TRIZシンポ2012基調講演


TRIZはR&D実践におけるパラダイム変化にいかに貢献できるか?

Denis Cavallucci (INSA Strasbourg、フランス);
和訳: 高原利生、古謝秀明、中川 徹

第8回日本TRIZシンポジウム2012、基調講演、
日本TRIZ協会主催、2012年9月7日、早稲田大学(新宿区、東京)

和文ページ: 基調講演 論文  、 同 スライド 

英文ページ: 基調講演 論文 、 アドバンストチュートリアル スライド  

編集: 中川 徹

掲載:  2018.12.13

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  編集ノート (中川 徹、2018年12月 8日)

本件は、6年前の日本TRIZ協会主催の第8回日本TRIZシンポジウム2012における、Denis Cavallucci 教授の基調講演とセミナーの資料を和訳したものです。シンポジウム は3日間で、Cavallucci 教授には、第1日の午前・午後に5時間のアドバンストセミナー、そして第2日の午前に80分の基調講演をしていただき、発表スライドとともに論文も提出下さっています。

シンポジウムでは事前にスライドと論文を和訳(担当:高原・古謝)し、USB収録のProceedings を当日参加者に渡すとともに、後日11月には日本TRIZ協会のホームページに基調講演のスライドと論文を公開で掲載しました。ただ、今年になって、基調講演の和訳論文が(当時の参加者だけの)限定的な開示になっていて、もっと公開してほしいという要望が、和訳者と著者の両方から出されました。そこで私は、日本TRIZ協会に要請し、三原理事長の許可を得て、このたび本『TRIZホームページ』に公開することができました。なお、今回の掲載にあたって、論文の和訳を中川が推敲しました。掲載記事と掲載場所はつぎの一覧表のようです。

  記事項目

   和訳 (TK: 高原・古謝訳(2012)、
       (TKN: 高原・古謝・中川訳(2018))

   英文(原文)

TRIZ協会 HP(公開)

USB(限定、アクセス不可)

『TRIZホームページ』(公開)

TRIZ協会 HP(公開)

USB(限定、アクセス不可)

『TRIZホームページ』(公開)

基調講演スライド

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  同  論文

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セミナー(チュートリアル部) スライド

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セミナー(デモ部)

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論文の内容は、素晴らしいものです。フランスのINSA Strasbourg は、TRIZを主テーマとして正規の修士コース、博士コースを持つ、世界で数少ない大学です。(古典的)TRIZから出発して、(Nikolai Khomenkoを招いて)OTSMを取り入れ、それから独自に(産業界での大規模実問題を扱えるように)発明的設計方法論(IDM)を構築していっています。
TRIZに5つの「限界」がある、と言います。すなわち、(a) 輻輳した現実問題で、問題状況をきちんと調査する方法を与えていない。(b) 輻輳した問題では、多数の矛盾(問題点)があるが、TRIZは直観的に一つを選んでいるようであり、多数を扱う方法や、重要な矛盾に絞り込む方法を示していない。(c) 各矛盾を適切に明らかにする厳密な方法を与えていない。(d) 解決コンセプトを評価し、実施に向けて選択する方法を示していない。(e) TRIZの諸方法や知識体系に一貫性をもたらせる語彙やオントロジー(情報を組織化する構造的フレームワーク)が欠如している。そして、これらの欠陥を克服するのがIDMだと言います。
その方法論を体現する独自のソフトウエアSTEPSを構築しています。2012年という年は、この新しい方法論とそのソフトがきちんと形を整え、Cavallucciさんが正教授に昇任した年です。本件の基調講演は、同教授の方法論を体系的に記述した代表的な論文と言えます。個別の部分テーマでの学術発表が、その前にいろいろあり、その後にもいろいろありますが、全体的・体系的なものを他にはあまり知りません。本論文に記述された方針で、その後の同教授の研究とソフト開発が進んできていることが分かります。学ぶことの多い、優れた論文です。

本件の和訳は、プログラム委員会からの要請に応じて、高原利生さんと古謝秀明さんとが真夏の約2週間首っ引きになって、多数枚のスライドと長文の論文を訳してくださいました。それが出来上がったときの古謝さんから高原さんへのメールでの感想は:「... 論文とスライドにかじりついて翻訳してみて、 カバルッチさんも私と同じようなところに関心を持っていて、 そして別の方向に解を見つけた。 ある部分では遥かにスマートな方向に進んでいる、 ということがよくわかりました。 (具体的な内容が一切見えないのがもどかしいですが。).... 多分、当日のカバルッチさんの講演を聴いただけの人達が 理解出来ることは凄く少ないと思います(〜30%?)。 メチャクチャ苦労しましたけど、本当にお得な役でしたね。 本当に今回の翻訳はいい経験でした。きっと高原さんも同じような感想をお持ちではと想像します。...」

私自身も今回、英文のスライドと論文を読み直してHTMLで掲載し、さらに、お二人の和訳を読みつつ掲載準備をする中で、古謝さん・高原さんと同じ感想を持ちました。文章については、本当に訳しにくい文です。高原さんは「悪文」といいますが、補足説明がどんどん後ろに繋がっていて、英文の流れとしてはこれで自然なのだと私は思います。ただ日本語は修飾語・句を前に置く方式ですから、文意を正しく保ちながら、論理の流れをスムーズに表現するのに非常に苦労します。今回の掲載に際して、論文の和訳を中川が全面的に推敲させていただきました。それで、PDFファイルがシンポジウムのProceedingsに掲載されている高原・古謝訳で、本ページのHTML版が高原・古謝・中川の推敲訳です。スライドは高原・古謝訳です。

資料としては、上表のように、基調講演の論文、スライド、そしてアドバンストセミナーのスライドの3セットがあり、内容的には重複しつつも少しづつ違う論点を持ち、異なる適用事例を説明しています。ぜひ読み比べてみてください。

 

本ページの先頭

論文(高原・古謝・中川、推敲訳)

論文PDF(高原・古謝訳)

スライド(高原・古謝訳)

スライドPDF

TRIZシンポ2012

日本TRIZ協会 TRIZシンポ2012

英文ページ


  基調講演 論文(和訳)     PDF (初訳:高原利生、古謝秀明 (2012)) (17頁、1.8 MB) 

 

TRIZはR&D実践におけるパラダイム変化にいかに貢献できるか?

