TRIZ論文: 高原利生論文集(2)
高原利生論文集(2): 『差異解消の理論 (続)』 (2008-2012)

論文集解題、論文13編

高原利生 、2013年 1月24日
掲載:2013. 3. 7    著者の許可を得て掲載。無断転載禁止。

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編集ノート (中川徹、2013年 2月28日)

このページは、高原利生さんが 2008年〜2012年末に発表されたTRIZ関連の論文をすべてまとめて、高原さん自身による解題を掲載して、各論文 (PDF版) へのリンクを張ったものです。これは、2008年に掲載しました、第1集の続編にあたります。

第1集にあたる 高原利生論文集: 『差異解消の理論』 (2003-2007) は、2008年3月に本『TRIZホームページ』に掲載しました。高原さんがIT企業を定年退職後に、独自に思索を深めて、5年間に発表された14編の論文を収録したものです。一人の人の論文集を掲載するのは初めてのことでしたが、その内容の深さと明快さに感じ入り、論文の散逸を避けて、きちんとトレースできるようにしておきたいと考えたからです。どうぞ、ご参照下さい。

本件、第2集の原稿を預かりましたのは、実は1年前のことです。2012年 2月 に高原さんからメールをいただき、前年のTRIZシンポジウム2011の発表スライドにノートを付加したファイルを送ってきて下さいました。その際、「1月から入院しています。1週間後に心臓弁膜症の手術を受ける予定です」とありました。私は、ぼつぼつ高原さんの論文集第2集を出したいと思っていたところであったことを伝えました。すると、手術の前日に、(TRIZシンポジウム以外の) 他学会に発表しておられた論文 6ファイルと、解題の原稿を送ってきて下さいました。危険を伴う大きな手術でしたから、相当の覚悟をなさり、私に論文一式を託して下さったのだと、ありがたく受領しました。

手術は成功し、人工呼吸器と体外ペースメーカをつけておられましたが、1ヶ月後に無事退院されました。その後も、驚くばかりの精力的な執筆活動で、TRIZシンポジウム2012のために和文と英文で論文を投稿され (ポスター発表のプログラムを組んでいましたが、欠席されました) 、また、自分から志願してCavallucci 教授の基調講演スライドを (古謝さんと共同で) 和訳下さいました。私は、高原さんのご回復の早いことを喜んで、ついつい本件第2集に手をつけるのを後回しにしてしまい、本年1月になってしきり直しをした次第です。

本年1月24日に、2008年〜2012年末までに発表された論文13編の全ファイルと、その解題のファイルを受領しました。論文集第1集のものと同じ形式で、その続編として解題が書かれており、論文番号は [15]〜[27] になっています。各論文には、(特にTRIZシンポジウムの場合に) 和文論文、和文スライド、英文論文、英文スライド (あるいはそれらの一部) があり、それぞれPDFファイルにしています。(なお、一部にノート (ナレーション) つきのスライドもあるのですが、ノートなしのスライドだけ掲載しました。)

びっくりするような大きな理論体系を高原さんが構築されています。それに伴い、新しい概念と統一的な用語が必要になり導入されていますから、読者は最初戸惑われることでしょう。そのような概念と用語を受け入れると、論理的な記述が非常に明快になっていることが高原さんの論文の特徴です。

私自身も全編を読めてはおりませんが、貴重な論文集としてここに掲載させていただきます。掲載を許可下さった高原利生さんに感謝し、ご健康とご多幸をお祈りいたします。きっと後日、高原論文の真髄を理解し、さらに発展させて下さる方々が現れることと期待しております。

 

本ページはつぎのように構成しています。

編集ノート (中川 徹) と 高原論文の一覧表 (リンクつき)   [本『TRIZホームページ』での掲載記事へのリンクも]

高原利生: 「2008年〜2012年の論文解題」   (HTMLページ、リンクつき)

高原利生: 「解題」 (PDF版) および各論文の PDF 版  (それぞれ別ページ)

