Yahoo Directoryは、アメリカの大学を1625校、イギリスの大学を336校掲載しています。しかし、イギリスの大学にはアメリカのコミュニティ・カレッジに相当する職業教育専門の「大学」や教員養成のための特殊な大学も含まれています。日本人が留学の対象として考えることのできるイギリスの大学はおおよそ80校です。アメリカでもイギリスでも大学はuniversity/collegeですが、イギリス英語とアメリカ英語の違いと同様、イギリスとアメリカの大学にはかなりの違いが認められます。何よりも修了年限が異なっています。アメリカは日本同様、大学の修了年限は4年です。一方イギリスでは大学は3年で卒業できます。その理由を、London School of Economicsで長く教鞭を執った森嶋通夫は、新入生の学力が高いからだと言っています。イギリスの大学入学資格試験であるAレベルが難しいので、大学へ入学した時点で学生は日本やアメリカの大学二年生の学力があるという主張です。そのため、三年で大学を卒業できるのです。このことは、イギリス以外の国からイギリスの大学へ留学することが難しいということにもなります。実際、日本の高校を卒業したらアメリカの大学の一年生に入学できますが、イギリスの大学ではFoundation Courseを経由することが多いようです。このコースは、大学での勉強の基礎固めとして、将来専攻したい分野の基礎科目と併せてスタディ・スキルを学ぶ大学入学準備コースです。
(1)の設問にあるダーラム大聖堂は、イギリスでは現存する最古の大聖堂(cathedral)。礎石が置かれたのは1093年で、大聖堂の例に漏れず、完成に数百年を要しているので、ロマネスク様式とゴシック様式が混在しています。ロマネスク様式はイングランドでは、それを伝えたノルマン人の名を借りてノルマン様式と呼ばれます。ヨーロッパ大陸ではロマネスク→ゴシックと建築様式が移り変わったのに、イングランドではサクソン→ ゴシックという変遷が見られます。ですから、ロマネスク様式の教会堂や大聖堂は極めて希です。日本史に置き換えると、平安時代の建築様式を問う設問に相当するでしょうか。中身が難しいかどうかはさておいても、9時間という試験時間はAレベルの受験生がこれに絶えうる持続力や忍耐力を持っているという証拠ですから、この点では日本の同年齢の若者よりも優れているのではないでしょうか。教養を身につけるには、何よりもまず根気や持続力が大事ということをこの試験は受験生に教えているのかも知れません。とにかくこういう設問にウィリアム王子は解答し、スコットランドのSt. Andrews University/University of St. Andrewsへ入学しました。ただし、入学したのは一年後です。ギャップ・イヤーという制度を利用して、大学へ入学する前に社会経験を積んだのです。日本の大学の合格通知と違って、イギリスの大学のそれの「有効期限」は長いのです。セント・アンドリューズ大学入学後に、彼は最初専攻した美術史から、地理へ専攻を変更しますが、Upper-secondという、父親のチャールズ皇太子よりも優れた成績で卒業しました。