Denis Cavallucci (INSA ストラスブール(フランス))

第8回日本TRIZシンポジウム2012、基調講演、 日本TRIZ協会主催、2012年9月7日

和訳: 高原利生、古謝秀明、中川 徹 

(初訳 2012年9月7日、推敲訳 2018年12月7日)

 

要約

品質と最適化が求められた時代に開発されたツールと方法は、その限界を露呈し、革新の必要性に対応しなくなってしまった。 近年では、企業内の設計実務を再構築する必要性が、人のスキルと専門的方法論の両面から強く感じられている。革新時代の困難に直面する方法は、TRIZ(発明的問題解決の理論)を通して部分的に提供されている。 しかし、TRIZが学界と産業界に次第に普及していくにつれ、それをベストに使うことの困難さ(簡易化版を使うか、コンピュータ化されたツールを使うか、など)が強く感じられるようになった。 本基調講演は、この困難さに向き合い、産業界の事例を使って、一つの独自で完全なフレームワークを提示する。それは、TRIZの基本要素の大部分を統合して、一つの方法論すなわち、発明的設計法 (Inventive Design Method (IDM)) にしたものである。

 

基調講演 論文 目次

要約

1.  序論

2.  TRIZ から IDM へ

3.  事例:  鋼にホウロウ引きする

3.1  IDMプロセスを実行する、方法論と計画を立てること
3.2  パラメータの特定
3.3  システム分析
3.4  マルチスクリーンへのフォーカス
3.5  進化の法則へのフォーカス
3.6  矛盾の合成と分析
3.7  提案された矛盾: バブルグラフ
3.8  矛盾の解決
3.9  プロセスの付加価値: 解決コンセプト
3.10  解決コンセプトの影響の見積り
3.11  評価結果分析

4.  結論と今後の活動

参考文献

本ページの先頭

論文の先頭(高原・古謝・中川訳)

序論

TRIZからIDMへ

適用事例

マルチスクリーン

矛盾 解決コンセプト 結論 参考文献

論文PDF(高原・古謝訳)

英文論文

英文ページ

 

1.  序論

この20年近くの間、TRIZは、産業界での発明的な目的を支援する有用な一連の方法論のツールとして姿を現してきた。 この理論は、問題記述や、技術システムが客観的な法則によって動いているという考えの方向での問題解決において、重要なブレ−クスルーを持っている。しかし、企業がTRIZをフルに利用しようとすると、大きな困難を感ずるようになった。それは、TRIZ自身が、いくつかの不完全な概念を持ち、今日の設計の段階とのミスマッチが(特に上流工程において)存在するからである。

設計プロセスの上流工程でしばしば関連するのは、市場フィードバック [1]、ドキュメント調査 [2], 最新技術レビュー [3] そして、アイデア生成 [4] であり、さらにそれらのアイデアを分類して、下流の開発フェーズで使うべきアイデアを選択することである。このテーマをよく説明するのは、ステージゲートプロセス [5] であり、現在、企業ではよく知られている。ところが、これらのアプローチがほとんど助けにならない場合がある。それは、初期の不十分な状況を理解するのに必要な知識を多分野に跨って定式化する [6] ときや、改善を意図して革新的なシステムを構想するときや、初期状況での重要な課題を解決するための新しい知識の流れを切り開いていくとき、などである。そこで私たちが提案しているのが、この課題を扱うための新しい方法論の枠組みであり「発明的設計:Inventive Design」として知られているもの [7][8] と、その方法論から分岐した「発明的設計法:Inventive Design Method (IDM)」 [9] である。

本論文は、以下のように構成されている。最初のセクション2. では、私たちが、いわゆる古典的TRIZに基づいた方法論からIDMをいかにして導出したのか、を説明する。それは、私たちが、TRIZの限界を知り、それらの限界を乗り越える必要性を知って、私たちの新しい方法が、潜在力を持ち、また今日の企業のR&D部門の多くの問題 [10] に対応する方法であることを望んだからである。次のセクション3. は、IDMの適用法を一つの事例を使って詳細に述べるもので、製鋼産業での、鋼のホウロウ引きの事例を使っている。そして、セクション4. は、本研究の内容と私たちの仕事の限界について議論し、発明的設計法とそのツールへの貢献をまとめる。 最後に、結論を述べ、IDMに関する私たちの今後の研究についても言及する。

 

2.  TRIZ から IDM へ

IDM (Inventive Design Method) の方法は、革新プロジェクトの上流において構造化プロセスを使用する私たちの最近の研究の成果である [11]。IDMは、上流フェーズの標準的あるいは日常的な設計プロセスに置き換わり、複雑で不満足な初期の解決策を改良するために、速く多くの妥当な解決コンセプトにたどり着こうとする。

IDMは会社におけるいわゆる「革新 (イノベーション)の過程」の一部である。言い換えれば、IDM が実装されることを意図している企業とは、解決の失敗が起こったときのリスクを想定し、十分な解決策に到達するためにしっかりしたR&Dフェーズが必要であると認識した企業である。ここで言っているのは、「わが社はイノベーション主導で運営しています」という (今の時代ではほとんどだれもがいうような)企業ではなく、むしろ、「まだ十分に制御できていないような知識を探求するときのリスクを負う用意があります」という企業のことである。

IDMのルーツはTRIZ方法論にある。 しかし、TRIZが一つの理論であると認識するにしても、私たちが主たる焦点をおいているのは、TRIZの方法論的側面とその限界である。 言い換えると、なぜTRIZは十分でなかったのか?どのような状況に対してTRIZ は、他の理論に基づいた、異なる理論的・補完的な背景からの、強化を必要としたのか?

