大阪学院大学 外国語学部ホームページ
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III. アメリカ留学

1) 大学選び(Step 1)

インターネットには世界中の大学を網羅したサイトがあります。例えば、Yahoo! Directory Colleges and Universitiesをクリックして下さい。最初のページのtop categories中のUnited Statesをクリックするとアメリカの大学の一覧にアクセスできます。Site Listingsの項目は人気順とアルファベット順から選べます。人気順はアクセス数を基にして順番を振っています。アメリカ人の人気を基にして大学選びをする必要はありませんので、アルファベット順で調べて下さい。"School Soup"も便利なサイトです。大学の概要が簡潔に書かれていますし、奨学金の情報も豊富です。

アメリカの大学選びの基準には、日本のような偏差値が使われません。そもそもの大学の教育や研究の評価を一つの数値で表すことに無理があります。大学へ進む理由や目的には個人差がありますから、選択の基準もたくさん存在してよいはずです。それが分かっていても序列化したいのが人間の人間たるゆえんでしょうか。アメリカの大学を「序列化」したもので、特によく知られているのがU.S. News & World Reportの大学ランキングです。同じような趣向のものにヤフーの大学ランキングがあります。どちらも人気投票と考えていただいてよいと思います。

経済的に余裕のある人は私立大学を選ぶこともできますが、研究や教育について州立大学は私立大学よりも劣っているというわけではありません。最初から州立大学に絞れば、選択の幅が狭まり、好都合です。次に大学所在地の気候で絞ってみましょう。寒いのは困る、という人は内陸部の特に北部の州の大学は除外されます。(筆者はNebraska州の大学で学びましたが、冬は零下20度になることもありました。冷凍庫なみの気温です。それでも建物内は暖房されているので快適に過ごせます。)

ニューヨークやシカゴなどに立地する大学は、治安を重視する人の選択肢には入りません。(アメリカの大学には大学内にUniversity Policeという正規の警官が常駐しています。キャンパスをパトカーでパトロールしていて、治安は保たれています。) そういう人は、「大学町」と呼ばれる小都市にある大学を選んでください。治安はよいし、その大学の行事がそのままその町の行事と言ってよいような一年をおくることができます。初めての留学にはこういう大学がお薦めです。例えば、オハイオ州のマイアミ大学(Miami University)のあるOxfordという町は人口約20,000人です。学生数が、学部生14,000人、大学院生1,500人ですから、文字通り大学町と言ってよいでしょう。(ただし、内陸の都市なので、冬は平均気温が零度を下回ります。) 学部学生の8,3%が「多元文化を背景とする学生(multicultural students)」だそうですが(2007年)、これは大都市の大学に比べると少ないようです。日本人留学生が少ない大学の一つです。

Miami Universityと同じような規模の大学で、小都市に立地する州立大学は他にもたくさんあります。そのいくつかを挙げれば、アイダホ大学(Idaho University、アイダホ州モスコー[Moscow])、ワシントン州立大学(Washington State University、ワシントン州パルマン[Pullman])、オレゴン州立大学(Oregon State University、オレゴン州コルバリス[Corvallis])、モンタナ大学(University of Montana、モンタナ州ミズーラ[Missoula])、ノーザン・アリゾナ大学(Northern Arizona University、アリゾナ州フラッグスタッフ[flagstaff])、オハイオ大学(Ohio University、オハイオ州アセンズ[Athens])です。いずれも学生数2万人以下の、州立大学としては小規模で、人口5万人程度の小都市に立地する大学です。特にレベルが高いというわけでもありませんが、充実した教育が受けられる大学です。 

名は体を表す、と言いますが、アメリカの大学は名前を見るだけでどのような大学か分かります。州立大学のほとんどは地名を含んでいます。短いほどその州内の大学では歴史が古く、社会的評価も高いと考えて間違いありません。最初に大学(University)と付く大学は、大学院生の数の多いアカデミックな大学です。研究に重点を置いているので、入学難易度も高く、研究のレベルも高いので海外から優秀な研究者や大学院生を引き寄せます。一方、「州立大学」という名前の大学(〜State University)は、教員養成と農業に関する学部中心の大学として設立されたものがほとんどです。University of〜よりは入学しやすく、自分のペースで勉強したいという人にはお勧めです。イリノイ州立大学(Illinois State University)の所在地はノーマル(Normal)という小都市ですが、この大学は最初normal school(師範学校)として建てられました。それが地名にもなったのです。この州の州立大学の最高峰はイリノイ大学アーバナ・シャンペイン校(University of Illinois at Urbana-Champaign)です。図書館の蔵書数は全米の大学で第三位の約1千万冊です。この大学は飛行場を持っているので、「車でも飛行機でも列車でもバスでも、本学へのアクセスは容易です」と大学案内に書かれています。

ほとんどの州の大学に上に述べた定義は当てはまりますが、〜State Universityのない州では、オハイオ州のように、Ohio State Universityのメイン・キャンパスであるコロンバス校(Columbusはオハイオの州都)が学生数5万人を超える州内最大の大学で、そのうちの1万人が大学院生です。この大学も飛行場を持っています。インディアナ州も同じで、University of Indianaは存在せず、州立大学で最もアカデミックな大学はIndiana Universityのブルーミントン校です。この大学には他の大学に見られない特殊な学部がいくつかあります。民俗学・民族音楽学部はそのひとつです。言語学と音楽では全米でもトップクラスです。一方で、スポーツも盛んでキャンパス内にゴルフコースがあり、室内プールは全米選手権も開催される程の立派なものです。アメリカ旅行のついでに訪ねてみてください。

大学名とその内容との関係で知っておいてほしいことがもう一つ。それは名前が長くなるほど歴史が新しく、入学も易しくなるということです。ワシントン州の大学を例にとると、University of Washingtonはこの州で最大規模の大学です。入学条件も一番厳しく、それに次ぐのがWashington State Universityです。その次にEastern Washington UniversityやCentral Washington UniversityやWestern Washington Universityが続きます。イリノイ州やミシガン州の大学でも同じことが当てはまります。でも、名前が長くて歴史が新しくて、入学が楽だからといって、教育レベルが低いというわけではありません。アメリカのほとんどの州立大学は日本のどの大学にも負けないほど優れた教育システムを持っています。学生も遊んで卒業しようという人はほとんどいません。「学びながら楽しむ」ことを実践できる人がアメリカの大学への留学資格を満たす人です。これまで述べた判断基準を使って、自分に合った大学を探して下さい。

アメリカの大学では、同じ州立であっても授業料が異なっています。別の州になれば授業料の総額の違いはもっと大きくなります。原則として州内の学生と他州の学生では授業料の差は大きく、州によっては、州外生は州内生の3倍もの授業料を払わなければならないこともあります。留学生は他州の学生として扱われます。授業料の安いのは、ロッキー山脈に沿った州で、アイダホ、モンタナ、ワイオミング、ユタ、ニュー・メキシコなどの州立大学です。(授業料として表示されているのは二学期分で、諸費用[Room and Board]も同様。2007年秋に始まる学年の費用。) 例えば、University of Idahoの授業料は8,770ドル、諸費用が5,342です。University of Wyomingがそれぞれ8,640ドルと5,953ドルです。アメリカの大学の授業料はインフレの傾向があって、毎年10%程上がります。1ドルを100円と換算すると、アイダホやワイオミングの大学で一年学ぶと150万円ほど必要になりますが、日本の私立大学で学ぶのとそれほど差がありません。しかし、大学の施設や教育の密度は、残念ながらアメリカの大学がはるかに整い、優れています。

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