高原利生 論文集第2集 論文一覧 (2008年〜2012年)  (発表順)  (すべて単著)

[番号] 出典-年 題名 出典 (年) 言語、形態、ページ数、リンク 本サイト内の掲載記事
[15] TS2008 オブジェクト変化の型から見えるTRIZの全体像−機能とプロセスオブジェクト概念を基礎にした差異解消方法その3− 第4回TRIZシンポジウム 2008
(2008)
和文論文 8頁
和文スライド 32枚

論文掲載 (2009. 3.10)

和文ページ

英文ページ

(注: ナレーションつきスライド、中川による紹介記事を含む)

The General Picture of TRIZ From the Viewpoint of Changing Objects―A Method of Resolving Differences Based on the Concepts of Functions and Process Objects Part 3― 英文論文 10頁
英文スライド32枚
[16] FIT2008 A Trial Study of Changing Two Objects - Reconsidering Object Part 7 - FIT2008
(2008)
英文論文 4頁  
[17] TS2009 TRIZという生き方? 第5回TRIZシンポジウム  2009
(2009)
和文論文 8頁
和文スライド 27枚

論文掲載 (2010. 9.23)

和文ページ

英文ページ

(注: ナレーションつきスライド、中川による紹介記事を含む)

TRIZ as the Way of Life? 英文スライド27枚
[18] FIT2009 弁証法論理の粒度,密度依存性 FIT2009
(2009)
和文論文 2頁  
[19] TS2010 TRIZの理想―TRIZという生き方?その2― 第6回TRIZシンポジウム2010
(2010)
和文論文 8頁
和文スライド 32枚

論文掲載 (2011.9.25)

和文ページ

英文ページ

(注: 中川による英文紹介記事を含む)

The Ideal of TRIZ ―TRIZ as the Way of Life? Part 2― 英文論文 10頁
英文スライド32枚
[20] FIT2010 TRIZと生き方における対立物の構造と根源的網羅思考 FIT2010  (2010) 和文論文  4頁  
[21] CGK2010 根源的網羅思考によるオブジェクト特定と命題,法則の変更

電気・情報関連学会中国支部連合大会
(2010)

和文論文   頁
和文スライド 12枚
 
[22] TS2011 一体型矛盾解消のための準備的考察―生き方の論理を求めて― 第7回TRIZシンポジウム 2011
(2011)
和文論文 8頁
和文スライド 28枚
 
A Preparatory Study for Resolution of Contradiction of Unity―For the Way of Life− 英文論文  7頁
英文スライド28枚
[23] FIT2011 弁証法論理再構築 FIT2011
(2011)
和文論文 6頁  
[24] IEICE2012 物々交換誕生の論理 ― 矛盾モデル拡張による弁証法論理再構築のための ― 2012年電子情報通信学会総合大会
( 2012)
和文論文 1頁
和文スライド 14枚
 
[25] FIT2012 粒度、網羅の管理と関係、運動の管理 FIT2012
( 2012)
和文論文 6頁  
[26] TS2012 根源的網羅思考と矛盾 第8回TRIZシンポジウム 2012
(2012)
和文論文 8頁
和文スライド 28枚
 
Radical Thinking for Enumeration and Contradiction 英文論文  10頁
英文スライド16枚
[27] CGK2012 矛盾における制約充足の型 電気・情報関連学会中国支部連合大会
( 2012)
和文論文 2頁
和文スライド 12枚
 

 


[1] 著者による論文集解題(2)

高原利生論文集(2): 『差異解消の理論 (続)』 (2008-2012)

2008年−2012年の論文解題 

 高原利生  (2013年 1月24日)

 

   高原の2008年から2012年までの発表論文の、位置づけと個々の論文の解題を以下に示す。このような形で、解題と各論文を「TRIZホームページ」に公開する機会を作っていただいた大阪学院大学中川徹名誉教授に感謝申し上げる。

 