TRIZは、問題がほとんど直観的に解決できたような、単純な状況では効率的であることが証明されてきている。 私たちがAltshullerの本 [12][13] (『そのとき、発明者が現れた』)の中で「発明者が現れた瞬間」を読むと、彼はほとんど直観的にたちまち初期状況を認識し、自分の身につけた発明のトリックと思考のガイドライン (理想性、資源など…のような) に基づいて、解決策を見つけている。それもしばしばベストで唯一の解決策である。

残念ながら、今日の産業界での現実はそういうものではない。 技術者を悩ませる問題は、輻輳した問題すなわち難しい問題である [14]。 技術者が遭遇するもう一つの状況は、与えられたその状況で、その問題を最初に発見したのが彼らではないというのがほとんどだという事実である。彼らは、長年その問題を知っていて、先行するブレーンストーミングから抽出された何十もの選択肢をテストする機会をすでに持っていた [15]。 したがって、非常に革新的なブレーンストーミングが行われても、主たる困難は、最近では、TRIZの本のような形では、技術者の前に姿を現さないのである。

 私たちの研究の最初の10年間、私たちが努力を集中したのは、どのような状況でTRIZの知識体系が、その理想的な方法から得られるはずの成果を提供できなかったのか、を理解することであった。 そして、私たちは、N. Khomenkoの研究と業績 [16][17] を通して、OTSM (「強力な思考の一般理論」)の枠組みの中にあるこれらの限界に対するいくつかの部分的な答えを見出した。しかし、その答えは、効果的に教えたり演算したりするには、まだ十分正確でなく、きちんと定義されたオントロジーを持たなかった。そこで私たちは、2007年にこの研究所(INSA Strasbourg)でIDM研究フレームワークを始めた。それはTRIZとOTSMの両方の私たちの経験に基づくものである。

図1は、私たちがTRIZとOTSMの両方から、造りあるいは変更した、IDMの構成要素をまとめて示す。

図1: TRIZ から OTSM を経て IDM へ

これらの [TRIZとOTSMの持つ] 限界には5つの段階がある。以下にそれらを簡単に説明する。

まとめると、これら5つの限界が、IDMの枠組みの研究の背後にある挑戦の基礎となっている。 その研究は、この5年間、さまざまな分野 (人工知能、コンピュータ科学、技術科学、社会科学、教育科学) からの科学者たちによって行われてきた。

IDM (Inventive Design Method) のプロセス は、以下のダイヤグラムに示すように、4つの段階に分かれる。

 

図2: IDM概念のマクロ構造

ステップ1: 初期状況の分析:  このステップは、初期の不十分な状況と関係があるすべての知識を調査することと、この暗黙の知識と明確な知識 [5] を、利用できる数学的モデルに変換することから成る。この調査するべき知識は、テキスト文書の形か、専門家の心の中にある。この知識変換の目的は、数学的モデルという手段によって、より詳しくパラメータ化された形での問題記述を決定することである。 ここでの目的は、この変換によって「問題グラフ」を作りあげることであり、多くの研究経験の積み重ねによってしばしば生じる曖昧な状況から、グラフ的モデルに変換して、グラフ理論 [6] の規則とアルゴリズムを使用して展開できるようにすることである。 この「問題グラフ」は、簡単なシンボリックなグラフを要素として出来上がっている。そのシンボリックなグラフは、質問で集めた暗黙の知識の一つ一つを明示し記録することを効率化する。それは二種類の知識が共存するグラフ的モデルを提案する。初期状況からのまだ解決されていない問題を表す知識と、同じ領域にある既知の部分解を表す知識である。

ステップ2: 矛盾の定式化:  ステップ1での(最終)意志決定会議が行われる際に、研究のキー課題として現れるものが、引き続く研究の出発点となり、一群の複合矛盾を詳細に定式化するのに使われる。この複合矛盾から、精査される領域の [多数の個別] 矛盾が抽出され、整理される。 これらの [個別] 矛盾は、解決すべき技術的、物理的課題であり、初期状況を不満足なものにしている根本問題に対してインパクトを与えるために解決するべきものである。

このステップには以下の3フェーズがある。
   ・ 複合矛盾を定式化する。
   ・  [個別] 矛盾を抽出する。
   ・ あるシナリオに応じて、各矛盾の優先度に基づく階層構造を作成する。

ステップ3: 解決コンセプトの生成: 前のステップで優先度が高いとされた各矛盾は、ついで、TRIZの技法とツールを適用する入口になり、トレードオフなしでの解決を達成しようとする。問題解決のプロセスを、優先度の高い矛盾のそれぞれに対して適用する。それは順次的あるいは反復的に行われる。 (発明原理に関連づけられた)技術的矛盾を解決する矛盾マトリクス、(発明の標準解に関連づけられた)物質−場モデル、ARIZ-85Cアルゴリズムが使用される。 このステージは、限られた数の解決コンセプトを作り出す。それらの解は、初期状況に関連付けられており、完全な追跡可能性を示す。

ステップ4:解決コンセプトの選択: このステップでは、それぞれの解決コンセプトが他に及ぼすと想定される影響が、ステップ1で作成された問題グラフを参照して、重みづけされる。 この目的は、初期の不十分な状況に対する解決コンセプトの影響(効果)を評価して、それらの中から、さらに詳細の開発を行うべきものがどれか(一つまたは複数)を、選ぶことである。

これらのステップについては以前の発表で詳細を述べてある [25]

[OTSMから IDMへ]

序論で述べたように、手順、方法、ツールの組として、IDMにもっとも近いのは、OTSMである。 しかしながら、私たちが、OTSMに多くの進んだ定義があり、それらが正しい方向に適切に進んでいるのを見たにもかかわらず、私たちは、教育と研究の両方で、OTSMを十分に働かせられる有用な構成要素の一貫したコーパスを明瞭に定義することができなかった。

表1に、OTSMの主要要素をまとめて示し、それがどのように置き換えられあるいは再構築されて、IDMの総合的オントロジーに適合するようにされたかを示す。

OTSM

IDM

問題のネットワークの概念

問題の概念

部分解の概念

核心問題(直感的な)の概念

矛盾のネットワークの概念

専門家ベースの理論

法則は存在している

解決コンセプトの影響度の測定がない。

制御パラメータ

思考スキルの開発が目的

問題グラフ

問題+構文の厳密さ

部分解の適正さ

自動的核心問題 −自動グラフ理論

問題グラフから矛盾のセットの自動導出

オントロジーベースの理論

法則は矛盾に関連づけられる

解決コンセプトをその力量によってランクづけし、グラフを縮小する

アクションパラメータ(オントロジーの一貫性)

産業での実践になることが目的

表1:  OTSMとIDMの主要な違い

 

 

3.  事例:  鋼にホウロウ引きする

ここ5年間、ホウロウ引きされた鋼と、セラミック被覆かガラス被覆が、器具、建設、さらに金属処理という異なったアプリケーションにおける新しい解決を見つける可能性のある方法として出て来た。 長期間腐食保護、耐熱性、摩耗防止、耐化学性、リサイクル性、持続性、長期耐久性、清潔性のような問題が議論された時、磁器質のホウロウを塗ることが、これらの要件を満たすいくつかの興味深い特性を示すのがわかった [26]。ホウロウ引きは、ニッチ、つまり、今日、少数の専門家によってしか知られていない非常に特殊な被覆プロセスである。 それは「後処理」と定義される、すなわち、最終顧客が形成、溶接した後に、最終段階として実施される。

明らかに、あらかじめホウロウを塗られた鋼 (ガラス層によってコーティングされた鋼と理解されているもの)  は解決策であることができなかった。なぜなら、この結合が二つの敵対的な製品に基づいているからである。鋼は、形成可能で、軽く、強健であり、これらの特性のため使用されており、一方、ホウロウ(ガラス)は、もろく、変形できない。 鋼の場面の主役たち(すなわち鉄鋼業界)は、最終的なガラス化コーティングの前駆体、すなわち、金属板に1つ以上の成形可能層(最終的なコーティングの前駆体)をコーティングしたもの、を提案する。

磁器質のホウロウ塗料は厚い: この特性は絶対に必要なものでない。この特性は2つの事実の結果である。 第一に、現在まで、ホウロウは、複雑形状が形成された後に塗工され、この操作により隅々まで広く行き渡る。第二に、高温で得られた鉄鋼とホウロウの間の結合は、約40μmのかなり厚い界面からなる。そして必要とされる特性を持たないため、この界面は、完全にカバーされている必要がある。

私たちの産業パートナーは、最終的なガラス化された層を作る前に、粉の形でホウロウを導入することを、過去に既に試みた。 層の厚さを減少させるのは、不可能であった。「あらかじめホウロウを塗られた鋼」として内部的に知られているこのプロジェクトは、特許化されて終了した。 また、今日使用されている主な基板が、冷圧延鋼であるとしても、ホウロウは、他の金属や合金、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、鋳鉄、NiAl…に適用されている。

この状況で、ホウロウについてのIDM方法論プロジェクトを立ち上げ、技術動向と優先度を見極め、更なる行動計画のための提案までを目指すことが、決定された。 簡単に前に述べたように、このブレークスルーのための原動力は以下の通りである。
   1. 厚いものから薄いものへ: セラミック(ガラス)コーティング技術と製品;
   2. 後処理から前処理へ: 知識を保持し付加価値をつける;
   3.  鉄鋼と多種金属系が対象;
   4. また、現在の技術水準と比べて、製造工程 (形成、燃焼、溶接、コーティング…) の革新を許容すること。

 

3.1  IDMプロセスを実行する、方法論と計画を立てること

IDMとTRIZに基づいて、ソフトウエアツール、すなわち、STEPS (Systematic Tool for Efficient Problem Solving) が造られた。 その構造は、図2に図化されているようにIDMプロセスに完全に合致している。通常は、ソフトウェアステップを通りぬけるのに、図3の計画図に示された10のセッションが必要である。

図3: 古典的なIDMプロセスのスケジュール

それぞれのセッションは、丸1日の勤務に対応し、図3は、各ステップに要する時間の案を示す。引き続く各セッションは、数週間切り離して実施してもよく、その間に、研究を内部的に進ませることができる。特に、これは第一ステップの3つのセッションに対して勧められる。なぜなら、そうすることでネットワーク(問題グラフ)が一層成熟化するからである。 このステップは、最初に、研究の主要な中心問題、次に、その起源、更にそれらの起源などを特定しながら進んでいく。 プロセスは、一つのグラフ(問題グラフ)の構築を目指して、つぎつぎと続いて行く。 また、この記述は、特定されつつある問題について、現在技術として知られている部分解(それがあればであるが)をも含んでいる。

例えば、ホウロウ引きの場合では、出発点は、ホウロウ引きされた製品が高価であるという事実であった。 この理由はつぎのようであることがわかった:

・ ホウロウ引きする鉄鋼自体が、高価である。
・ ホウロウ引き工程は、複雑で、(流れ作業のように)連続的でない。
・ ホウロウ引き工程は、高温を伴う(エネルギーコストが高い)。
・ ホウロウ層が、厚すぎる (製品原価高)。

研究のこの部分は、多様な、補完的な技術的背景を持つ6人の貢献を必要とした。

・ セラミックとホウロウ引き(形成、製造工程、特性、応用) の専門家
・ 冶金 (化学、処理と製造工程、特性、応用) の専門家
・ 材料と製造工程と知的財産権に関して、膨大な科学知識がある科学者
・ 冶金(製造工程、製品、顧客アプローチ)の知識を持つ技術者で、1995年頃以降、鉄鋼にホウロウ引きするためのプロジェクトを担当した主任者
・ 材料、特にセラミックについての科学知識を持っている科学者
・ アニメータ(活性化させる人)で、IDM、STEPSと特にTRIZの専門家

結果として得られるネットワーク(「問題グラフ」)は、緑色と、黄色い箱で作られたグラフで表現される (図4参照)。 緑色の箱は、問題に対応し、黄色い箱は、部分解に対応している。 部分解というのは、産業で既に使用されているプロセスか、論文や特許に記されているアイデアであるが、与えられた問題を解決するのに適用され、(少なくとも部分的には)成功したことが見出されたはずのものである。 しかしながら、それらがこんどは新しい問題を引き起こすことがしばしば起こる。これが、それらが「部分解」と呼ばれる理由である。 結果として、黄色い箱(部分解)は、系列の終わりには決して見つけることができず、緑色の箱(問題)がいつもあとに続いている。そうでなければ、包括的な解決策が見つけられたことを意味するだろう。 図4は、44の問題 (緑色の箱) と25の部分解 (黄色い箱) で、およそ25時間の作業の後の問題グラフを表示して、問題がどれくらい複雑でありうるかを強調している。

重要なのは、いったん完成されると、ネットワークが残りの作業の不可欠の基礎を構成するだけでなく、技術の現状を模式的に表現した図をも提供することである。その図は、
    ・ 参加者全員が同意したものでなければならない。
    ・ 再利用できる。
    ・ 将来、新しい知見を書き加えることができる。
だから、問題のネットワークは新しいプロジェクトのチームメンバーにとって非常に興味深い出発点であると捉えられる。


図4: ホウロウ引きの問題に関連づけられた問題グラフの全体図

 

3.2  パラメータの特定

問題や部分解のそれぞれは、1つあるいはいくつかのパラメータ(単位つき)に関連づけられる。各問題にはまた、ネットワーク全体の中での重要度に応じて、重みが付けられる。0 (あまり重要でない問題) から、5 (致命的問題) まで。これらのパラメータで、一種の「トレーサー」のように、質的または量的に問題 (PB) の進化が評価される。 当の問題において、 「この問題にトレーサーとしてどのパラメータを使用できるか?」と質問することによって、関連パラメータを特定できる。 いくつかの場合、答えは明白である。例えば、「ホウロウを塗られた鉄鋼が高価である」という問題の後には、「総費用」というパラメータ(単位 €/m2) が続くことができる。  時には、そう明白でないこともある。問題「水素トラップ濃度(セメンタイト)の減少」は、浸透時間(単位:分)を測定することによって評価されなければならない。 付録の表3に問題に関連づけられたパラメータのリストがある。[訳注: この付録は添付されていない。]

それぞれの部分解 (PS) から導かれるパラメータを特定するには、「システムのどのパラメータが、この解決策の操作に効いたか?」と質問すればよい。 例えば、「付着が減少する」という問題 (PB) に対する「荒さを増加させる」という部分解 (PS) を例に取ると、µmで測定された「荒さ」というパラメータが作用している。 パラメータがいったん特定されると、それらは2つのカテゴリに分類される、すなわち、評価パラメータ (EP) とアクションパラメータ (AP) である。

評価パラメータ (EP) は進化が一方向と期待されるパラメータである。それが反対方向に進むことは全く期待されない。 例えば、「ホウロウ引きされた鉄鋼が高価である」という問題は、€/m2で表現された「総費用」というパラメータによって特徴付けられた。このパラメータは増加することではなく、減少することだけが望まれている。評価パラメータEPはまた、私たちが直接制御することはできないが、(関節的に)制御の可能性があるものとして記述される。 いったん定義されると、どれだけ重大かを表す「重要度」と呼ばれる重み付けをつけなければならない。

評価パラメータEPの場合と反対に、アクションパラメータ (AP) の進化は両方向に関心がある。 アクションパラメータは両方向に作用できるチューナーと考えることができる。評価パラメータEPと同じように、影響のレベルを表す係数がそれらに与えられている。

たいてい、問題と部分解に関連づけられたパラメータは、それぞれ評価パラメータEP(群)とアクションパラメータAP(群)である。この配分を確認するために、各パラメータは個別に研究されなければならない。 そのうえ、ある場合にはいくつかの問題をただ一つのパラメータに関連づけることができる。 逆も正しい。いくつかのパラメータが1つのただ一つの問題のあとに続くかもしれない。これが、評価パラメータEPとアクションパラメータAPの数がそれぞれ問題と部分解の数に等しい必要はない理由である。 例えば私たちの場合は、36の評価パラメータEPと20のアクションパラメータAPが特定された。

研究のこの時点で、問題は既に広く展開されている。 しかしながら、完全な記述を得るためには、更なる検討が必要である。 これが、次のステップの目的である。

 

3.3  システム分析

TRIZの基本要素と結びつけて問題を完全に記述するために、STEPSソフトウェアは、私たちが、システムの構造、矛盾、および進化の仮説を、十分に定義できるようにする。これらのすべてのステップを達成するために、TRIZに由来する一連のツールが、しばしば再構成され、強化された形で提案される。
    ・ システムの完全性
    ・ マルチスクリーン
    ・ システムの成熟度
    ・ 進化の法則
    ・ DTCオペレータ [訳注: Dimension-Time-Cost Operator。あるいは、STC (Size-TIme-Cost) オペレータ] 
その目標は、通常考えられていない別の視点から、問題にアプローチすることである。

図5: STEPSソフトウェアの操作画面 ― 解決ツールウィンドウ(物質-場オプション)。

 

 

3.4  マルチスクリーンへのフォーカス

「9画面法」としても知られている、このツールはシステムをつぎのように表現する。
    ・  時間的環境(「x軸」): 「-1」(左側)、「0」(中央)、そして「+1」(右側)ウインドウが、それぞれ過去、現在、および未来に対応している。
  ・ システム的環境(「y軸」): 検討しているシステム(中央ウインドウ)は、より大きい「上位システム」(上部ウインドウ)と呼ばれるものに属し、「下位システム」であると呼ばれる、より小さいもの(下部ウインドウ)を含んでいる。 [訳注: 原文は、super-system と micro-system と呼んでいるが、TRIZの一般的な用語として、上位システム、下位システムの語を使う。]

いま 議論している例では、上位システムは、鉄鋼、ホウロウ、熱処理、および塗布工程から成り、下位システムは、化学元素Fe、C、O、鉄酸化物、金属間層、結合酸化物 (図5では「触媒」と呼ばれる)、そして鉄鋼の表面荒さから成る。 上位システムが (3.2.1.1で定義されている) システムのツールとオブジェクトを含み、一方下位システムが、ツールのいくつかの部分 (エンジン、トランスミッション、制御) で構成されていることに気付くだろう。

これら9ウインドウの目的は、検討しているシステムと、その上位システム、下位システムが、時間的にどのように進化してきているかを記述することである。 この進化を、改良または悪化したパラメータに翻訳することによって、問題グラフの問題と部分解から導かれたパラメータとは異なる別のパラメータを特定することを可能にする。 過去を見ることは、研究された分野を変革した最新の技術的なジャンプを捜し求める機会でもある。 私たちの事例では、80年代における酸洗とニッケルメッキ技術の一般化がホウロウ引きの大きな変化を引き起こしたことが指摘された。実際、このようにして鉄鋼表面を被覆したニッケルは、ホウロウの付着を非常に促進した。

 

3.5  進化の法則へのフォーカス

このツールはTRIZ方法論で定義された9つの進化の法則を提示する。すなわち、

1)   システムの完全性:  どんな技術システムも適切に相互接続された数個のよく定義された部分で作られていて、少なくとも1つの部分は全体システムをコントロールするために制御可能でなければならない。
2)   エネルギーの伝導性: システムを構成しているどの部分も、それが働くエネルギーの流れを減速させてはいけない。
3)   調和性: すべての構成要素を均質的に進化させるシステムの傾向。
4)   理想性: すべての望ましい特性を最大化し、望ましくない特性を最小化させるシステムの傾向。
5)   部分の不規則な進化: システムの異なる部分が不均質に進化したために生じた矛盾を解決するシステムの傾向。
6)   上位システムへの移行: そのシステムが属する上位システムの利益になるように、システムが姿を消す傾向。
7)   マイクロレベルへの移行: 要素「ワーク」(ツール)がマイクロレベルに向かって進化するのが見られるシステムの傾向。
8)   ダイナミック性: すぐに変化・適応できるような柔軟な構造を持つシステムの傾向。
9)   物質−場の相互作用: 新しい関係が構造の中に現れ、システムを制御する方法の増加が見られるシステムの傾向。

「システムの完全性」、「上位システムへの移行」、および「マイクロレベルへの移行」の法則がシステム分析の最初の2点で手広く利用されるのに気付かれるだろう。 9つの法則のそれぞれについて、ソフトウェアは、いまの事例に法則が関連しているかどうか決定するための質問をする。関連があるなら、その法則に沿うようにシステムを変更する方法を示す。

本研究のこの部分を例示するために、5番目の法則の例を取ろう。これは、システムの異なった部分の進化を扱うものである。このように質問する:「有益な主機能を最大にするために、すべてのシステム要素が最適な発展の状態にあるか?」 答えがイエスなら (すべての部分が最適化されていれば)、この法則を通り過ぎることができる。答がノーなら、その特定の部分の問題を解決して、システム全体の発展を解放するようなやり方を考えるよう提案される。 実際に提案されたのは、「付着メカニズムが異なった種類のもの (例えば、ベルクロ構造(マジックテープ))であるような状況を作り出して、酸化還元反応をもはや必要なくすること」であった。 これらの法則は、システムおよび上位システム、下位システムに望まれる進化を定義するのをついには助け、マルチスクリーンの右側 [将来側] のウインドウを実現させるように進んでいく。

この検討は、新しい要素を問題ネットワーク (問題グラフ)に持ち込むことを可能にする。システム分析が完成されて初めて、問題グラフが確定されたとみなされる。

 

 

3.6  矛盾の合成と分析

問題が適切に設定(記述)されてくると、多くの矛盾が現れる。 実際、いくつかのパラメータが場合によって異なった方向に進化することが期待される。 TRIZの方法論の最も大きな利点の1つは、手計算では妥当な時間で出来ないタスクを、コンピュータによる計算を使用することで、これらのすべての矛盾を考慮に入れられることである。 この自動分析が可能になるためには、パラメータ

間の対立から起こるすべての矛盾がリストされていなければならない。 そうできるためには、アクションパラメータAPは最初に、それらが示すシステムの要素によって分類されなければならない。 そして、各評価パラメータEPは、順番にすべてのアクションパラメータAPの前に置かれ、後者が前者に影響を与えることができるかどうか決定される。ある特定のアクションパラメータAPが反対の二方向に進化すると、異なる評価パラメータEPに+の影響を及ぼすなら [すなわち、APが大になるとあるEPがよくなり、そのAPが小になると別のEPがよくなるなら]、直ちに矛盾が生じる。 例えば、アクションパラメータAP 「燃焼時間」は、長いか、あるいは短いかに(設定)できる。すると、

− もし短くすると、(以下の)評価パラメータEPにプラス方向 [よい方向] の影響を与える:
   ・ 「反応層の厚さ」 [が薄くなる方向] (成長する時間が全くないので)
   ・ 「総費用」 [が低くなる方向] (エネルギー消費が下がるので)
   ・ 「ホウロウを塗られたシートの曲がり」 [が曲がりやすくなる方向] (ラッピングが、より起こりそうにないので)

− もし長くすると、(以下の) 評価パラメータEPにプラス方向 [よい方向] の影響を与える:
   ・ 「ホウロウの付着」 [がより強くなる方向] (付着メカニズムが起きる時間がより長くなるので)
   ・ 「ホウロウの表面品質」 [がより強く滑らかになる方向] (ガラスが広がる時間がより長くなるので)

すべての矛盾を集めて、関係するアクションパラメータAPに応じてグループ化し、その各グループを「複合矛盾 (Polycontradiction)」 と呼ぶ。その結果、アクションパラメータAPと同じ数(ここでは20)の複合矛盾が存在する。 複合矛盾はつぎのような一組のデータで定義される。

・ 一つのアクションパラメータAP (上記の例では「燃焼時間」)
・ それが示す構成要素 (「ホウロウ」)
・ それが取ることができる二つの反対の値 (「長い」と「短い」)
・ 影響を受ける評価パラメータEPのリスト  (「反応層の厚さ」、「総費用」、「ホウロウを塗ったシートの曲がり」、「ホウロウの付着」、および「ホウロウの表面品質」)

この「対立操作」をあらゆる評価パラメータEPとアクションパラメータAPの組に適用した結果、私たちのケースでは、合計127の矛盾をもたらした。 それぞれの複合矛盾に対して、ソフトウェアが重みづけをする。その重みの計算には、評価パラメータEPの重要性、関与するアクションパラメータAPの [関与程度の] 係数、およびAPの二つの可能な値の間のバランスを用いる。

 

3.7  提案された矛盾: バブルグラフ

STEPSソフトウェアは複合矛盾を 多数の「単一」矛盾に分割する。 複合矛盾とは違って、この「単一」矛盾は、もとの複合矛盾の多数のEPのうちの二つの評価パラメータEPだけに関わり、その二つのEPは同じアクションパラメータAPによって反対方向の影響を受ける。例えば、前記の複合矛盾の例では、アクションパラメータAPの1つの値が、三つの評価パラメータEP にプラス方向の(よい)影響を与え、二つの評価パラメータEPにマイナスの(悪い)影響を与える。だから、それは6つの(単一)矛盾に分けられる。

各矛盾は以下によって特徴付けられる。

・ その重み
・ 普遍性、すなわち、同じ評価パラメータEPにかかわる他の矛盾の数
・ アクションパラメータAPの「Shining (きらめき)」、すなわち、そのAPが影響を与えるEPの数。

次に、すべての矛盾を図6のようなグラフ(「バブルグラフ」)に表す。そこでは矛盾の三つの特性がバブルの位置と特徴で表現される。すなわち、各矛盾が一つのバブルで表され、その重みがX軸に、普遍性がY軸に、アクションパラメータAPの「きらめき」がバブルのサイズで表現される。同じ複合矛盾に由来する矛盾は、 同じ色で示されており、 その結果、それらは同じアクションパラメータAPを共有し、同じサイズになる。しかしながら、それらは、お互いに重なったバブルが区別できるように、より大きく、あるいは、より小さく示されている場合がある。

図6:  すべての矛盾とその評点を集めたバブルグラフダイヤグラム

そのようなダイヤグラム(図6)の目的は、最も関連性の大きい矛盾をまず取り上げるべきだと示唆することである。最も大きな重み、普遍性、およびきらめきを持つものである。 実際的にいうと、右上の隅近くにある最も大きいバブルで表されている矛盾を、最初に扱うべきである。 さらに、異なった要素に関連する異なったアクションパラメータAP (すなわち、異なった色)に働きかけるようアドバイスされる。 この事例で、私たちは図6で矢印によって示された二つの矛盾に焦点を合わせた。両方のアクションパラメータAP (「燃焼温度」と「ホウロウフリット [ガラス原料] の平均粒度」)は同じ要素「ホウロウ」に関連するが、こだわらない。

矛盾を文で個別に表現して、すべての特性をまとめて表形式で出すこともできる。指摘しておくべきことは、これらの文が自動的にセットアップされ、決まった構造を持つことで、そのような自動生成は本方法に組み込まれている厳格な構文でのみ可能になったことである。 図7は私たちが特に焦点を合わせた (図6のバブルグラフの矢印で示される) 二つの矛盾をこの形式で表示したものである。

 

図7: テーブルの形式で表した二つの矛盾(No. 4.8 と 5.5)

 

3.8  矛盾の解決

ここから、創造作業が実際に始まる。 この創造プロセスを増強し、選択した矛盾を解決するために、これらの矛盾に向けたさまざまな強化TRIZツールが提案されている (矛盾マトリクスや物質-場 のような) 。生みだされたアイデアは「解決コンセプト(Solution Concept)」(SC) と呼ばれる。解決コンセプトは、「カード」と呼ばれるファイル中に記述され、できるだけ詳細に説明するべきである。このためにソフトウェアは、模式図を描いたり、文献目録のようなドキュメントを添付することが出来る。 また、各解決策が内包する、利点と欠点、さらにはリスクを列挙できる。

私たちの創造作業は合計24の解決コンセプト (SC) を生み出した。 それらは何に関係するかに応じて、以下の5つのカテゴリに分類された。鉄鋼/ホウロウ界面、鉄鋼自体、ホウロウ自体、ホウロウ引き工程、複合コーティングの使用、である。 24の解決コンセプト (SC)は平均と比べて多いので、1次選別を実施した。そのとき、最も説得力がないものを排除し、しかし同時にそれぞれのカテゴリーから少なくとも一つの解決コンセプトを確保するよう注意を払った。その結果、私たちは最終的に、全演習が創造した価値を代表するものとして、17の解決コンセプト (SC)を得た。

 

 

3.9  プロセスの付加価値: 解決コンセプト

本ケーススタディの高い機密性のため、解決コンセプトの詳しい説明に入ることは出来ない。最も有望なものを抽出するために、それら解決コンセプトは外部評価を受けた。 最も有望な解決コンセプトを深く検討するための方策も、次のセクションで与えられる。解決コンセプトは4つのカテゴリに分類された:

    ・ 界面に関連する解決コンセプト
    ・ 鉄鋼に関連する解決コンセプト
    ・ ホウロウに関連する解決コンセプト
    ・ ホウロウ引き工程に関連する解決コンセプト


3.10  解決コンセプトの影響の見積り

はじめに、評価パラメータEPと問題の間のリンクを重み付けする。評価パラメータEPが好ましい方向に向かうとき、問題が解決される傾向にあるなら、重みはプラスであり、反対の傾向なら重みはマイナスである。 リンクの強さに従って、絶対値を 1〜3とする。 例えば、「反応層の厚さ」というパラメータの値が小さい方 [すなわち、好ましい方向] に動くと、「ホウロウ層が厚すぎる」という問題は、大きく解決される。 そこで、リンクの重みを +3とする。この部分(の見積もり)は、内部的に [問題解決チーム内で] なされ、「EP-PBマトリクス」として作り上げる。[訳注(中川): これは「PB-EPマトリクス」と呼ぶ方が、後の計算と整合性が採れると思われる。]

次に、評価パラメータEP と解決コンセプトSCとの関係を確立する。すなわち、各解決コンセプトSCが各評価パラメータEPに対して持つインパクトを重み付けしなければならない。 客観的にするために、コンセプトを生み出した人には、この評価ができない。これが、外部の専門家が求められる理由である。 実際には、分析は評価格子に書き込みながら行われる。 解決コンセプトSCが評価パラメータEPを好ましい方向に発展させることができると信じられるなら、重みはプラスであり、逆なら重みはマイナスである。 そしてここでも、絶対値は予想されるインパクト (プラスかマイナス) の強さを反映する。 各専門家の評価は「EP-SCマトリクス」をもたらす。

 

3.11  評価結果分析

「EP-PB」マトリクス [訳注:「PB-EP」マトリクス] と「EP-SC」マトリクスをソフトウェアに入れ、マトリクス計算をして全体の「PB-SC」マトリクスを生成する。全体の「PB-SC」マトリクスは、すべての評価者の貢献を考慮に入れ、解決コンセプトが問題に与えると予想される影響を反映している。
[訳注:マトリクス計算で、 「PB-SC」ij= (「PB-EP」「EP-SC」)ij = Σk 「PB-EP」ik 「EP-SC」kj と計算する。]

プログラムは図8(の上図)に示すようなグラフを返してくる。この図の目的は単に、プログラムが返してくる結果がどう表されるかを示すことである。図中でテキスト自体は多くを意味しない。すべては次のパラグラフで詳細になるから。



図8:  並べ替えられたSCとPBの間のリンク

評価された17の解決コンセプトは、右側の緑色の箱で表され、一方、問題は下端の緑色の箱で表される。青い楕円は、解決コンセプトSCが処理されて、問題の解決に至るときに止揚された矛盾を表わす。 このグラフの下部には7つの問題だけが現れたが、研究の始めにはそれよりずっと多くが特定されていたのに気付かれるだろう。実際、このグラフをより読みやすくするために、表示する問題の最小重みを選択することができる [その値より小さな重みの問題は表示しない]。同じことが評価パラメータEPについても言える。選ばれた最小重みに応じて、矛盾(青い楕円)の数が変わるだろう。

また、各解決コンセプトSCによっていくつの問題が解決されているかをチェックすることも可能である。これは図8(の下図)のグラフで示されている。 直接に解決された問題はオレンジ色で強調され、そして、それらの結果の (ドミノ効果で解決された)サブ問題は緑色で強調されている。

解決コンセプトSCは、解決した問題の減少数によって分類される。1人の専門家の意見が他の専門家の意見と大きく違っている時、シミュレーションを行うと、1回のシミュレーションで一人の専門家の意見を除外することができ、結果が劇的に違って来る。 問題を解決できる解決コンセプトSCの数が異なる (10〜6まで) こと、またそれらの順番も異なることわかった。しかしながら、考慮に入れられる4人の専門家の組み合わせがどうであっても、二つの解決コンセプトSCが最初の三つのものの中にいつも現れた。すなわち、SC #1.1.5 と SC #1.1.2 である。

これらの解決コンセプトSCは現在、実験段階にあって、産業パートナーに提供されている。提供されているのは強いインパクトのある信頼できロバストな研究開発プログラムであり、それらは、当初、いかなる探索方向も、どこを探索すればよいかも、どこで研究開発の努力をすべきかも示されていなかった問題に対して、本研究が提示したものである。

 

 

4.  結論と今後の活動

この論文を通して私たちは、TRIZ と OTSM の両方の枠組みに基づく応用研究の最近の実績を提示することを意図した。 私たちは、最初に、私たちが TRIZ の方法とツールをどう評価し、それらの限界をどう評価したかを紹介した。IDM (Inventive Design Method) の研究フレームワークは、TRIZの制約に対処することを受け入れた大企業の意欲によって2006年に始まった。 6年間の調査、分析、およびケーススタディの後に、私たちは今、R&D部門での革新(イノベーション)を引き起こすことを目的とする発明的なプロジェクトをサポートする完全な枠組みを提案できる。これらの研究結果に基づき、IDMの展開を支援し、その方法論の精度を失うことなくプロセスを加速する、有用なソフトウェアを作ることが可能になった。それがSTEPSである。 IDMを分かりやすく産業界に移転可能なものにするために、私たちはあらかじめ主要概念の完全なオントロジーを築き上げなければならなかった。そして主要なツールを発表して、私たちの信念とそれらのルーツを、事例を添えて、他の研究者や産業人に説明することが必要であった。

私たちの今後の仕事は3つの方向に向かう。
最初の1つは、研究開発の実践の適切な測定手段(インディケータ)を確立することである。これは、革新の流れの中で、科学的にIDM実践の付加価値を立証するためである。
2番目は、発明的な設計と、計算(または、最適化)のような通常の設計タスクの間の可能な関係を調査することである。これは、解決コンセプトの真のロバストネスと、その結果それらを開発することへの財政的な投資に、より自信を持てるようにするためである。
3番目のものは特許発掘の方向に行くだろう。それは、利用可能な知識 (できるだけ元の分野から離れたもの) の賢い利用が発明を喚起すると、私たちが信じているからである。この方向では、特許は、利用可能な工学知識の80%以上を表しているが、発明的な設計の文脈でまだずっとわずかしか利用されていない。

今日、私たちは、この研究の結果を公に発表することを可能にしてくれた日本TRIZ協会に感謝する。これが、TRIZ世界に貢献し、そのメンバー、研究者、産業人、教育者、入門者のすべてにとって、効率的に創造設計を実行に移す方法となり、その結果、企業の革新的戦略が信頼できる未来に向かうように後押しすることを希望する。

 

 

参考文献

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[17]  N. Khomenko et R. De Guio, « OTSM Network of Problems for representing and analysing problem situations with computer support », in TRENDS IN COMPUTER AIDED INNOVATION, 2007, vol. 250, p. 77-88.

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序論

TRIZからIDMへ

適用事例

マルチスクリーン

矛盾 解決コンセプト 結論 参考文献

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  基調講演 発表スライド     PDF (高原利生、古謝秀明訳(2012))(54スライド、4.7 MB) 

 

TRIZがどのようにR&D活動のパラダイム変換に貢献できるか?

Denis Cavallucci (INSA ストラスブール(フランス))

第8回日本TRIZシンポジウム2012、基調講演 発表スライド、 日本TRIZ協会主催、2012年9月7日

和訳: 高原利生、古謝秀明 

2012年9月7日

 

基調講演 発表スライド 目次

はじめに: 基調講演の概要

1.  背景

1A.  簡単な自己紹介、INSAストラスブールでのTRIZ研究の歴史
1B. 最新の状況 と 今後に待ち受ける挑戦
1C. TRIZの公準: (1) 基礎の簡単なおさらい、(2) 技術システムの進化の法則、 (3) 矛盾、 (4) 方法論として見ると

2. TRIZから IDMへ

2A.  IDM方法論の起源
2B. 産業状況におけるTRIZの限界を理解する

3.  ソフトウエア STEPS

3A. ソフトウエアの必要性
3B.  IDMの4つの主要なステージ
3C. 初期状態の分析
3D.  多数の矛盾を管理する、TRIZツール全体を使う
3E.  解決策コンセプトツリーを構成する

4.  適用事例

5.  展望

5A.  IDM教育
5B. 限界に挑戦する研究
5C. 結語

 

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TRIZからIDMへ

STEPS

適用事例

展望

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はじめに: 基調講演の概要

 

 

 

1.  背景

1A.  簡単な自己紹介、INSAストラスブールでのTRIZ研究の歴史

    

 

 

1B. 最新の状況 と 今後に待ち受ける挑戦

    

 

  

 

 

1C. TRIZの公準: (1) 基礎の簡単なおさらい

  

 

  

 

 

1C(2) 技術システムの進化の法則

  

 

  

1C(3) 矛盾

  

1C(4)  方法論として見ると

    

 

  

 

 

2. TRIZから IDMへ

2A.  IDM方法論の起源

  

2B. 産業状況におけるTRIZの限界を理解する

  

 

 

 

 

 

 

3.  ソフトウエア STEPS

3A. ソフトウエアの必要性

 

3B.  IDMの4つの主要なステージ

   

3C. 初期状態の分析

   

3D.  多数の矛盾を管理する、TRIZツール全体を使う

 

3E.  解決策コンセプトツリーを構成する

 

4.  適用事例

 

 

 

 

 

5.  展望

5A.  IDM教育

 

5B. 限界に挑戦する研究

 

 

 

5C. 結語

  

 

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最終更新日 : 2018.12.13      連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp