イギリスの大学はひとつを除いてすべて国立大学ですから、授業料はほとんど同じで大体9,000ポンドから1万1000ポンドの間です。上に述べたように、日本から留学を志す人が選ぶ対象になりそうな大学は約80校です。イギリスの大学をWebで探すときには、Yahoo Directory>By Region>Countries>United Kingdom>Complete Listと進むか、イギリスの大学に特化したサイトを使って下さい。このサイトは地域からも、専攻からも大学探しができるようになっていて便利です。もうひとつUCASも便利です。学部への入学希望者はすべてUCAS(Universities and Colleges Admissions Service)へ願書を提出することになっています。ですからこのサイトは留学希望者にとって必須の事柄が簡単に見つかり、それを調べることができるようになっています。例えば、自分の専攻したい科目名を入力すると、それに該当する大学の学部の一覧を見ることができます。入学資格なども簡潔に書かれています。ファウンデーション・コースに入学したい人は、Foundation Courseを検索すればこのコースを提供している大学の一覧を見ることができます。地域から大学を選ぶことも可能です。
イギリスの大学は主要都市にたいていふたつずつあります(ロンドンなどの大都市を除く)。ひとつはアカデミックな大学、もうひとつが職業教育中心の大学です。どちらの大学に属するかは名前の長さでほぼ判断できます。例えば、マンチェスターにはManchester UniversityとManchester Metropolitan Universityの二つがあります。ブリストルにもBristol UniversityとUniversity of the West of Englandという大学があります。名前の短い大学はアカデミック、つまり大学で学んだことが必ずしもお金儲けにつながらない学部中心の大学、名前の長い方が職業に直結した勉強のできる大学です。世界遺産に指定された都市バース(Bath)には、Bath UniversityとBath Spar Universityがあります。これらの大学の違いはもう明らかですね。
ローマ人がブリテン島を占領していた時代に造られたバースの浴場
アメリカの大学とイギリスの大学の顕著な違いは、アメリカの大学は名前がひとつですが、イギリスの大学は二通りに呼びならされることがあるということです。イギリス人はCambridge Universityともthe University of Cambridgeとも平気で呼びます。彼らは同じ調子で、例えば、アメリカの大学をthe University of Chicagoと呼び、Chicago Universityと呼びますが、シカゴ大学の卒業生である経済学者のミルトン・フリードマンなら自分はthe University of Chicagoの卒業生だ、Chicago Universityではない、と怒るでしょう。イギリスでこういうおおざっぱな呼称が通用するのも、ひとつの都市に大学はひとつという歴史の反映です。上に述べたManchester Metropolitan Universityは1991年までManchester Polytechnicという名前でした。日本語の「科学技術専門学校」という訳を充てますが、ほぼ正確に性格を表す訳です。つまり、ひとつの都市に、その都市名を冠したアカデミックな大学が一校、ポリテクニックという名前だった職業教育専門の大学がもう一校存在しているのです。イギリスの大学の規模はアメリカの大学ほど大きくありません。アカデミックな大学の平均的な学生数は2万足らずです。1991年までポリテクニックだった大学の中には学生数が5万を超える例もあります。職業教育専門大学は規模にかかわらず、たいてい複数のキャンパスを持っています。では、アカデミックな大学と職業教育中心の大学のどちらを選ぶべきでしょうか。