1. 論文の位置づけ

   以前、2003年から2007年までにやったことは、基本概念(オブジェクト,それを組み合わせたオブジェクト世界,オブジェクト変更、オブジェクトの属性,粒度,機能)を明らかにし、差異解消の方法、表示方法を追求したことであった。粒度とは、オブジェクトの空間的時間的範囲、属性である。

   2008年から2012年までにやったことは、これを受けたものになったと、今、次のように分かる。

   (広義の)差異解消の理論は、直接には、論文[10] [TS2003]と論文[14] [TS2007]の内容を受けたものになっている。(広義の)差異解消が (狭義の)差異解消と両立であることは大きな発見であった。(狭義の)差異解消は、通常の意味の「変更」「変化」である。

   自然の運動、人間の行動、思考の全体は、内容的には、(広義の)差異解消であり、人間の思考の全体は、理想的、形式的には、根源的網羅思考である。差異解消をもたらしたものは何かという検討から、根源的網羅思考という形式に眼が行くようになった。

   根源的網羅思考は、態度として、謙虚にかつ批判的に、オブジェクト、オブジェクト世界の種類の網羅、粒度と構造の見直しを行い続ける。対象と内容として、基本概念と認識、変更の型を変更し続け網羅し続け、値の可能な変更を極限化し続ける。

   根源的網羅思考は、マルクスとTRIZの創始者アルトシュラーの態度と論理の一般化である。マルクスの矛盾、西田幾多郎の「矛盾的自己同一」、福岡伸一の「動的平衡」は、両立の一部である。アルトシュラーの矛盾は(狭義の)差異解消と両立の双方の一部を扱っている。

   (広義の)差異解消は(狭義の)差異解消と両立である。この差異解消と両立をもたらすのは、運動である。ここでの運動は、従来、アルトシュラーによって矛盾として扱われていた。アルトシュラーの矛盾は、マルクス、エンゲルスの矛盾の拡張になっている。全ての運動を、動的な構造の面から見たのが矛盾であった。運動と矛盾は、空間的時間的範囲の点では、同じ粒度を持ち、扱う属性、内部構造の点で、違う粒度を持つ。

   世界は、運動の集合体、矛盾の集合体で近似される。運動、矛盾が、世界の近似単位である。運動、矛盾は、ものと動的関係からなる。

   人間の行動、思考における運動、矛盾は、技術、(従来、TRIZの世界で「技術以外」として扱われている)制度、個人の問題の領域全てに共通する。したがって生き方も扱える。そこで、生き方の検討もできた。

   次図で、左半分が2008- 2012年の主テーマと論文番号、右が2003- 2007年の主テーマである。

   こうして、2008年以降2012年までは、1. 根源的網羅思考、2. 基本概念として運動、矛盾を明らかにし、3. 生き方について検討したことになった。これらはすべて関係している。

[出典について]

  発表は,四種の場で行われた。TRIZシンポジウムに毎年,計5件、情報科学技術フォーラム(FIT)という情報関係二学会共催のフォーラムに毎年,計5件,電子情報通信学会に1件、電気・情報関連学会の中国支部連合大会に2件である。

  論文名を、[2003年以来の通し番号] [発表の場の略称発表年] 著者名, “論文名”, 発表の場, 発表年. の順に記す。

 発表の場の略称は、

TS:TRIZシンポジウム、
FIT:情報科学技術フォーラム Forum on Information Technology (情報処理学会と電子情報通信学会の情報処理に関係するソサイエティが共催する年に一度のフォーラム)
IEICE:電子情報通信学会総合大会、
CGK:電気・情報関連学会中国支部連合大会

である。

   例:

[25] [TS2012] 高原, “根源的網羅思考と矛盾”,第八回TRIZシンポジウム, 2012.

[23] [FIT2011] 高原, “弁証法論理再構築”, FIT2011,2011.

[24] [IEICE2012] 高原, “物々交換誕生の論理 ― 矛盾モデル拡張による弁証法論理再構築のための ―”,2012年電子情報通信学会総合大会, 2012.

[21] [CGK2010] 高原, “根源的網羅思考によるオブジェクト特定と命題,法則の変更”, 電気・情報関連学会中国支部連合大会, 2010.

 

2. 解題

[15] [TS2008]
高原, “オブジェクト変化の型から見えるTRIZの全体像−機能とプロセスオブジェクト概念を基礎にした差異解消方法その3−”
, 第四回TRIZシンポジウム,2008.
TAKAHARA, “The General Picture of TRIZ From the Viewpoint of Changing Objects―A Method of Resolving Differences Based on the Concepts of Functions and Process Objects Part 3― ”,

   本稿は、今まで、TRIZシンポジウムで検討してきたオブジェクト変化の型についての一応の結論である。

   重要なことは,唯一つ,必要なオブジェクトにある方法で必要な変化を起こすということである。この「オブジェクト」「その変化の方法」について,それらの組み合わせで,任意のもとのものが再構成できる少ない数の要素を型として見つけることができれば,統一化された「オブジェクトに変化を起こす方法」を得たといえるだろう。この検討の一環で,「オブジェクト変化の方法」の「型」の検討を,二属性,二オブジェクト以下という条件で行った。

   この検討から,TRIZとは,属性分割/ 併合,オブジェクト分割/ 併合,「物理的矛盾」や「技術的矛盾」の解決を含む属性の変化を解の要素の型として持つ全体過程であることが明らかになった。また多少改良を加えればTRIZを制度領域に適用することが可能であることが分かった。

   最後に,現在のTRIZの「40の発明原理」の再整理を行った。

[16] [FIT2008]
TAKAHARA, “A Trial Study of Changing Two Objects - Reconsidering Object Part 7 -”
,FIT2008,2008.

My purpose is to make a new formal theory or logic to innovate the world using TRIZ. The requirements on the ideal theory of recognition and changing of the world are to handle every object to be recognized and to operate it in every possible types of changing object in every applying area including technology and institution.

I try to enumerate several types of changing Object within two attributes and two Objects. This is a mixture of intentional change which I call Resolving Differences, unintentional change and autonomous change including contradiction in the area of technology and institution.

[17] [TS2009]
高原, “TRIZという生き方?”
, 第五回TRIZシンポジウム, 2009.

  TRIZが各種のオブジェクトの変更からなる方法であり、人と制度を含む全分野に適用可能であることを第四回TRIZシンポジウムで示した。中川の「TRIZのエッセンス−50語による表現」を手がかりに生き方を考える。生きることは価値を実現するオブジェクト変更である。生き方とは、そのための思想と方法である。

  生きること、生き方、理想的な生き方の順に考える。

[18] [FIT2009]
高原, “弁証法論理の粒度,密度依存性”
, FIT2009,2009.

    思考において、オブジェクトの粒度,密度と弁証法論理が決定的に重要である。本稿は弁証法論理についての粒度依存性についていくつかを明らかにした。第一に現実のオブジェクトの粒度,密度と弁証法論理は相互規定性があり、第二に弁証法論理の要素はそれ自体が粒度,密度に依存していた。

   結果としていくつかの点で従来の弁証法のテクストの内容を修正した。「量質転化の法則」を拡張した。「対立物」の型、1オブジェクトの変化の型の大枠を述べた。

[19] [TS2010]
高原, “TRIZの理想―TRIZという生き方?その2―”
, 第六回TRIZシンポジウム,2010.
TAKAHARA, “The Ideal of TRIZ ―TRIZ as the Way of Life? Part 2―”

  問題は、どう生きるかとTRIZをどうするかである。以前、TRIZには、技術、制度の全領域の全行為をカバーする統合的思想と方法の可能性があると述べた。これが出発点である。この可能性を検証し現実化しなければならない。

   本稿は、そのため、第一に、今までに欠けている領域の検討として、物々交換の誕生を例に、制度誕生以前の観念の領域でのオブジェクトの動きを探り、TRIZの全領域に対応する生きることの全体像を述べる。

   第二に、TRIZの理想の方法の一部として、解の実現方法を、方法の要素の組み合わせで構築する試みを述べる。全領域の解の実現を、方法の要素の組み合わせで4つの型に分類する試みを行った。

   最後にTRIZの理想の思想として本来、弁証法とTRIZの持っている根源的極限的網羅思考の活性化が必要であることを述べる。本稿と今までの内容もこの思考によると今気付く。

[20] [FIT2010]
高原, “TRIZと生き方における対立物の構造と根源的網羅思考”, FIT2010 ,2010.

   TRIZは、もともと旧ソ連で作られた技術開発のヒューリスティックな方法の集合体であるが、その基本は技術、制度、人の全領域に適用できる可能性のある方法であることが明らかにされた。

   しかし今まで、生きることにもTRIZにも必要な思想上、方法上の課題が明らかになっておらず解決もされていない。思想は哲学とほぼ同じもので、事実と価値観に基づいた認識と変更への姿勢ととらえる。本稿で、思想上、方法上の課題は、本来、弁証法の持っている活気を、生き方とTRIZに吹き込むことであることを述べる。

   弁証法の活気とは第一に、弁証法は全てのオブジェクトが双方向に関連しあい運動し変化しているととらえる論理であり思想であると認識することである。弁証法の認識では、現実の運動の構造を「対立物」(必ずしも物でないが、慣例に随う)の統一つまり矛盾として近似化してとらえる。したがって具体的な変更のためには、事前に全ての対立物の網羅がされていることを前提に、その中から対立物を特定することが必要である。

   弁証法の活気の第二は、認識、変更する対象空間内のオブジェクトを網羅し、これらの根源的極限的な変更の可能性を検討する思考である。第一の活気が認識のみに関わるのに対し、第二の活気は、認識と求められる目的のための意図的なオブジェクト変更の双方に関わる。

  本稿は、[18] [FIT2009] に続き従来の弁証法論理の見直しでもある。

[21] [CGK2010]
高原, “根源的網羅思考によるオブジェクト特定と命題,法則の変更”
, 電気・情報関連学会中国支部連合大会, 2010.

   現在把握されているほとんど全ての命題や法則の粒度,密度は正しくないと言って良い。本稿では、これらの、型、粒度,密度の重要さを確認し、根源的網羅思考が単にこれらの「正しさ」のためにも有用であることも明らかにした。

[22] [TS2011]
高原, “一体型矛盾解消のための準備的考察―生き方の論理を求めて―”
,第七回TRIZシンポジウム, 2011.
TAKAHARA, “A Preparatory Study for Resolution of Contradiction of Unity―For the Way of Life−”

   TRIZは、変更の種類、型を網羅した形式的方法の集合体と理解することができると分かり、従って、オブジェクトを認識できるものととらえさえすれば、技術、制度を扱う全ての操作科学の形式的基礎になり得ると気づいた。

   矛盾という名前で、自律運動と人間の全ての思考と意図的行為が、矛盾として統一して把握されることになったのはやっと2011年であった。本稿は、網羅した矛盾の型を述べる。

   今まで人類が媒介化と分割を繰り返して生じた問題を解決するべき一体型矛盾の検討を始める。

[23] [FIT2011]
高原, “弁証法論理再構築”
, FIT2011,2011.

   世界の認識,変更の内容把握を弁証法論理という形式によって行うというのが本稿で述べる第一である。世界の認識,変更の内容把握において、弁証法は全てのオブジェクトが双方向に関連しあい運動し変化しているととらえる論理であり思想である。矛盾の型の網羅を述べる。

   本稿で述べる第二は、従来の弁証法論理の見直しを行うことである。これにより、全ての思考の大幅な単純化と内容の水準向上が可能となる。

[24] [IEICE2012]
高原, “物々交換誕生の論理 ― 矛盾モデル拡張による弁証法論理再構築のための ―”
, 2012年電子情報通信学会総合大会, 2012.

   はじめて道具や言葉が作られ使われたことがあったと同様に、ある段階で、物々交換という行為が成立した。無断で持ってくる、あるいは闘って勝ったほうが相手のものを手に入れるのでなく、平和的な物々交換という奇蹟が、生産の歴史のほとんどの時間をかけて成立した。

   本稿は、物々交換の成立の論理を明らかにし、弁証法論理再構築をすすめる。弁証法論理は、物事の相互関連と相互作用を扱う論理である。

   マルクスは、ヘーゲルの、矛盾への外部運動の作用の軽視と、すでにある対立項間の関係しか扱わない自律矛盾を、弁証法論理に持ち込んだ。まだその悪影響から抜け出せていない。筆者は、矛盾を、運動を起動する対立項の相互作用とする近似モデルで扱っていたが、物々交換という制度の始まりをうまく説明できなかった。

   矛盾を、外部運動が生成するまたは運動を起動する対立項の相互作用と拡張して、以前の定義を修正する。

   このモデルにより、物々交換の成立の論理を矛盾により理解する道が開け、マルクスの弁証法の弱点が克服される。 

[25] [FIT2012]
高原, “粒度、網羅の管理と関係、運動の管理”
, FIT2012, 2012.

   現実を「正しく」認識し変更することができるための思考の必要条件は、第一に着眼の粒度、第二にその粒度での網羅の全体性(この二つはいずれも形式論理による)、第三にこれに規定された、弁証法論理適用による運動,関係の管理、変更、第四に「正しい」価値によることである。

   適切な粒度が、運動,関係の管理の対象や方法を適切に指定できる。この粒度が「正しい」ための必要条件は、粒度が網羅された全空間から指定されていることである。

   通常、第一と第二の粒度、網羅は全面的には意識されず、第四の価値も意識されず、これらに無意識に規定された第三の作業のみ行われている。

   本稿は、この第一と第二の粒度、網羅の管理を意識的に行う提案をする。これは、従来述べてきた根源的網羅思考の形式的根拠を与えるものになっている。網羅は、対象を変更する場合に必要であるだけでなく、複数の制約充足の結果得られる対象間の関係や運動についての型や法則の認識にも必要だと分かる。 

[26] [TS2012]
高原, “根源的網羅思考と矛盾”,第八回TRIZシンポジウム, 2012.
TAKAHARA, “Radical Thinking for Enumeration and Contradiction”

   現実を「正しく」認識し変更することができるための思考の必要条件は、第一に着眼の粒度、第二にその粒度での網羅の全体性(この二つはいずれも形式論理による)、第三にこれに規定された、弁証法論理適用による運動,関係の管理、変更、第四に「正しい」価値によることである。

   本稿は、この第一と第二の粒度、網羅の管理を意識的に行う提案をする。

   従来述べてきた、第三の弁証法論理の要素である矛盾の再定式化を、より一層厳密に粒度、網羅の管理により行う。今の弁証法は、ヘーゲルの「正反合」か、マルクスの自律矛盾か、エンゲルスの「三つの法則」になってしまった。TRIZの弁証法は、一面ではそれぞれ正しい粒度を持つこれらを含む大きな論理を持っている。再定式化した矛盾、弁証法論理は、アルトシュラーのTRIZの弁証法を、一般化しただけである。矛盾を、外部とのかかわりを持つ二項の関係の生成と運動ととらえ、世界の近似モデルの単位、弁証法論理の単位であることを示した。

   人類史上最大の発明である物々交換の誕生を矛盾、運動として分析した。

   矛盾は、見る密度により、広義の「技術的矛盾」か「物理的矛盾」であり、それぞれ両立(と共有)、差異解消がその機能である。

   この矛盾は、技術、制度の方法の基礎であるだけでなく、硬直した今の弁証法を克服し、生き方に密着した弁証法論理が生まれる基礎になる。この弁証法と、粒度と網羅を基礎とした、本質と関係,運動の制約充足の形式論理が、両輪となって新しい方法と哲学を作る。

   従来述べてきた(広義の)差異解消の方法をまとめ、従来のTRIZになかった対立項の生成の重要さを述べる。

[27] [CGK2012]
高原, “矛盾における制約充足の型”
, 電気・情報関連学会中国支部連合大会, 2012.

   根源的網羅思考は、オブジェクトの網羅を行い続け粒度と内部構造を見直し続ける対象の相対化思考である。

   その基礎である粒度特定と網羅は、相互規定の関係にある。粒度と網羅の制約を示し、それが、新しい判断、法則認識に、基本的重要性を持っていることを示した。

   重要な(運動を含む)関係判断の一種に、矛盾という判断がある。矛盾は、変更のための行動を含む全ての運動を表現する。必要な制約充足により、新しい矛盾概念が得られることを示し、概念上の生成から運用までの矛盾の全体構造を明らかにした。

 

3. 論文一覧

TRIZシンポジウムで発表したもの

[15] [TS2008]

高原, “オブジェクト変化の型から見えるTRIZの全体像−機能とプロセスオブジェクト概念を基礎にした差異解消方法その3−”, 第四回TRIZシンポジウム,2008.

TAKAHARA, “The General Picture of TRIZ From the Viewpoint of Changing Objects―A Method of Resolving Differences Based on the Concepts of Functions and Process Objects Part 3― ”,

http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2009Papers/TakaharaTRIZSymp2008/Takahara-TRIZSymp2008-090708.htm

[17] [TS2009]

高原, “TRIZという生き方?”, 第五回TRIZシンポジウム, 2009.

[19] [TS2010]

高原, “TRIZの理想―TRIZという生き方?その2―”, 第六回TRIZシンポジウム,2010.

TAKAHARA, “The Ideal of TRIZ ―TRIZ as the Way of Life? Part 2―”

[22] [TS2011]

高原, “一体型矛盾解消のための準備的考察―生き方の論理を求めて―”,第七回TRIZシンポジウム, 2011.

TAKAHARA, “A Preparatory Study for Resolution of Contradiction of Unity―For the Way of Life−”

[26] [TS2012]

高原, “根源的網羅思考と矛盾”,第八回TRIZシンポジウム, 2012.

TAKAHARA, “Radical Thinking for Enumeration and Contradiction”

FIT(情報科学技術フォーラム Forum on Information Technology:情報処理学会と電子情報通信学会の一部が共催する年に一度のフォーラム)で発表したもの

[16] [FIT2008]

TAKAHARA, “A Trial Study of Changing Two Objects - Reconsidering Object Part 7 -”, FIT2008, 2008.

[18] [FIT2009]

高原, “弁証法論理の粒度,密度依存性”, FIT2009, 2009.

[20] [FIT2010]

高原, “TRIZと生き方における対立物の構造と根源的網羅思考”, FIT2010, 2010.

[23] [FIT2011]

高原, “弁証法論理再構築”, FIT2011, 2011.

[25] [FIT2012]

高原, “粒度、網羅の管理と関係、運動の管理”, FIT2012, 2012.

 

その他で発表したもの

[21] [CGK2010]

高原, “根源的網羅思考によるオブジェクト特定と命題,法則の変更”, 電気・情報関連学会中国支部連合大会, 2010.

[24] [IEICE2012]

高原, “物々交換誕生の論理 ― 矛盾モデル拡張による弁証法論理再構築のための ―”,2012年電子情報通信学会総合大会, 2012.

[27] [CGK2012]

高原, “矛盾における制約充足の型”, 電気・情報関連学会中国支部連合大会, 2012.

 

 

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最終更新日 : 2013. 3. 7.     連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp