクトの空間,時間、属性は、本来同時に決まるものだが、粒度と網羅の矛盾を、粒度とオブジェクトの空間、時間の網羅の矛盾に簡易化する。実際にはここでは人の経験に依拠し、空間時間を意識したオブジェクトの名前を一つ一つ数え上げることになる。この段階ではまだ価値、機能は出てこない。

客観的時間空間の粒度は一般に簡単ではない。

過去の時間空間は、例えば宇宙の歴史,地球の歴史,社会の歴史,個人の歴史としてある。この扱いは簡単ではない。

矛盾の解が、どのくらいの範囲の将来に影響を与えるかは事前によくは分からず、さらに簡単ではない。

例: 建物の機能、構造は、何年使うかで決まる。
例: 修理に応急処置と根本的処置がある。
例: 何年先を見すえるかで、今やるべきことが変わる

技術の問題は客観的時間空間の粒度が比較的に定まっていて、解決しないといけないことははっきりしていることが多い。

糸と針の例では矛盾の客観的空間時間が定まっているところから問題が始まっている。

一般に、技術以外 (高原の用語での制度と、技術も制度も介さない人間の「問題」。技術も制度も介さない人間の「問題」は無視できるので、扱う領域は技術と制度である) では、何がそもそも「問題」なのか意識されることも難しいことが多い。客観的時間空間の粒度が定まっていないことが多い。このため客観的時間空間の粒度確定が困難で重要となる。

 

4.3 事実の矛盾2:客観的属性粒度確定 [THPJ 201501]

次に、粒度とオブジェクトの属性 (属性−機能−目的−価値) の網羅の矛盾がある。この段階で価値、機能が登場する。これが、より困難である。

取り敢えずの問題は、この属性を何が決めるのかということである。

属性を選ぶ時、この粒度を広げた、属性−機能−目的−価値、さらに価値に対する態度という系列から任意に選んで良い [THPJ201501]価値はその人その時に固有のものであるから。但し全体の価値の体系の中の誰のいつのどのようなものかを意識する。これが取り敢えず、網羅の代わりである。

価値は、
   第一に、多くの場合、無意識の行動の原動力となる。
   また、第二に、無意識に、行動の目的を決めてしまう。行動の結果は、目的を規定する価値、論理、実際の行動の有効さの全体で決まる。日常の問題では、問題の領域が制度の場合、結論は、論理の「正しさ」よりも価値の粒度 (誰のどのような時間のためという空間時間の範囲、属性) に実質的に殆ど依存する。
    第三に、無意識に、その重要さにより実現の優先度を決める。
    第四に、行動や法則の結果の正しさの検証のために重要である。しかし、無意識に行われる行為の検証は行われないことが多い。

価値を意識すること、常に見直しを続けることが重要である。

 

4.2 客観的空間時間の粒度と相互作用して 4.3 (広義の) 矛盾の属性が決まる。(広義の)属性は、(狭義の)属性と内部構造である。

まず価値から属性を定め、次に空間時間を求める案もあり得る。この場合4.2と4.3が順番を変える。どちらも空間時間、属性をお互いに相互作用しつつ絞り込んで決め最終的にある粒度に収束する。

結果として、理想的理論的には無数の、実際には、ほどほどの数の関係命題の主部と述部ができる。これが矛盾の認識である。

図4.6 針より短くなった糸を止める方法の中川の6箱表現 [THPJ]

例:中川・下田の「針より短くなった糸」の問題

糸の結び目が布を固定化する機能、属性に着目して後、針が糸を通し終えた時、糸の余長が短すぎることが分かるという狭い空間時間が定まる。属性が空間時間を定める逆の例である。

例:中川・下田の「針より短くなった糸」の問題

針の機能、属性:1.糸と結合する、2.布に穴を開ける、3.糸を導いて布の中を進む、4.布の中を進んだ後、針の先端を糸の輪をくぐらせ糸の結び目、玉を作る。それぞれの機能とそれがいつ必要かも重要である。玉の悪い機能の分析も、時間が経つとほつれてくる原因の分析も必要である。[NKGW]

高原も中学の時、家庭科の時間で裁縫を習った。

糸の結び目を作る時に、針より糸の余長が短くなった経験はある。この経験から、針より糸の余長が短くならないように、使う糸の長さを決めるのに工夫をした記憶がある。それでも針より糸の余長が短くなった。その時どうしたか?実は余り困った経験はない。単に、針を糸から取り、糸だけで糸の輪を通すだけであった。糸の先端がほつれて狭い輪を通りにくい時には、少し舌でなめて湿らせて細くすればよかった。

むしろ困ったのは別の問題だった。

糸の玉を作る位置がきちんと決まらなかった。「正しい」位置に玉を作るのが至難の業だった。

裁縫で習って以来、実際に針と糸を使ったのは一度か二度しかなかったような気がする。それで体験した記憶が甦ったのは意外なことであった。

矛盾の確定 4.2、4.3 と、解の特定 4.5.2の a) b) は、粒度の二面を考える順が違うが、ともに同じ構造になっている。通常「何を」と「どのような」の順が逆になる。

認識のみの場合、これで終わる。特に法則の認識の場合、特に、粒度と網羅の矛盾の中の型の認識が必要となる。

変更の場合、次がある。

 

4.4  事実の矛盾から解の矛盾 (差異解消矛盾) へ変換

変更の場合、一般的な事実の矛盾の場合は、複数の矛盾の中から重要度優先度により事実の矛盾の中から選んだ矛盾を解の矛盾に変換した後、解の矛盾を解く。重要度優先度については [THPJ201503]参照。

解の矛盾とは、事実の矛盾(の中から選んだ矛盾)を変換して事実変更の差異解消を行うための矛盾で、定式化内容を(複数の)機能の形で表現するものである。差異解消に、不具合の解決、現状をもっと良くする理想化、新機能生成の三種がある。これらの差は相対的なものでいずれでも定式化できる [TS2007] 。4.4では、差異解消矛盾が確定する。それぞれの場合の定式化内容を機能の形で表現する。同じ「問題」をどれでも定式化できる。結果として機能を言わないといけないので、では最初から「新機能生成」でとらえればいいかと言うとそうでもない。「問題」をとらえるのは、どういう価値を実現するかに規定されて、不具合の解決、理想化、新機能生成と網羅された中でとらえるのが自然だからである。この網羅は価値の階層の論理的網羅に全く依存している。理想的には正確な価値の把握が必要である。問題とは、理想と現実の差異であるからである。

一般にこの定式化は至難の業と言っていい。

不具合の解決、理想化、新機能生成のどれでも矛盾を定式化できるが、どういう場合、どの型で解くのがいいのかはよく分からない。第一には、実現したい価値に合う型を選ぶのが良いが、どれでも定式化できることを意識すると良い。取り敢えず、解きやすいと感じるどれかで解くのが、おそらく自分の把握する価値に合っているのであろう。

例:不具合の解決、理想化、新機能生成の例を [THPJ 2012  64項] で示した。

 

特にTRIZは、実際上、差異解消矛盾の内、不具合解決を不具合の原因除去か原因が起きないようにする方向で解くことが多く、不具合の原因をどのぐらい根本的に考えるかは重要である。しかし、いつも根本的であればあるほど「良い」わけではない。

TRIZの「標準解」 [DM] [RUSS] は、この三つのうちの「不具合の解決」の粒度で、しかし直接には「技術的矛盾」「物理的矛盾」を解くのでなく 4.4 の段階を実行するととらえる。「標準解」の結果が、差異解消矛盾の定式化であり、その実現に両立矛盾の解が必要な場合、4.5 に行く。「標準解」には、こういう位置づけではとらえられない豊かな内容がある。ここでは、TRIZの将来像も意識してやや単純化して述べた。

ASITは必ず不具合解決を新機能生成に変換して解くのが特徴である。[RH] [TS2007]

 

要するに、実現する機能を言うことが、解の矛盾の定式化に等しい。機能は、機能の連鎖で表現できる場合も、複数の機能の同時実行でできる場合も、その組み合わせでできる場合もある。

この段階で、差異解消矛盾は、機能又は属性の変更の形で述べられる。機能と構造の矛盾はまだ現れない。

解の矛盾がいくつかの場合に分かれる。

    1) 単純な量的変更という機能を作る。これで終わることもある。
    2) 今の機能を新しい機能に変えるまたはなくす。なくして終わることもある。
    3) 質的に新しい機能を作る。

例:中川・下田の「針より短くなった糸」の問題

これは、不具合(「問題」)の解決とする場合の中川、下田による定式化は、糸の余長が針より短いという制約のもとで糸の玉を作るという新機能生成である。

この問題では、中川、下田による解の矛盾は、(新機能生成ととらえた場合)標準的方法 (玉止め) で、糸の余長が針より短いという制約のもとで、糸の先端を糸の輪を作った中に通すという機能を作ることである。

これが解の矛盾である差異解消矛盾である。[NKGW]

前に述べた高原の「問題」もある。高原の「問題」の場合は、糸の輪を適切に作り、糸の先端を輪に通して輪を徐々に狭め最終的な糸の結び目の位置が布の表面に来るようにする (という機能を作る) ことである。これは糸の余長が針より短いという制約は、中川・下田の問題より小さいが、糸の余長が短くなってくると、だんだん難しくなってはくる。

玉がなくても止まる、つまり糸が針より短くなったら針を糸から抜いてそのまま努力せずほって置いても止まっている、しかし玉があるともっと良く止まる、そこで玉を作るという理想化の「問題」でもある。この理想化は、TRIZの定義を含み、今あるものをもっと良くするということである。

玉がなくてもほつれないようにするという目的を解決する別の方向もあり得る。

例: 酸容器浸食の腐食性の酸で試料をテストしている状況で、容器の腐食を防止するというTRIZの古典的例題 [TS 2006 ,2010] [RH] [LB]

不具合の解決という差異解消では、例えば単位時間当たり容器取り換えコスト減という方向の属性記述の様々な定式化ができる。

現状をもっと良くする理想化では、最小資源でという制約を実現のため、例えば、容器をなくし試料が自分で酸を抱く、 または腐食後の容器の自動復元という機能の定式化ができる。

新機能生成という方向では、酸が容器を腐食しないという新しい機能を実現する定式化が容易にできる。[THPJ2012]

 

4.5  解の矛盾の解を求める [THPJ 201501]

4.5.1 解を求める

4.5 は 4.4 の機能を実現する。

次にこれらが下記により実現され、解の矛盾の解が得られ、構造が実現される。[THPJ 201501]

一つの機能に対し機能と構造の矛盾または「物理的矛盾」を解く。これで終わることもある。

又は直列の二機能それぞれに対し機能と構造の矛盾または「物理的矛盾」を解く。これで終わることもある。

この結果、副作用が生じ、その解消と本来の目的の両立を図る必要があることがある。

この両立矛盾は、一つのオブジェクトの二機能の両立の場合と二つのオブジェクトの二機能の両立の場合がある。

一つのオブジェクトの二機能の両立の実現は、できるとすれば、オブジェクトの内部構造で実現するしかない。二つのオブジェクトの二機能の両立の実現は、できるとすれば、二オブジェクトの構造で実現するしかない。いずれにせよ、二機能の両立の実現は、最終的に機能と構造の矛盾を解くことになる

結局、1.「物理的矛盾」か、2, 機能と構造の矛盾という両立矛盾を解くことに帰せられる。

これは今のところ仮説である。

 

1. 「物理的矛盾」の場合、特有の方法として分離原理 [LBが優れる] がある。これが唯一の方法であるという気もするが、40の原理のような経験的にあらゆる可能性を網羅した中から選択する方法もあるとされる。「技術的矛盾」も「物理的矛盾」も40の原理を利用せよというやりかたである [DM]。その利用は個人にゆだねられ体系的方法ではない。

機能と構造の両立の体系的方法を作り「物理的矛盾」の制約を加味していくことが考えられる。例えば、分離原理の中の時間的分離は、体系的方法の中で、一つの行為を時間的に直列の二つの行為または別の時間の二つの行為に分割する方法であるととらえる。この体系的方法はまだない。

2. 従来、TRIZの「技術的矛盾」の「定義」は、「望ましい機能が実現できるがその機能の副作用によって不具合が生じる」ことを意味していて本稿の「事実の矛盾」であることと二つの機能が両立しない不具合に限定された例で述べるだけであった。高原は、二属性の両立矛盾を「技術的矛盾」、二値の両立矛盾を「物理的矛盾」と拡張している [TS2006] [TS2010] [THPJ2012]

矛盾マトリックスなどによるヒューリスティックスがある[DM]が、機能と構造の矛盾としての定式化はされていない。

 

そこで、機能と構造の矛盾の分割を行う方向の再定式化を試みる。

解の矛盾の解、機能と構造の矛盾の解に必要なのは次の両立矛盾である。

    ・ 粒度とオブジェクトの矛盾粒度と構造の矛盾粒度と網羅の矛盾
   ・ オブジェクト間の矛盾(機能と構造の矛盾)
   ・ 粒度内部の空間,時間、属性の矛盾
がある。

選ぶ粒度は網羅された中になければならない。その根本は、粒度とオブジェクトの矛盾の内の粒度と網羅の矛盾である。

粒度と網羅の矛盾で解において論理的網羅ができないと
    1)  「良い」解が見逃され、
    2)  全ての解が求められない。
しかし
    3)  どれか一つ解があれば良い場合は、解の論理的網羅は必要ない。

ここでは、構造の網羅が必要である。

粒度内の矛盾、時間空間と属性,機能の矛盾がある。この運動を実現する実際の操作を、オブジェクト操作の型から選定し、オブジェクト操作を決定する。まだ形式的論理的網羅はできていない。

粒度と網羅の矛盾と、粒度内の矛盾として解の矛盾の粒度 (時間空間と属性,機能) も確定する入れ子がある。ここにひらめきが特に必要とされ同時にひらめきが困難である事情がある。

解を求めるために、粒度と構造の網羅の矛盾を、粒度と構造の空間,時間の網羅と、矛盾と粒度と構造の属性 (狭義の属性、内部構造) の網羅の矛盾に分解することが考えられる。それぞれを解いていくやり方がある。しかし現在は、この分離ができていない。[THPJ201501]

 

4.5.2 TRIZの40の発明原理

TRIZの40の発明原理は、空間時間の粒度と属性の粒度を直接には分離せず、適用領域も特定せず述べている。しかしTRIZ世界でこの方法は多く試みられており優れたものがある [THPJ] [TRIZJ] [DM] [LB]。それらは活かし利用する。

まず、TRIZの40の原理の属性,機能,構造の粒度を a) で、次いで空間時間の粒度について b) で述べる。このa) b) は分離が難しく同時決定されている。

訳語は概ね [DM] による。

多くのダブりがある分類である。数字は40の原理の番号である。

植木教授の発明楽 [HMG] における 「転用:一つの機能を他領域でも使用」)と高原の二つ;オブジェクトの追加, 二項と運動の同時生成、計三つを追加し、三つ31, 32, 37を削除している。なお [LB] にもいくつかの追加原理が記載されている。

a) どのように操作するか、b) 何を操作するかは、相互作用が特に強くてうまく分離できず同時決定が実質的に必要である。なお、ここでの 「a) どのように」 「b) 何を」 はおそらく独特である。他の 「a) どのように」 「b) 何を」があるであろう。

下記は、今の「a) どのように」「b) 何を」がお互いに双方を含んだままでは新しい定式化が不可能であることを、結果的に示したことになってしまった。しかし、「入れ子」「媒介」についての考察はできた。

 

a) 属性,機能と構造のオブジェクト操作の型 [TS2008改]

オブジェクト操作の型は、a1) 機能と構造に共通の型、a2) 構造の型、a3) 機能の型に分けられる。

構造に、機能と構造と対比される粒度の純粋の構造と、機能の構造があることが後で分かる。

a1) 機能と構造を統合した原理

機能,構造いずれにも共通のプラス,マイナス原理がある

オ)プラス原理群のうち基本プラス原理分割1, 組み合わせ,併合5, 仲介24, パラメータ変更35,

オブジェクトの追加(新しく追加),

既存の二項または分割した二項の運動の生成新しく追加Southbeachに「二項を関係づけよRelate Pairs」がある [SB] [LB p.H4に、40の原理の番号のない原理として「要素の複数化、要素を相互作用させる」というのがある] これで新しい機能ができる。)。

カ)マイナス原理群のうち基本マイナス原理:分離2, 組み合わせ,併合5, パラメータ変更35

イ)ダイナミック原理群:局所性質3, 非対称4, 入れ子7, 先取り反作用9, 先取り作用10, 事前保護11, 逆発想13, 曲面14, ダイナミック性15, アバウト16, 他次元移行17, 機械的振動18, 周期的作用19, 連続性20, 高速実行21, フィードバック23, 仲介24, 排除と再生34

キ) 等化原理群 [TS2008]

問題解決等化原理:つり合い8, 事前保護11, 等ポテンシャル12, 排除と再生34

運動平準化原理:先取り反作用9, 先取り作用10, アバウト16, 排除と再生34

属性等化原理:均質性33

ク) 「反」原理群 [TS2008改]

機能、属性の「反」原理:非対称4, 逆発想13 ,不活性雰囲気利用39

機能の「反−反」原理:つりあい8, 先取り反作用9, アバウト16, 排除と再生34

機能の意味の「反」原理:「災い転じて福となす」22

等化原理と「反」原理ついての注:

等化原理と「反」原理には、機能と機能を実現する構造の双方がある。例えば、「つり合い」は機能のつり合いと構造のつり合いがある。

等化原理は,マイナスの機能を元に戻し,あるべき状態と同じにするというものである。また、そもそも,全ての変更のための行動,運動は,現状の反行動,反運動で「反」原理による。したがって等化原理と「反」原理は、いずれも広い意味の「反」と見ることもできる。

a2) 構造原理

ウ)構造原理群分割1, 分離2, 組み合わせ,併合5, パラメータ変更35, 複合材料40

エ)置き換え原理群

要素の単純な置き換え原理:代替26, 「高価な長寿命より安価な短寿命」 27, 機械的システム代替28

属性変更置き換え原理:曲面14, 薄膜利用30, 多孔質利用31, 複合材料40

環境の置き換え原理:流体利用29, 高濃度酸素利用38, 不活性雰囲気利用39

オ)プラス原理群のうち基本プラス原理:(省略)

カ)マイナス原理群のうち基本マイナス原理:(省略)

a3) 機能(属性)原理

オ)プラス原理群

 基本プラス原理:(省略)

 機能のプラス原理汎用性一つのものが複数の機能6, 先取り反作用9, 先取り作用10, 事前保護11, ダイナミック性15, アバウト16, 他次元移行17, 機械的振動18, 周期的作用19, 連続性20, 高速実行21, フィードバック23, セルフサービスそれ自体で機能を実現」25,相変化36, 発明楽[HMG]の「転用一つの機能を他領域でも使用

属性のプラス原理:他次元移行17, パラメータ変更35,複合材料40

カ)マイナス原理群

基本マイナス原理:(省略)

機能のマイナス原理:アバウト16

置き換えのマイナス原理:代替26, 「高価な長寿命より安価な短寿命」27, 機械的システム代替28,流体利用29,薄膜利用30,多孔質利用31,均質性33

属性のマイナス原理(33,35)

 

入れ子についての注:

二項と運動の同時生成は新しく追加した。外から介入して新しく運動が生成する場合(手術等)と自律的に生成する場合(最初の物々交換の開始の例)である。Southbeachに「二項を関係づけよRelate Pairs」がある [SB]

入れ子について述べておく。入れ子の重要性に気付いた。次のように分類できる。

1) 一方向入れ子

入れ子は、ロシア人形のように、同じ形のものが物理的にもう片方の中に入っていることを指している。

これを、何か同じものまたは同じ形式のものがもう片方の中に入ることと拡張し、入れ子になる対象を、ものから、もの、情報(観念含む)に拡張する。つまり、同じか同じ形式の、もの、情報が、もう片方の中に入ることを入れ子という。これで一方向の入れ子が定式化できた。対象が、もの、情報の場合の差異の検討が課題である。

例:フィードバック、引用(引用されたものが自分の中に入る)、再帰性(再帰的な定義は、定義の中に定義されるものを含んでいる。存在とは、他の存在と関係するものであるというのは再帰的な定義)、教育、洗脳、スパイ、寄生虫、愛(相手との一体感が自分に入る)

2) 二方向入れ子

入れ子の拡張として、お互いに入れ子になり合う形式がある。入れ子の対象がもの、情報、観念の場合がある。これは、人に思われている以上の一般性がある。まだ論理的網羅はできていない。

対象が、もの、情報、観念の場合の差異の検討が課題である。

例:客観と主観、客観的世界と主観的世界

観念を中心とする主観的世界は、ものを中心とする客観的世界の像であるが、客観的世界は、主観的世界を含み、お互いを含み合う何重にもなった入れ子ができる。

例:手段としての二方向入れ子として、二重スパイ

次に、二方向入れ子の内容、機能を考察する。

両立矛盾の解は、
    1. 二項の両立方法を示すか、
    2. 両者の高い段階での両立を示すかである。2は、
        21. 両立矛盾の解が、質的構造変化を生起し片項の質量転化を起こす場合か、
        22. 両立矛盾の解が、質的構造変化を生起し、両項の弁証法的否定による向上をもたらす場合か、
        23. 両立矛盾の解が、質的構造変化を生起しないまま、両項の向上をもたらす一体型矛盾であるか
        のいずれかである。

例:両立矛盾の高い次元の解、その連鎖

理想的な労働,教育,技術,制度、相思相愛は、自分と対象と相手を向上させ合う二方向入れ子である。過去に世界や相手、対象があるから自分がありその逆もあるのは、両立矛盾の高い次元の解の連鎖による。

例:一体型矛盾

両立矛盾の一種に前に述べた一体型矛盾がある。これは入れ子の高度の形式と考えることができる。一体型矛盾は、解の形式を自らに内蔵した矛盾で、矛盾の形式も解の形式も、入れ子である。一体型矛盾は、そのことを自覚することで解を早く得られる。ただし、よりよい解にするためには永遠に努力を続けなければならない。

例:分析と総合、普及と深化、考えることと学ぶこと、受容と表現、集中と拡散、歴史と論理

システムと運用、手順と運用、体系と運用、科学と哲学

対象化と一体化、謙虚さと批判、謙虚さと自信、ほめることと批判、自由と愛(自由は、自分や相手を含んだ対象を良くする力、愛は、この対象を良くする意識)

認識と行動、目的と手段、感情と論理

矛盾を決めるのは、粒度であり、矛盾を解決するのも粒度である。両者は入れ子になっている。粒度を決めるのも、粒度と網羅の矛盾の解であるという入れ子もある。

世界の近似単位としての矛盾特定,解と、粒度の管理のための根源的網羅思考が、入れ子になっているという構造がある。

 

b) オブジェクト操作の空間時間の型

この段階で、矛盾の客観的把握とその実現の手段の属性は把握されているので、以下に、この他に考慮すべき操作の主観的に選択し得る対象の型の論理的網羅を試みる。

厄介なのは、操作対象が、オブジェクト世界内、外のオブジェクト操作だけでなく、この二つのどちらでもない境界のように見える場合があることである。しかも、これが本質的な解と関わる。

オブジェクト世界内、外の区別は相対的である。着目している関係が作る集合オブジェクトをオブジェクト世界とした。オブジェクト世界内を二項、関係のみと仮定する案もあるが、当面、これを含みとりあえず着目する複数のオブジェクトを、オブジェクト世界とする。運動概念は、オブジェクト世界内の概念である。環境は、オブジェクト世界内ととらえる場合とオブジェクト世界外ととらえる場合がある。

とりあえず、オブジェクト世界内の操作、オブジェクト世界外からの操作以外の操作を「媒介」としておく。

どれを選ぶかという方法は明確には定まっていない。

どれも、どの程度、根本的な手を打つか、どの程度、粒度を広げて処理するかは矛盾の粒度確定時に第一義的には決まっている。操作の対象を決める時点でそれを補う。

媒介がどういう「問題」を解決するのかが重要だがよく分からない。何か根本的な変化をもたらすらしい。媒介は「何を」にも「どのように」にも該当するように見える。

操作の対象の型を、次の順に網羅していく。

b1) オブジェクト世界内の操作。これはさらに一オブジェクトの操作、二オブジェクトの操作、オブジェクト世界の操作がある。さらに、オブジェクト世界の一つ下の粒度の操作、オブジェクト世界の一つ上の粒度の操作がある。
b2) オブジェクト世界外からの操作。
b3) 媒介。

b1) 当のオブジェクト世界内の変更

40の原理は、ほとんどが、オブジェクト世界内に関するものであり、以下に明示的でなく散りばめられている。以下は40の原理にないものを含む。

b11) オブジェクトそのものに対する操作(U,P,M) [TS 2009]

 操作(U,P,M)は、図において、関係(運動)を含めた三項のうち一項を他の二項が規定するものである。

    

  図4.7 項−運動(関係)−項

運動(関係)の操作は、矛盾の機能の操作に等しい。

b12) 項−関係(運動)−項に対する粒度

項−関係(運動)−項の全体を一つと見る粒度がある。これは形式上、矛盾を直接、オブジェクト操作の対象として扱うことになる。

実現される価値、機能、属性がある。項がものと観念の場合がある。

これは、単に粒度であり、これを全体として操作する方法は分からない。

b121)  一方向のように見える双方向の関係

双方向の相互作用ではあるが、片方の作用が圧倒的で一方向のように見える場合がある。

例:太陽と惑星の運動

b122) 作用反作用が同じ質を持ちそのため値が等しい最も単純な双方向の関係

双方向の最も単純なのは、作用反作用が同じ質を持ち、そのため値が等しい場合である。

例:力学的作用とその反作用

b123) 作用反作用が別の質を持つが、それを一つの種類と見る粒度の双方向の関係

この相互作用の作用、反作用が別の質を持つが、運動が一つの種類に限られている単純な場合がある。作用、反作用が別の質を持つとは、例えば燃焼の場合、被燃焼物と酸素から見た作用は異なる。この相互作用=運動の質の種類は、一応、列挙はされている。化学的、有機的、生物的、社会的、地球的、というように。

ここで、相互作用=運動の網羅は、粒度に依存していることに気付く。正確な論理的網羅の整理が課題である。

b13)  b11) b12) 以外のオブジェクト世界の粒度と操作

b12) の作用反作用が単純でない双方向がある。

この相互作用の質、構造の論理的網羅は課題である。以下、論理的網羅を試みる。

作用反作用が、単純な増加,減少でなく、分割,組み合わせ,併合され,ダイナミックにまたは均等不均等な変化をする場合がある。

作用反作用の形態が、単純でなく入り組んだ変化をする場合がある。

これが当てはまるものとして、この構造が直接複雑に変化する場合(これには、入れ子しか今のところ思い浮かばない)、機能の数が増える場合(これは、TRIZの「汎用性」「セルフサービス」発明楽 [HMG] 転用一つの機能を他領域でも使用しか今のところ思い浮かばない)、機能の数が減り構造が単純化する場合(今のところ思い浮かばない)がある。

一般に、オブジェクト世界の機能(属性)の操作、オブジェクト世界の内部構造の操作がある。

オブジェクト世界の内部構造(要素,要素間の関係)の変更(D) [TS2009] は、オブジェクトの分割,組み合わせを含む。

b14) オブジェクト世界の一つ下の構造、機能の操作、オブジェクト世界の一つ上の構造、機能の操作

環境の変更はこれに当たる。オブジェクト世界における環境は、オブジェクト世界の一つ上の構造の一部であり、その変更はオブジェクト世界外の介入ではない。但し、オブジェクト世界の一つ上の構造の操作と、異なったオブジェクト世界からの操作の差は相対的である。オブジェクト世界の粒度は相対的で、粒度の変更が自由にできることはTRIZ世界の常識になっている。

 

b2) 異なったオブジェクト世界からの介入

TRIZの40の原理における置き換え原理群4.5 a2)エ項は、異なったオブジェクト世界からの介入を含む。オブジェクト世界全体取り換えも含む。これは、自由にオブジェクトの持ち込み、持ち去り、取り換えをする操作(R)である [TS2009]

実験室では、実世界とは違うオブジェクト世界で、実験を行う。自由にオブジェクトを追加し取り去り取り換える。

実世界のオブジェクト世界でも、例えば部品が故障した場合、部品の除去、追加、取り換えは自由にできる。

これも、今の機能を改善するための変更である。

このオブジェクト世界をまたがる操作は運動や矛盾の概念を超え、運動や矛盾でないと考えることもできる[CGK 2014] が、オブジェクト世界の粒度を拡大して行う運動、矛盾であると考えることもできる。オブジェクト世界の粒度拡大とは、オブジェクト世界を、今のオブジェクト世界に、介入オブジェクト世界と、自分の主観を加えたオブジェクト世界を追加して粒度を拡大することである。そうして始めて、追加が「運動」として扱える。

 

b3) 媒介化、間接化、仲介

媒介化、間接化、仲介はほぼ同じものである。TRIZの40の原理における仲介原理24がこれである。

所詮、オブジェクト世界内の変更などたかが知れている。画期的な変更は、オブジェクト世界外からの介入か、媒介である。オブジェクト世界外からの介入は、オブジェクト世界との連続性を持たない変更である。媒介はそうでなく、連続性を有した変更である。媒介を伴うオブジェクト世界外からの介入もあり得る。

オブジェクト世界内の操作、オブジェクト世界外からの操作を網羅がすんだ上で、これから抜けているかもしれないものも総動員し、得られる操作を網羅したい。

もし、得られた解が、オブジェクト世界内でもあり、オブジェクト世界外でもありそのどちらでもないものであれば、この解は「媒介」である。「媒介」は、オブジェクト世界内から出て行くものであるが、オブジェクト世界内からは産まれず、オブジェクト世界外の助けをかりるかもしれないがオブジェクト世界外だけからも産まれない。

媒介化、間接化、仲介は同じものの別表現である。これは、重層化でもあるが、オブジェクト世界内の重層化でなく、オブジェクト世界の外に出て作る重層化である。

オブジェクト世界外からの介入と並んで、媒介化間接化だけが、現在の機能の本質的な高度化を実現する。二種類の媒介化がある。ものによるものと、観念特に共同観念によるものである。これが技術と制度である。

例:中川・下田の「針より短くなった糸」の問題

糸の先端を糸の輪を作った中に通すという機能を作る差異解消矛盾を、機能を1糸の輪を作る機能と、2その中を糸の先端が通る機能に分け、それぞれを機能と実現構造の矛盾に変えて解を見付ける。1は、40の原理のうちの媒介原理;あるもの(驚くべきことに、2の解で生まれた「針に代わるもの」を利用する解ができている)を利用して実現する。2は、分割(機能の分割によるものの分割)原理、代替原理で針を代替する。この例では何を対象に行うかも明らかになっている。

 

c)   a) b)の組み合わせ

a)b)の組み合わせを考える。a)b)を別々に考えるより、その論理的にあり得る組み合わせの方が、実現形態を狭めるからである。これができると、実現機能が何を対象にオブジェクト操作をするかが決まる、またはその逆が決まる。

この組み合わせを考えた動機は、あり得る組み合わせの規則性が明らかになるかと思ったが、規則性はよく分からなかった。

a)に対してb)がどうなるか考えて行く方向とその逆がある。前者だけを検討した。個々のa) b) の組み合わせから何らかの法則性は見出せなかった。この結果の記述は省略する。法則性を見出せなかったのは、a) b) が十分に分離できていないせいではないかと推測している。

今の「a) どのように」「b) 何を」を、お互いに双方と独立に定式化を行うことが求められるのではないだろうか。

その上での話であるが、中川、古謝、三原のUSITオペレータは、この「a) どのように」「b) 何を」の分離がほぼできているので、
     USITオペレータ [THPJ] の 1) オブジェクト複数化法と本稿のb)、
     USITオペレータの2) 属性次元法、3) 機能配置法と、本稿の a) (これは40の原理である)
の統合ができるとよいのではないだろうか。

 

4.7 根本原理と解を実現するオブジェクト操作の+−×÷による表現

発明楽 [HMG] では、発想スキルを+−×÷の四つに分類している。×を「転用」、÷を「逆転」とする記述がある。

下記のようにすると大きな原理を網羅できる。(項目の後の数字はTRIZの40の原理の数字)

+: プラス

オブジェクトの追加(新しく追加)
分割
既存の二項または分割した二項の運動の生成(新しく追加)Southbeachに「二項を関係づけよRelate Pairs」がある[SB] 、[LB p.H4に、40の原理の番号のない原理として「要素の複数化、要素を相互作用させる」というのがある] これで新しい機能ができる。
TRIZの40の原理のプラス原理群

−: マイナス

TRIZの40の原理のマイナス原理群

+−: プラス、マイナス

TRIZの40の原理の置き換え原理群

 

×: 究極のプラス(新しい機能と新しい構造)

   1. 新しい機能:

発明楽[HMG]の転用:「一つの機能を他領域で使用」
TRIZの40の原理の汎用性「一つの属性が複数の機能を実現」6
TRIZの40の原理のセルフサービス「それ自体で必要な機能を実現」25

2. 新しい構造:

入れ子「同じか同じ形式の、もの、情報が、もう片方の中に入る」7 (4.5.2入れ子についての注)
仲介(媒介、間接化)24 (4.5 a項)

 

÷: 究極のマイナス(「反」)

TRIZの40の原理の等化原理群と「反」原理群(4.5 a項)

等化原理:マイナスの機能を元に戻し,あるべき状態と同じにする、
「反」原理:そもそも,全ての変更のための行動,運動は,現状の反行動,反運動である。
いずれも「反」と見ることができる。(4.5 a項)

 

原理に階層がある。次のプラスの三つ、新しい機能の三つ、新しい構造の二つが根本的発明原理と思う。

+: プラス

オブジェクトの追加(新しく追加)
分割
既存の二項または分割した二項の運動の生成(新しく追加) southbeachに「二項を関係づけよrelate pairs」がある [SB] 、[LB p.h4に、40の原理の番号のない原理として「要素の複数化、要素を相互作用させる」というのがある]これで新しい機能ができる。

×: 究極のプラス(新しい機能と新しい構造)

    1. 新しい機能:

転用 「一つの機能を他領域で使用」
汎用性 「一つの属性が複数の機能を実現」
セルフサービス 「それ自体で必要な機能を実現」

    2. 新しい構造:

入れ子 「同じか同じ形式の、もの、情報が、もう片方の中に入る」(4.5.2入れ子についての注)
仲介(媒介、間接化)

 

結論と課題

中川徹の6箱方式は一見当たり前に見える。当たり前だと思い込み重視していなかったことを反省しなければならない。本稿は中川徹の「TRIZのエッセンス」の拡張と6箱方式の、矛盾による根拠を述べ粒度の重要性を追加し、6箱方式が、認識と事実変更に共通の方法であり、事実の矛盾と解の矛盾という矛盾の統一的原理的理解による単純な方法であり、それゆえ豊かであること示したことになった

これは、中川徹の6箱方式についての高原のその根拠の理解とコメントに過ぎず、中川徹の6箱方式そのものではない。

中川徹の6箱方式は、本稿で触れた以上に豊富な内容がある。本稿は、中川徹の6箱方式を、やや単純化してとらえ過ぎているところがある。事実の矛盾を機能について単純化して限定し、解の矛盾を解くのを、機能と構造の矛盾を解くことに限定しているところなどである。それと同時に、本稿で述べた6箱方式の、粒度と矛盾による根拠、認識と事実変更に共通の方法であること、事実の矛盾と解の矛盾という矛盾の統一的原理的理解も重要であると思っている。

ともあれ、以上により、FIT2013で述べた基本概念と方法が豊かになり生き方が豊かになった。

40の原理を「a) どのように」「b) 何を」を、お互いに双方と独立に定式化を行うことが求められるのではないかと思う。この独立化がほぼできているUSITオペレータの今一段の改良が行われると良いと考える。

とりあえず、原理のうち、「追加」の三つ、「新しい機能」の三つ、「新しい構造」の二つを根本的発明原理とした。

 

設計の方法と生きて行く態度を統一する思想を探して半世紀経った。仮説のままで検証の不十分な暴論を含むが、やっと何か見つけられそうな方向が分かりかけた。全く誠実に生きて来なかった自分としては今ごろ分かっては遅いのである。せめて本稿を含む三つで、分かったことを伝えたかった。

 

謝辞

大阪学院大学名誉教授中川徹博士の言葉が支えであった。御礼を申し上げる。

2015年1月20日、中川先生の鳥取大学医学部大学院での講義に同行させていただき、鳥取大学医学部付属病院次世代高度医療推進センター長難波栄二教授、植木賢教授、上原一剛准教授からお話をお聞きする機会があり生きていく元気をいただいた。御礼を申し上げる。

2003年以降、何度かいただいたEllen Domb博士のコメントは大きな励ましになった。御礼を申し上げる。

2013年8月、S. Saleem Arshad博士と数次に渡りメールのやり取りをした。その中で、博士から適切なご批判とアドバイス、宿題をいただき数か月で検討する約束をしていながら、二年近く経ってしまった。本稿はその検討の一部を含む。全てが検討できていない。英訳もできていない。博士に御礼とお詫びを申し上げる。

 

参考文献

(“粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート" “粒度、矛盾、網羅による弁証法論理の応用展開ノート”と共通)

文中の[参考文献]中のFITは科学技術フォーラム、TSはTRIZシンポジウム、4桁の数字は開催年で高原の発表のいくつかを示す。開催年の後の数は月か追番である。[THPJ]の 高原利生論文集1, 2参照。

[THPJ] 中川徹, TRIZホームページ, http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/

 

[NKGW2001] 中川徹, TRIZのエッセンス, 2001. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/Essence50W010518.html

[NKGW2005] 中川徹, “創造的問題解決の新しいパラダイム−類比思考に頼らないUSITの6箱方式−” 日本創造学会第27回研究大会 2005. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2005Papers/NakaJCS-USIT6Box0510/NakaJCS-USIT6Box051129.html. [THPJ]再録2005.11.
内容は、例えば下記などの [THPJ]。 http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2015Papers/Naka-CrePS-Tottori-2015/Naka-CrePS-Tottori-150406.html

[TRIZJ] The TRIZ Journal,  トップメニューに40の原理の説明や各分野への応用例がある。http://www.triz-journal.com/

[HNSG] 般若心経,  http://matome.naver.jp/odai/2135997559834098601

[RDI] デカルト,「精神指導の規則」野田訳, 岩波文庫, 規則第3-8. 11. 1950 (同じ訳者による新訳あり), 原著1701. 網羅は、本書の”enumeratio”で野田訳では「枚挙」である。
なお、次のAMAZON書評内の高原利生の書評参照。 http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4003361342/ref=cm_cr_dp_hist_five?ie=UTF8&filterBy=addFiveStar&showViewpoints=0

[KNT] I.カント,「純粋理性批判」, I, 第二部門, 第一部, 第二篇, 第二章, 第三節, 3, c,篠田訳, 岩波文庫上, pp.286-294, 1961. 原著2版1787

[EPM] K. マルクス, 「経済学・哲学手稿」藤野訳, 国民文庫, pp.98- 157, 1963, 原稿1844.

[F] F. エンゲルス, 「フォイエルバッハ論」松村一人訳、岩波文庫、1960. 原著1888.

[CSP1] C.S.パース, 「論文集」上山、山下訳, 中公バックス, 世界の名著59, 中央公論社, 1970, 原著1931-1935. 原論文1877-1905.

[CSP2] C.S.パース, 「連続性の哲学」伊藤編訳, 岩波文庫, 2001, 原著1992, 原講演1889.

[VL] ヴィノグラードフ、クジミン「論理学入門」, 原著8版, 1954, 西牟田久雄,野村良雄訳, 青木文庫, 1955

[GSA] G.S.アルトシュラー他 “発明的創造の心理学について” 雑誌『心理学の諸問題』第6 号, 1956.黒澤訳, http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jlectures/Classics/Altshuller1956/jAltshuller1956-060304.htm

[JPS] J.P.サルトル, 「方法の問題」, 原著1960. 平井啓之訳, 人文書院.

[DV] ダヴィドフ,「疎外と自由」(ロシア語原著名「労働と自由」1962、ドイツ語訳1964、藤野訳, 1967. 青木書店.

[UEYM1] 上山春平, 「弁証法の系譜」第二版, 未来社, 1968.

[UEYM2] 上山春平, “プラグマティズムの哲学”, 中公バックス 世界の名著59 パース、ジェイムス、デューイ, p.7, 中央公論社, 1980.

[HDK] 日高敏隆, “虹は何色か”,「現代思想」青土社, 1978.5.

[DIA] 中山正和, 「演繹・帰納・仮説設定」産能大, 1979.

[RH] R. Horowitz, “ASIT’s Five Thinking Tools with Examples”, The TRIZ Journal, Sept.2001.

[DM] D. マン, 「体系的技術革新」, p.181-183. p.353, 中川監訳, (創造開発イニシアチブ, 2004.) 再刊 クレプス研究所, 2014.

[LB] L. Ball,「階層化TRIZアルゴリズム」, 高原, 中川訳,(ドラフト版, 創造開発イニシアチブ2007.) クレプス研究所, 2014.

[RUSS] D. Russo, S. Duci, “From Altshuller’s 76 Standard Solutions to a new Set of 111 Standards”, ETRIA, TRIZ Future 2013. 日本語訳は下記。  http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2014Papers/Russo-TFC2013-Standards/Russo-TFC2013-Standards-140427.html.

[WIKI演繹] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%94%E7%B9%B9

[WIKI帰納] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B0%E7%B4%8D

[YSMT1] 吉本隆明,「論註と喩」言叢社, 1978.

[YSMT2] 吉本隆明,「『反核』異論」深夜叢書社, 1982.

[YSMT3] 吉本隆明,「反原発異論」論創社, 2015.

[HMG] 発明楽, http://www.med.tottori-u.ac.jp/hatsumeigaku/

[SB] Southbeach Modeller, http://www.southbeachinc.com/, [THPJ] に紹介あり。

[NHK20150201] NHK-TV, 高野山真言宗番組, 2015.02.01.

[ASAHI20150519] 見田宗介, オピニオン「歴史の巨大な曲がり角」, 朝日新聞, 2015.05.19.
次のURLで読めるが登録が必要である。http://digital.asahi.com/articles/DA3S11760782.html?_requesturl=articles%2FDA3S11760782.html

[NHK20150627] NHK-TV, 「地球ドラマチック「隕石(いんせき)の衝突を防げ!」,オーストラリアの放送局の2013年製作の番組, 2015.06.27.

[NHK201507] NHK-TV, 「地球ドラマチック「人類 遥かなる旅路U、V」,BBC製作の番組, 2015.07.29、30.

 

[ITIN] 高原他, “理想技術論と情報ネットワークシステム”, 応用科学学会誌, Vol.4, No.1, 1990.

[OTW1992] 高原, “決定・ハムレット・コンピュ−タ”, 音羽の森28号, 講談社, 1992.

[IPSJ1994] 高原他, “情報システム方式設計業務における総合決定”, 情報処理学会48回全国大会, 1994.

 

[TJ200306] Takahara, “Application Area of Thinking Tool or Problem Solving Tool”, The TRIZ Journal, Jun.2003.

[FIT2004] 高原, “オブジェクト再考”, FIT2004,2004. 高原利生論文集、『差異解消の理論』 (2003-2007)所収.

[FIT200502] 高原, “オブジェクト再考3−視点と粒度−”, FIT2005. 2005. 同上

[FIT20061表示法] 高原, “オブジェクト世界の構造化表示方法−オブジェクト再考4−”, FIT200、2006. 同上

[TS2006] 高原, “機能とプロセスオブジェクト概念を基礎にした差異解消方法―またはBALL氏の“階層化TRIZアルゴリズム”についてのコメント―”, 第二回TRIZシンポジウム, 2006. 同上

[TS2008] 高原, “オブジェクト変化の型から見えるTRIZの全体像−機能とプロセスオブジェクト概念を基礎にした差異解消方法 その3−”, 第四回TRIZシンポジウム, 2008.

[FIT2009] 高原, “弁証法論理の粒度,密度依存性”,  FIT2009, 2009.

[FIT2011] 高原, “弁証法論理再構築”, FIT2011, 2011.

[IEICE2012] 高原, “物々交換誕生の論理− 矛盾モデル拡張による弁証法論理再構築のための−”,  2012年電子情報通信学会総合大会, 2012.

(以上の2003−2012年の高原論文は、[THPJ] の 高原利生論文集1, 2)

 

[THPJ2012] (2012は投稿年) 高原, “技術と制度における運動と矛盾についてのノート”, 2013. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2013Papers/Takahara-TRIZHP-1307/Takahara-TRIZHP-Paper-130727.html,

[FIT2013] 高原, “世界構造の中の方法と粒度についてのノート”, FIT2013, 2013. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2015Papers/Takahara-2015-FIT2013/Takahara-FIT2013-150403.html

[FIT2014] 高原, “適正な粒度の矛盾による仮説設定についてのノート”, FIT2014, 2014.

[CGK2014] 高原, “不確定な矛盾の生成”, 電気・情報関連学会中国支部連合大会, 2014.

[FIT2015] 高原, “弁証法論理の構造と中川の「6箱方式」”, FIT2015, 2015.(投稿中)

[ISZK] 石崎, 石崎徹の小説,  http://maganetoru.blog.fc2.com/

[ISZK248-178] http://maganetoru.blog.fc2.com/blog-entry-248.html#comment178 を示す。2013.12. 他も同。

 

[THPJ201501] 高原, “粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート ”, 2015. [THPJ]に投稿中。

[THPJ201502] 高原, “中川徹の6箱方式へのコメント”, 2015. 本稿

[THPJ201503] 高原, “弁証法論理の応用展開ノート”, 2015. [THPJ]に投稿中。

[TKHR] http://www.geocities.jp/takahara_t_ieice/

 

本ページの先頭 論文の先頭 時間空間の粒度確定 属性の粒度確定 解の矛盾(差異解消矛盾)への変換 解の矛盾の解を求める 根本原理 結論 参考文献 英文ページ
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最終更新日 : 2015.11.13      連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp