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総合目次  (A) Editorial (B) 参考文献・関連文献 リンク集 TRIZ関連サイトカタログ(日本) ニュース・活動 ソ フトツール (C) 論文・技術報告・解説 教材・講義ノート   (D) フォーラム Generla Index 
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出版案内『TRIZ 実践と効用』シリーズ

CrePS体系資料 USITマニュアル/適用事例集 WTSP (世界TRIZサイトプロジェクト) サイト内検索 Home Page

 

2017年

WTSPプロジェクト :  世界TRIZサイトプロジェクト(WTSP)の索引ページを作り、基本情報の詳細の英文ページを作りました (中川 徹) (2017.12.27)

「世界TRIZサイトプロジェクト」(World TRIZ Sites Project (WTSP))の索引ページを作り、プロジェクトの基本情報を常時更新して記載し、活動ニュースを蓄積掲載していくことにしました。和文ではまだ目次相当の概要だけですが、英文ページにはプロジェクトの開始のための具体的な情報をきちんと記述しています。以下のサブのページがあります。

(A1) 方針  (目的、  成果目標 、 文書作成プロセス、  プロジェクトチームの組織 

(A2) 組織  プロジェクトメンバーへの招待 、メンバーへの加入、 チームの組織と必要な役割 、現在の組織とメンバー

(A3) プラットフォーム (共同作業の場)  (Bitrix24グループウエアシステムの概要 、 Bitrix24システムによるWTSPプラットフォーム 、 文書作成のためのBitrix24プラットフォームの使い方の紹介

(A4) ガイドライン  個別サイトの記述のガイドライン 、サイトの一覧の記述のガイドライン 、 (2) 文書の扱い方の3主要段階 (草稿、プロジェクト内レビューの原稿、公開発表した成果) 、 (3) 国、地域、全世界での文書の扱い方 、 (4) 英語およびその他の諸言語で記述した文書の扱い方 、 (5) カテゴリで体系化した文書の構成

(A5) プロジェクト成果に対するアクセス法   (WTSPプラットフォーム内の公開成果文書への公開リンク 、 成果の文書の利用について

(A6) 公表文書   (WTSPプロジェクトの基本情報 、 WTSPプロジェクトの成果文書 (今後公表)

(B1) WTSP ニュース 2017年

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2017年11月〜12月)/'World TRIZ Sites Project' の提案と開始の経緯 (2017.12.17) 「読者の声」一覧(2017.12.17)

この「読者の声」のページは通常、日本・世界の読者の皆さんと編集者(私)とのさまざまな通信を記録してきております。しかし、この11月―12月をカバーしています今回のページは、非常に特別で、その大部分は、中川が発信しました「World TRIZ Sites Project」の提案と、それに対する世界各国のTRIZリーダからの積極的な応答の記録になっています。(和文ページにも、英文ページの構成が分かるようにしましたので、原文は英文ページをご覧ください。) プロジェクトの提案と参加招待については、すでに12月9日に本ホームページに、(いわば通常の記事として)掲載しています。一方、本ページでは、私がなぜこのプロジェクトを欲し、どのようにしてプロジェクトを始動したのか、また、世界各国の多くのTRIZリーダたちがいかに積極的に応答して、プロジェクトに賛同し加入してきているかが、分かるでしょう。 「World TRIZ Sites Project」が必要だというこの共通認識は、「世界のTRIZサイトをリンク・紹介する(大きな)ページを作ろう」という動機づけになり、さらに進んで、われわれ世界のTRIZコミュニティが「一緒に、連携して」働くことになるでしょう。

[和文ページ] 中川 徹; 小坂 義裕、 朽津 耕三先生、前川 恒久、佐久間 秀武、村田 朋美
朽津耕三先生(東大名誉教授)から激励をいただき、90歳を超えてもまだ国内・国際のアカデミックな交流を続けておられる近況をおききしました。中川はお礼と最近思うことを返信しました。佐久間さんからは、東大三鷹寮の繋がりで、この3年間ほど(交通関係を主とした)事件・事故が起こる度に、3〜4頁の「ヒューファク安全情報」を送ってくださっています。今回そのごく一部を引用させていただきました。エラーには3種(無作為、系統的、突発的)あり、原因・性質が違うから、対策が違わなければならない。教育・訓練は無作為エラーに、設計手順の順守は系統的エラーに有効だが、突発的エラーにはどれも有効でない。潜在意識下で起こる突発的エラ―には、佐久間のいう「ヒューマンファクタの手法」を採用すべきである。といいます。

[英文ページ] 中川 徹Vladimir Petrov (イスラエル), Shireen Al - Jaouni (エルサレム), Alexander Theodor Narbut (ウクライナ), Mohammad Reza Nouroozi (イラン), Simon Dewulf (豪), Tan Runhua (中国), Oleg Kraev (for Yuri Salamatov) (露), Nina Defounga (独), Nikolay Shpakovsky (露), Valeri Souchkov (蘭), Darrell Mann (英), Davide Russo (伊), Tanasak Pheunghua (タイ), Michael Orloff (独), Ian Mitchell (英), Leszek Chybowski (ポーランド), Ellen Domb (米), Kai Hiltmann (独), T.S. Yeoh (マレーシア), 蔡易坤 (for Prof. Lingling Luo) (中), Yury Danilovsky (韓/露); Eyad Khalifeh (加/イスラエル)
私は、「世界TRIZリンク集」を10年ぶりに更新しなければと思い、世界のTRIZリーダの人たちの協力を得たいと思いました。そのために、趣旨提案、グループウエアのプラットフォームの準備、サイト集の記述法と扱い方、チームの作り方などを、考えては、世界95人のTRIZリーダに提案していきました。幸い、多くの人たちから積極的な賛同を得て、「World TRIZ Sites Project」を開始し、参加を招待するに至りました。約3週間の交信記録で、この経緯を明らかにしています。有意義なプロジェクトにしたいと思っています。日本の皆さんのご協力をお願いします。

TRIZフォーラム:  World TRIZ Sites Project の計画と招待: 世界と日本のTRIZサイトを結ぶボランティアプロジェクト (中川 徹)  (2017.12. 9)

本件は、11月後半以来、私が世界の33ヵ国95人のTRIZリーダの人たちに提案し、準備を進めてきたプロジェクトです。その目的は「世界の至る所に分散して存在しているTRIZのWebサイトをきちんと紹介したリンク集を作ろう」というものです。私が10年来提唱してきましたビジョン「TRIZについての「公共Webサイトのグローバルなネットワーク」を作ろう: グローバルなTRIZコミュニティを構築するための提案」につながる、世界レベルの具体的な活動です。シンボルマークにその趣旨を表現しています。 多数のTRIZリーダたちの賛同を得て、新しくクラウド上のプラットフォームを準備し、ボランティアでのプロジェクトを発足させました。

提案書は次の4件のシリーズで、英文ページ (提案書)に掲載します。 (タイトルだけ和訳しておきます。)
「提案(1) 「世界のTRIZサイト300」というページを作るのにご協力ください」 (中川 徹 2017.11.21)
    「提案(1A)  プラットフォーム TRIZSites.bitrix24.com を基盤にして協力しましょう」 (中川 徹 2017.11.22)
    「提案 (1B)   TRIZサイトとそのリストの記述のガイドライン: 世界TRIZサイトプロジェクト」 (中川 徹 2017.11.27)
    「提案 (1C) プロジェクトチームを組織する: 世界TRIZサイトプロジェクト」 (中川 徹 2017.11.28)
これらをベースにして準備を整え、改めて プロジェクトの開始を伝え、参加・協力を求めました
  「世界TRIZサイトプロジェクトへの招待: ボランティアとしてご協力をお願いします」 (中川 徹 2017.12. 4)  英文ページ掲載

本和文ページは、上記の12月4日の文書を和訳し、日本のTRIZ関係の皆さん向けに少し補足・追記したものです。プロジェクトの計画を具体的に説明し、作成・登録済みのテンプレートと記述例を示して、プロジェクトへの参加・協力をお願いしています。つぎの3形態の内の適当な形で、ご協力いただける方を募っています。
    (a) 自分のサイト、自分の周りのサイトについて、世界の計画に沿った紹介記述を日本語で作り、このプロジェクトに寄稿する。プロジェクトメンバーにはならない。
    (b) 日本全体のWebサイトの日本語版での記述・紹介の共同作業に加わる。Bitrix24システムでの日本語版の作成メンバになる。
    (c) 世界の共同作業に参加し、日本語版+英語版で日本全体のWebサイトの記述・紹介の共同作業に加わる。また、将来、世界のサイト集ができたときに、その日本への紹介のための仕事に加わる。世界TRIZサイトプロジェクトの正式メンバになり、ボランティアとして活動する。
ご協力いただける方は、上記資料をお読みの上、プロジェクトリーダの中川までご連絡ください。どうぞよろしくお願いいたします。

編集者より: 本サイトの検索およびサイト内検索の障害を回復しました(中川 徹) (2017.11.16)

本サイトが運用の手違いのため半年前から検索ロボットの閲覧を拒否していたことが判明し、このたび訂正しました。また、サイト内検索が(理由不明ですが)2年ほど前から機能不全になっておりましたのを、このたび回復しました。長期間検索停止しておりましたことをお詫びしますとともに、本来の検索ヒット率に回復するには今後も長期を要すると思われますので、皆さまのご寛容をお願いいたします。また、リンク集を2008年以来更新できていないこと、TRIZ関連ソフトウエアの最新情報を掲載できていないこと、など、多くのバックログがあることを痛感しております。ボランティアでご協力いただける方を求めております。

論文: 中国におけるTRIZ の開発と産業界への普及活動  (2017.11. 5)

Runhua Tan (河北工業大学 技術革新方法とツールのための国家工学研究センター、中国)、 TRIZCON2017, 2017年10月4-5日、Atlantic City, NJ, 米国; 和訳: 中川 徹 (大阪学院大学), 2017年10月29日

先月初旬に、ETRIA TFC2017 がフィンランドで、また、TRIZCON2017が米国で開催されました。多数の発表の中で特に興味深いのが、河北工業大学の研究所が両学会で発表した本論文です。私の要請に応じて、Tan教授がTRIZCONでの論文と発表スライド一式を送ってくださり、Altshuller協会の許可を得ましたので、ここに英文と和訳で掲載いたします。中国でのTRIZの研究と普及が、2004年の状況(趙 新軍 (Zhao Xinjun) 、東北大学(中国))、2011年の状況(周 賢永 (Xian-yong ZHOU) 、西南交通大学)に比べて格段に発展していることは驚くばかりです。
河北工業大学(天津市)のこの研究センターは、Tan教授が指導し、約80人のFaculty メンバー、約20人の博士課程学生、そして約80人の修士課程学生が在籍して(訂正:2017.11. 7)、TRIZを中心とした技術革新のための方法論とツールの研究開発と普及活動をしている、といいます。中国には、この他にも沢山のTRIZ研究拠点があるようです。

「TRIZを中核にして、イノベーションのための諸技法を統合した体系」を作り、C-TRIZ(中国版TRIZ) と呼んでいます。概要が紹介されていますが、詳細は中国語の論文で、私には分かりません。
MEOTM(多数技術者向けのトレーニングモデル)と呼ぶ、企業への普及活動が最も注目されます。近年の中国の旺盛な企業活動・経済発展をバックにして、(国と地方の)政府、諸企業、そして技術者たち自身に、イノベーションのための方法を習得する強い動機があることが、本論文から明確に伝わってきます。日本(や欧米)での数日の研修ではなく、半年〜1年継続の教育と演習(主に週末を利用)です。一つまたは複数の企業を選定し、参加技術者を選定して、訓練をします。参加者は各自、自分の仕事に関連した「発明的問題」を持ち込み、期間中にそれを解決して、最終の発表と口頭試問をパスして初めて、資格認証を得ます。この訓練プロセスにセンターだけでなく、企業のマネジャたちが加わっていることも大きな特徴です。「2013〜2016年に40のトレーニングクラスを実施し、721企業の技術者たち合計3173人を訓練し、そのうちの1471人が資格認定を受けた」と報告しています。そのやり方は、(なかなか真似ができませんが)参考にするべきことが多くあります。
和文ページには、和訳論文を掲載、スライド数枚のみ。英文ページに、論文とスライド全件(55枚)を掲載。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2017年 8月〜 10月) (2017.11. 5) 「読者の声」一覧(2017.11. 5)

[和文ページ] 水谷 忠資、池添 康正、萩野谷 興、片平 彰裕、日野 克重、小谷 洪司、高山 直彦、中川 徹(2017.11. 5)
本ホームペ記事についていろいろな方から返信をいただきました。感謝して、掲載させていただきます。
沢山の方(水谷さん、池添さん、萩野谷さん、日野さん)から、中川の「自由 vs 愛」と「倫理」についての、コメントや質問をいただき、返信・討論しました。片平さんからは札寄せツールの6.04版の紹介、小谷さんから「日本早期認知症学会」の紹介をいただき、高山さんは「物理学における発想の方法」についてコメントくださっています。

[英文ページ] Simon Dewulf (豪), Valeri Souchkov (オランダ), Shireen Al-Jaouni (エルサレム), Isak Bukhman (米), Sung-Wook Kang (韓), Toru Nakagawa (2017.11.5); 英訳追記: 高山 直彦、中川 徹Andrei Seryi (英) (2017.11.12) 
それぞれ短信ですが、本ホームページの活動・記事を評価下さり、激励くださっています。特に韓国のKangさんから、フィンランドでの再会時にカードをいただき、私の活動を一つのお手本に思ってくださっているとのこと、望外の光栄です。
Prof. A. Seryi (英)の要請に応じて、高山さんと中川のメールのやり取りを英訳して、英文ページに掲載しました。また、関連する山口栄一教授の「イノベーションダイヤグラム」について、和文・英文ページに紹介を追記しました。(2017.11.12)

  TRIZホームページ(TRIZ Home Page in Japan) の 満19年にあたって (中川 徹) (2017.11. 5)

本ホームページを創設して11月1日で満19年になりました。国内外の多数の著者、訳者、読者の皆さまのご支援に感謝いたします。「創造的な問題解決の方法論」の理解と普及のための情報公開の場です。当初は「旧ソ連で技術分野のために開発されたTRIZ」の導入を目指しておりましたが、その後、TRIZの内容や適用分野が拡張・発展するとともに、欧米や日本だけでなく、アジア諸国に広く普及しつつあります。私自身も、TRIZをやさしくしたUSIT法、「6箱方式」という新しいパラダイム、それをベースにしてさまざまな方法を統合する「創造的な問題解決の一般的方法論(CrePS)」へと展開してきました。特に一昨年から社会問題への適用を試み、人類文化の根底にある矛盾を解明するために「自由・愛・倫理」の関係を考察しています。本サイトのテーマ内容が少しずつ拡張・変化してきておりますが、すべて自然な発展と考えております。

本ホームページは、非営利の立場で情報の公開による紹介・発信・交流を進めることを目的としております。ボランティアで開始し編集しておりますが、個人のホームページではなく、読者の皆さんの寄稿を掲載する「公共サイト(Public Web site)」を目指しています。また、和文と英文の並行したページ作りに努力して、日本と海外との協力関係を作ることを目指してきました。世界の各国・地域に公共Webサイトを作り、グローバルで自律的なネットワークを作ろうと提唱しています 。2012年には4つの「入口ページ」を作り、いろいろな読者の方に親しみやすくしました。なお、2005年11月以降の visit数は、(11. 5現在) 和文トップページが 233,763 (この一年で約 3,400増)、英文トップページが 41,640 (この一年で約 1,200増) でした。 読者の皆さんのさまざまな問題解決のために本ホームページを活用 いただけますと幸いです。ご寄稿をお待ちしております。

基調講演: 科学のためのTRIZ: 科学機器の進化および科学への応用における発明の方法論  (2017.10.17)

Andrei A. Seryi (オックスフォード大学、加速器科学のためのJohn Adams研究所、英国)、 欧州TRIZ協会(ETRIA) TRIZ Future 国際会議 (TFC2017)、基調講演、 2017年10月5日、ラッペエンランタ工科大学、フィンランド; 和文紹介: 中川 徹 (大阪学院大学), 2017年10月14日

先週のETRIA TFC2017での非常に印象的な基調講演です。著者 Seryi 教授の許可を得て、本ホームページに英文と和文で掲載します。スライド110枚と多いので、私は新たに節見出しをつけてスライドをGIF画像で一覧できるようにしました。スライドそのものの和訳はまだできておりません。より鮮明で詳細な図は、元のPDFファイル(英文)で参照ください。
(注: ETRIAはこの学会の論文を本または電子ジャーナルとして出版することを計画しており、各著者にその論文/スライドをWeb サイトなどに掲載しないように指示しております。ただし、基調講演はこの出版計画に含まれていませんので、各著者の判断によりWebサイトなどに掲載することを許可しています。)

Seryi 教授は旧ソ連の出身で1986年にノボシビルスク国立大学 (NSU) 物理学科を卒業し、その後、ロシア、フランス、米国(スタンフォード線形加速器センター(1999-2010))などにおいて、高エネルギー物理学の諸分野で仕事をし、2010年以来、John Adams 加速器研究センター(英国)の所長です。研究所長として、高エネルギー物理学の用途についてより真剣に考え、また、TRIZをより詳しく知って、科学研究における創造性の方法論を教えることを始めたと言います。

最先端の物理学のための科学装置の詳細な図を多く含んでおり、その背景にある物理学を理解するのは(私にも、多くの人にも)困難があります。しかし著者は、議論すべき本質的な点をはっきりとまた(科学一般に関心を持つ人たちに分かるように)平易に示しています。 例えば、将来を予測するには注意が必要、方法論が必要!、さまざまな研究の方向を評価するには、根本的な科学知識の探求目的だけでなく、その有用性についても、コストについても考慮するべきだ、などです。
TRIZの使い方についての著者の洞察もまた大変深いものです。40の発明原理についての説明で、発明原理35「パラメータの変更」について、体積Vや表面積Sなどの単純なパラメータを使う代わりに、その比V/Sを使うとずっと多くの示唆を与えてくれることを示しています。高エネルギー粒子の検出器である、霧箱(Cloud chamber) と泡箱(Bubble chamber)は、TRIZの概念の 「システムと反システム」の例であると説明しています(この概念を使ったら、霧箱の発明から泡箱の発明に40年は必要なかっただろうというのです)。 「スーパーシステムへの移行」というのもまた、大事なTRIZの概念です。新しい方法やツールは、多数の構成要素を組み込んで一つのシステムとして実現されます。そしてそれが有用になるのは、社会的、ビジネス的、技術的などの目的のより大きなシステム(上位システム、すなわちスーパーシステム)の一部として働くときだけです。

「TRIZは科学にとって有用になり得る。インスピレーションを与えるものとして、非常に効果的な諸技法のツールボックスとして、異なる学問分野を結びつける方法として、そして世界を見る新しい見方として。」 −−これがSeryi 教授の結論です。物理学の最先端で多くの業績を挙げ、そしてTRIZをマスターした、一人の指導的科学者の証言です。
なお、ここには「ツールが駆動する科学革命」の面が強く現れていますが、もう一つの「概念が駆動する科学革命」の面でも、TRIZ が寄与できるのではないでしょうか。大きな懸案です

論文: 人類文化の主要矛盾「自由 vs 愛」を考察する (2) 個人における「自由 vs 愛」の矛盾・葛藤と「倫理」  (2017. 9.28)

中川 徹 (大阪学院大学)、 (A) 第39回日本創造学会研究大会2017 発表、2017年9月9-10日、慶応義塾大学日吉校舎(横浜市港北区); (B) 第13回日本TRIZシンポジウム2017 発表、 2017年9月21 - 22日、中野サンプラザ (東京都中野区)

私は表記の演題で、日本創造学会研究大会と日本TRIZ協会TRIZシンポジウムとで、相次いで発表しました。[また、10月4-6日には、欧州TRIZ協会のTFC2017でも同じ演題で発表します。] ほぼ同じ内容ですが、原稿提出時期、提出形態が異なり、参加者層も違いますので、少しずつ調整した原稿と発表にしています。

本研究は、社会的な問題にTRIZ/CrePS方法論を適用した第2報です。前報(2016)では、人類文化の「第1原理:自由」と「第2原理:愛」とに対立があり、それが人類文化の歴史を通じて未解決の「人類文化の主要矛盾」であると認識し、その対立を調整する可能性を「倫理」に求めました。本報は、社会階層の根底である「個人(と個人間)のレベル」での、「自由・愛・倫理」の関係を詳しく考察したものです。関連する多様なキーワードを集めて、札寄せ法で「見える化」することにより、「自由・愛・倫理」の内部構造が明確になり、昨年来の基本仮説を拡張・補強しました。その主要点は以下のようです。

(1) 「倫理」(とその深化)が人類文化の第0原理である。人間の内面において、欲・欲望を「悪の心」から「善の心」に向けさせる指針である。「何が善で、何が悪か」という「倫理の内容」は、後天的に社会から教えられ、歴史と社会によって異なる。しかし、「内心において善悪を判断する心の能力(=「良心」)」が人類には先天的に備わっていると考えられ、それが人類文化の根源的な拠り所である。「すべての人の本質的平等」、「基本的人権」の概念が歴史的に明確になってきた。第0原理の本質は、「すべての人に幸福追求の権利がある」という原理である。
(2) 第1原理「自由」は、「自分で判断し、行動して、生きる」ことであり、競争に勝つことを目指す。革新・創造をもたらすと共に、勝者の支配・保守を生む。第1原理の本質は、「自分(たち)の幸福・利益を追求する」原理である。
(3) 第2原理「愛」は、「各人が子・家族を愛し、隣人を愛して、助け守る」ことであり、「自由」を自制し、奉仕・協調を旨とする。(広い意味の)「身内」を守ろうとして、外部と対立を生む面がある。第2原理の本質は、「みんなの幸福・利益を追求する」原理である。ここで、「みんな」として意識されている範囲が問題であり、この範囲の普遍化が課題である。
(4) 「自由」同士、「愛」同士、そして「自由」と「愛」の間に、さまざまな矛盾が存在し、その多数の類型を整理して示した。
(5) 「倫理」(の理解)が不十分のとき、すなわち、動機に「悪の心」(利己的な心)が(強く)潜むとき、「自由」も「愛」も(その精神や効果が)本質的に損なわれ、「自由 vs 愛」の矛盾が強く現れる。だから、各個人の内面と行動においても、またさまざまな社会組織の行動や社会ルールにおいても、「倫理」を浸透させること、特にその中核である「すべての人の本質的な平等」の精神を浸透させることが、人類文化の主要矛盾「自由vs愛」を軽減・克服するための鍵である。
(6) 突き詰めると、「自分(たち)の幸福・利益を追求する」「自由」と、「みんなの幸福・利益を追及する」「愛」に対して、その両者を動機づけ、同時に両者を調整して両者間の矛盾(「人類文化の主要矛盾」)を解決するのは、「すべての人に幸福追求の権利がある」という「倫理」(第0原理)である。

本研究で、個人のレベルでの問題とその解決の考え方が随分明確になりました。種々の社会組織・社会システムにおいて、この考え方を明確にしていくことが今後の大きな課題です。

 編集者より: 「新着情報」のページが大きくなりすぎましたので、2014年掲載の記事を分離して、別ファイルに移動しました。(2017. 9.28)

  フォーラム: 写真アルバム: 我が家のつばめたちの成長アルバム(誕生:2017年6月9日、巣立ち: 6月24日) (2017. 7.18)

撮影・編集: 中川 徹
柏市の我が家の軒下に約20年ぶりにつばめが帰ってきました。誕生から巣立ちまで15日間。驚くほど速くに成長した4羽のひなたちの成長のアルバムです。PDF版4頁。HTML版 写真22枚。このトップページには精選4枚を掲げます。クリックしてご覧ください。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2017年 5月〜 7月) (2017. 7.18) 「読者の声」一覧(2017. 7.18)

[和文ページ] 前川恒久、 水谷忠資、 福村三樹郎、 中川 徹(2017. 7.18)
本ホームペ記事についていろいろな方から返信をいただきました。感謝して、掲載させていただきます。
前川さん(品質管理学会理事)は「小学校の先生たちと話したときに、子どもたちに分かりやすい方法の説明に苦労した」と書いておられます。水谷さんは、名古屋外国語大学でKJ法を使った教育実践をしておられ、今回『TRIZホームページ』を見た感想を書いて来てくださいました。福村さんから「台湾でのTRIZ活動」について質問があり、中川が返答しました。

[英文ページ] Yuri Borgianni (伊), Michael Orloff (独), Monika Wozniak (ポーランド), Simon Dewulf (豪) (2017. 7.18)
Borgianniさんからは中川の論文紹介に関連して短信をいただきました。Orloffさんは、「発明のメタアルゴリズム (MAI T-R-I-Z)」 を用いたTRIZ教育を紹介しておられます。Woniakさんは、ETRIAの国際会議で「ITプロジェクト管理へのTRIZの適用」を発表されており、中川の紹介(G2)に対してコメントを寄せられました。また珍しい花の写真を送ってくださっています。Dewulfさんから短信を貰いました。

 学会報告 (31)-G: ETRIA TFC 2016 報告: 全論文の紹介: G. 非技術分野でのTRIZの適用 (7編) (2017. 6.21; 7.18)

中川 徹 (大阪学院大学)、2017年 6月 18日(G1-G2); 2017年7月18日(G3-G7)

昨年秋の欧州での国際会議の全発表論文を個別に詳しく紹介する(要点和文、詳細英文)。
テーマ分類の第7群の7論文 (内G1,G2を6.21に掲載、G3-G7を7.18に掲載した。なお当初の8編の内1編は学会で発表されなかったので除外した)。
各論文の1行紹介のリスト: 印は特に推奨するもの。

G1.    迅速・大規模なソフトウェア開発のための「Scaled Agile Framework (SAFe)」にTRIZを導入する提案。重要。Teemu Toivonen (フィンランド)  
G2.    ソフト開発プロジェクトで、顧客-ITマネジャー-開発チームの共通言語としてTRIZを導入しようというアイデア。Monika Wozniak (ポーランド)

G3.   ポートフォリオを開発するための諸方法の紹介・レビューと、そのプロセス。Michael Ohler, Philip Samuel 他 (独、米) 
G4.   ビジネス・組織などの問題解決のために「10の刺激」でアイデアを拡張強化する方法。理論と実証実験。 Stelian Brad (ルーマニア) 
G5.   「社会問題を解決して利益を上げるビジネスモデル」の設計法。理論と実践事例。 Stelian Brad (ルーマニア) 
G6.   マーケティングのコミュニケーションの品質を管理するための理論的な枠組み。 Joanna Kijewska  (ポーランド)
G7.   TRIZを社会問題に適用して、「自由vs愛」が人類文化の未解決の主要矛盾であることを見出した。 中川 徹 (大阪学院大学) 

 学会報告 (31)-F: ETRIA TFC 2016 報告: 全論文の紹介: F. 特許に関連する研究 (1編) (2017. 6.21)

中川 徹 (大阪学院大学)、2017年 6月 7日

昨年秋の欧州での国際会議の全発表論文を個別に詳しく紹介する(要点和文、詳細英文)。テーマ分類の第6群の1論文。各論文の1行紹介のリスト: 印は特に推奨するもの。

F1.   特許ポートフォリオ強化のための、1日TRIZ ワークショップの実践法。Ideation 社のソフトIWBを活用する:  Frank Zeihsel 他 (独) 

 学会報告 (31)-E: ETRIA TFC 2016 報告: 全論文の紹介: E. 大学・学界・教育におけるTRIZの利用 (5編) (2017. 6. 4)

中川 徹 (大阪学院大学)、2017年 5月 28日

昨年秋の欧州での国際会議の全発表論文を個別に詳しく紹介する(要点和文、詳細英文)。テーマ分類の第5群の5論文。各論文の1行紹介のリスト: 印は特に推奨するもの。

E1.   コネティカット大学の工学教育で教えている簡潔なTRIZ:  Zbigniew Marian Bzymek (米)
E2.    中高生(とその先生たち)にTRIZを教える実践プロジェクトからの教訓: Christoph Dobrusskin (オランダ) 
E3.   学部における創造的な問題解決の演習:ガーデンテーブルの設計改良の事例: Bartosz Pryda 他 (ポーランド)
E4.   中高生のための創造的問題解決の教材開発と実践事例: Kyeongwon LEE (韓国) 
E5.   創造的アイデア生成における一般的知識の重要性:実験結果と議論: Iouri Belski, Gaetano Cascini, Davide Russo 他 (豪、伊)

   学会報告 (31)-D: ETRIA TFC 2016 報告: 全論文の紹介: D. 企業におけるTRIZの推進 (5編) (2017. 6. 4)

中川 徹 (大阪学院大学)、2017年 5月 21日

昨年秋の欧州での国際会議の全発表論文を個別に詳しく紹介する(要点和文、詳細英文)。テーマ分類の第4群の5論文。各論文の1行紹介のリスト: 印は特に推奨するもの。

D1.   中小企業にTRIZを普及させた実践プロジェクト。ベルガモ大学と商工会議所と企業の連携: Davide Russo, Daniele Regazzoni, Caterina Rizzi (伊)
D2.   一般的な解決策を実現するためにオープンイノベーションの協力相手を探すシステム: Masih Hanifi, Denis Cavallucci 他 (仏)
D3.   ポーランドのEU加盟から10年、ポーランドの特許の状況を分析する: Dorota Chybowska 他 (ポーランド)
D4.   ポーランドにおける研究開発の状況。知識駆動経済をを目指して: Dorota Chybowska 他 (ポーランド)
D5.   世界におけるTRIZの認知度が低い段階で飽和あるいは減衰状態にある。何をするべきか?: Sergey Sobolev, Oleg Abramov (ロシア)

   学会報告 (31)-C: ETRIA TFC 2016 報告: 全論文の紹介: C. 技術分野の適用事例(9編) (2017. 4.24)

中川 徹 (大阪学院大学)、2017年 4月 22日

昨年秋の欧州での国際会議の全発表論文を個別に詳しく紹介する(要点和文、詳細英文)。テーマ分類の第3群の9論文。各論文の1行紹介のリスト: 印は特に推奨するもの。

C1.  自動制御のフィードバック方式が確立され「心理的惰性」になっている。TRIZの「ひとりでに」原理などで再考する。Leonid Chechurin 他 (フィンランド、ロシア)
C2.  掃除機のモータのノイズを減少させる問題:矛盾マトリックス使用を主とする全プロセス。 Matej Hohnjec 他 (スロベニア): 
C3.  建築設計におけるモデリングのソフトに(建築用)矛盾マトリックスを組み込む計画。Ivan A. Renev (フィンランド)
C4.  セラミックの粘土を成型プレスする工程で、くっつきを防ぎ、13工程を2工程にした改良。Bohuslav Busov 他(チェコ)
C5.  小型・高性能のターボジェットエンジンの発明を、発明者と共にリバースエンジニアリングした。RCA+で全体像を捉える。 Bohuslav Busov 他(チェコ)
C6.  バイオガスの実用化のために、製造プラントから使用プラントへ配送する可搬システムを造った。 Mariusz Ptak 他 (ポーランド)
C7.  新製品の設計で、市場要求の変化に「適応でき、かつ不変」であるには、どうすればよいか?可搬バイオガスシステムを例に。 Sebastian Koziolek (ポーランド)
C8.  セラミックスのタイルを研磨(glazing)する工程での、微小な縞模様の出現を防ぐ問題。Sebastian Koziolek 他 (ポーランド)
C9.  レール上の落ち葉(とその残滓)が列車のブレーキの効きを悪くする。TRIZを使って広い見地から解決するプロジェクト。 John Cooke (英)

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2017年 2月〜 4月) (2017. 4.24) (2017. 4.24; 6. 4) 「読者の声」一覧(2017. 4.24; 6. 4)

[和文ページ] Oさん、 中川 徹、 片平 彰裕 (2017. 4.24)
本ホームペ記事についていろいろな方から返信をいただきました。感謝して、掲載させていただきます。
Oさんから、「TRIZの導入を検討しているが、「世の中のさまざまなアイデア発想法の中で何故TRIZなのか?」といった社内の質問がある」というメールをいただきました。私は、「アイデア発想」でなく、もっと全体的な「創造的な問題解決の方法」が大事と答えました。そのような方法が、TRIZをさらに改良した形でできてきている、そして「6箱方式」という考え方と、USITのマニュアルや事例集を学ばれるとよいと、紹介しました。このホームページで繰り返し紹介していることのエッセンスです。

[英文ページ] Tomasz Arciszewski (米)、 Czeslaw Cempel (ポーランド)、 Simon Litvin (米)、 Pavel Livotov (ETRIA 会長)、Oliver Mayer (独)、 Michal Halas (ポーランド)、 William Hessler (米)、 Shahid Saleem Arshard (豪)、中川 徹、 (2017. 4.24)
Litvinさんから、大阪学院大学でのTRIZ教育の実績についての紹介を求められ、研究・教育・適用・普及を含めた(大阪学院大学を拠点とした)全活動の紹介文を書きました(独立ページで掲載します)。ETRIA TFC2016 国際会議での全論文を紹介する記事の作成にあたって、私は多数の著者に発表スライドのファイルを送ってもらうように要請しました。それに関して、ETRIAのLivotov会長から著作権に留意するようメールが来ました。英文論文は学会で出版社からの正式出版を準備中で(2018年春まで)引用できない、英文スライドは著者の同意で掲載OK、和訳論文・スライドは引用・掲載OK、という諸点を明確にし、それに従っている旨返答しました。また多数の著者に説明し、了解をもらって、3月30日に論文17編の紹介記事を掲載しました。Hesslerさんから、本ホームページのデザインをもっと読みやすくするとよいと、いくつもの提案をいただきました。ただ私は、本ホームページを、TRIZおよび創造的問題解決の方法についての、最新で高品質の(信頼性のある)ものにすることを主旨にしたいと考えています。この主旨と読みやすさ/検索しやすさ/親しみやすさとを両立させるための、いろいろな仕組みの取り組み・工夫を説明しました。もっと写真を取り入れること(学会風景、著者の顔、季節の花など)が、まずすべきことかと思っています。皆さんからもご提案・ご協力ください。

[英文ページ に追加] Min-Gyu Lee (韓、Finland)、 Giuseppe Carignani (伊)、 中川 徹 (2017.6.4)
Lee さんのETRIA TFC 2016発表論文について、中川の紹介記事に関する感想を著者からいただきました。 紹介を評価して貰っているのはうれしいことです。Carignaniさんからは、中学・高校の先生方にTRIZの紹介をするのにあたっての相談を受けました。本サイトの入口ページの一つ「子どもたちと中高生の皆さんに」のページを紹介しました。ETRIA TFC2016の諸発表の紹介もきっと参考になるでしょう。

 TRIZフォーラム: Information Letter:  TRIZ Activities at OGU: Research, Education, Application, and Proliferation (中川 徹) (2017. 4.24)

Litvinさんから、大阪学院大学でのTRIZ教育の実績についての紹介を求められて書いたもlのです。大阪学院大学を拠点とした私の全活動は、TRIZおよび創造的な問題解決の方法に関して、研究と教育と適用と普及とをすべて連携して行ったものです。1997年から現在までの20年間の活動状況・実績を概観して記述しました。英文3頁の(正式)資料です。

   学会報告 (31)-B: ETRIA TFC 2016 報告: 全論文の紹介: B. TRIZと他の諸方法との統合 (11編) (2017. 3.30)

中川 徹 (大阪学院大学)、2017年 3月 30日

昨年秋の欧州での国際会議の全発表論文を個別に詳しく紹介するもの(要点和文、詳細英文)。テーマ分類の第2群の11論文。各論文の1行紹介のリスト: 印は特に推奨するもの。
B1.  原因結果分析(CECA)の図にデジタル回路分析の技法(ブール論理)を導入した考察法: Jerzy Chrzaszcz他(ポーランド) 
B2.  人間の五感(特に、味覚、嗅覚、触覚)を導入する技術トレンドの考察: Oliver Mayer (独)
B3.  デザイン思考と Lean 3P(トヨタ方式のKAIKAKU)中にTRIZを組み込む方法: Oliver Mayer (独)
B4.  公理的設計(AD)の原理をTRIZではどのように理解できるか?: Leonid Chechurin 他(フィンランド、伊)
B5.  製品の全ライフサイクルでユーザの不注意ミスを減らすためのポカヨケとTRIZの統合的利用法: Juergen Hess (独)。重要。 
B6.  「人−行動(ツール・方法)−対象」を単位として、設計プロセスなどの組織活動を記述する方法: Maksymilian L. Smolnik (ポーランド)
B7.   機能分析の表現を中心にして、リスク分析(FMEA)の過程をTRIZの立場から再編した: Christian Spreafico, Davide Russo (伊)。重要。
B8.  インターネットでの悪評被害を避けるために、リスク管理の方法をTRIZで再構成した: 澤口学、宇津木さとる(早稲田大学)。重要。
B9.  SW/HW関連のソフト開発で、30週間かかっていたテストを3週間に短縮、LeanとTRIZを併用した:Martin Kiesel, Jens Hammer (独)。重要。
B10.  破壊的イノベーションを起こすための、簡単化する側面を判断する方法: Jianguang Sun, Runhua Tan 他(中国)
B11.  問題解決の事例を取り込んで矛盾マトリックスを使いやすくするソフトの開発方針: Pei Zhnag, Denis Cavallucci 他(仏)

   学会報告 (31)-A: ETRIA TFC 2016 報告: 全論文の紹介: A. TRIZの方法論 (6編) (2017. 3.30)

中川 徹 (大阪学院大学)、2017年 3月 30日

昨年秋の欧州での国際会議の全発表論文を個別に詳しく紹介するものです(要点和文、詳細英文)。テーマで7分類し、その第一群の6論文です。各論文の1行紹介(タイトルではない)のリストを示す。印は特に推奨するもの。
A1.  メカトロニクス分野の問題の問題分析の方法: Didier Casner, Pavel Livotov 他 (独、仏)
A2. 機能分析(FA)を拡張した表現(FA+)を作り、問題解決アイデアをスムーズに生成する方法:Min-Gyu Lee (韓、フィンランド)。重要。
A3. プロセス工学(特にProcess Intensification)にTRIZを適用する方法: Didier Casner, Pavel Livotov 他 (独)
A4.  時間で変化するシステムの機能分析とトリミングの優先順位: Nikolai Efimov-Soini, Leonid Chechurin 他(フィンランド)
A5.  自由言語の「動詞+名詞」で検索するノイズが少ないEffectsデータベース「Tech-Finder」: Davide Russo 他(伊)。重要。
A6.  (古典的)矛盾マトリックスで、関連パラメータを広く扱う方法: Elie Aupetitgendre 他(仏)

  TRIZ ニュース: 国内TRIZニュース :

- 日本創造学会 第39回研究大会  開催計画 (9月 9-10日、横浜市) (2017. 3.30)

- 日本TRIZ協会  第13回 日本TRIZシンポジウム2017 開催計画 (9月21-22日、東京) (2017. 3.30)

- 日本TRIZ協会主催 「日本TRIZ協会6月セミナー」開催案内 (6月 8日、東京))(2017. 3.30)

  TRIZ ニュース: 海外TRIZニュース :

−米国Altshuller Institute:  TRIZCON2017 の開催計画を(4月から延期し)新日程で発表。2017年10月3-5日、Atlantic City, NJ。(2017. 3.30)

- 欧州TRIZ協会ETRIA): TRIZ Future Conference 2017 開催計画。2017年10月4-6日、Lappeenranta (フィンランド) (2017. 3.30)(2016. 4. 7)

- 国際TRIZ協会(MATRIZ): TRIZfest2017 開催計画 (2017年 9月14-16日、クラコフ (ポーランド)) (2017. 3.30)

−体系的イノベーション学会(SSI): ICSI 2017 開催計画。2017年7月11-14日、北京(中国)(2017. 3.30)

   論文: TRIZ推進事例: TRIZを中小企業に広げるためのベルガモでの経験を分析する (2017. 2.14)

Davide Russo, Daniele Regazzoni, Caterina Rizzi (ベルガモ大学、イタリア)、 ETRIA TFC2016発表、2016年10月25日、ポーランド;
和訳: 中川 徹(大阪学院大学)、2017年 2月 7日

イタリア北部のベルガモ(ミラノの北東)の大学に形成されたTRIZ研究グループが、修士課程を中心にTRIZ教育を行うとともに、ベルガモの商工会議所と連携して、地域にイノベーション支援の活動を行い、TRIZをも普及させていきました。長期的な戦略と積み上げによって、中小企業を中心とした地域に、知的財産とイノベーションの活動を普及・発展させていった、貴重な報告です。イタリアでは、企業の95%が従業員10人以下の小企業であり、50%が個人事業ですから、大企業主導のモデルは成り立ちません。 違うやり方が必要なのだ、と言います。そこで、著者らが2009年以来実施してきたのが、大学と地域の公的組織(商工会議所)とが協働して行う、中小企業向けを主体とした活動であり、本件で「ベルガモ モデル」と呼んでいるものです。そのやりかたは、論文のAbstractによく書かれています。
論文全文とスライドを和訳して掲載しました。英文ページではスライドだけを掲載し、論文は近く掲載される「Science Direct」へリンクを張る予定です。

   TRIZフォーラム: 学会参加報告 (31): ETRIA TRIZ Future 国際会議 (TFC2016) 参加報告 (ポーランド、2016年10月24-27日) (2017. 2.14; 3.30; 4.24; 6. 4; 6.21; 7.18)

中川 徹 (大阪学院大学)、2017年 2月 7日

昨年10月末にポーランドで開催された、ETRIA(欧州TRIZ協会)主催の国際会議TFC2016 の内容を、「Personal Report」として紹介いたします。現在の和文ページは、速報の性格のもので、発表の全論文のアブストラクトとスライドを読んで(論文本文を読まずに)、短い概要紹介をしています。今後、論文を読んだうえで、英文ページにより詳しい紹介をし、その後この和文ページを(概要レベルのままで)更新する予定です。
私は、1998年〜2014年に、米国と欧州でのTRIZ国際会議と、日本TRIZシンポジウムについて、「Personal Repoort」と呼ぶ詳しい紹介を書いてきました。その後、多忙のため紹介できずにおりました。日本でも世界でも、沢山の優れたTRIZ関連の研究が、学会で発表されても広く知られないで埋もれていくのは、実に残念なことです。このたび、一念発起して、その責任と負担の重さを承知の上で、ETRIA国際会議の「Personal Report」を書くことにしました。TRIZを中心として、創造的問題解決やイノベーションの方法が、正しく理解され、広まることを願っています。

各論文の詳しい紹介を英文ページに掲載開始しました。A. TRIZの方法論(6編)、 B. TRIZと他の諸方法との統合(11編) (2017.3.30)、C. 技術分野の適用事例(9編) (2017. 4.24)、D. 企業におけるTRIZの推進 (5編) E. 大学・学界・教育におけるTRIZの利用 (5編) (2017. 6. 4)、F. 特許に関連する研究 (1編) (2017. 6.21) 、G. 非技術分野でのTRIZの適用 (7編) (2017. 6.21; 7.18)  --以上で詳細紹介完了。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2016年12月〜2017年 1月) (2017. 2. 14) (2017. 2.14) 「読者の声」一覧(2017. 2.14)

[和文ページ] 池田 昭彦、村田 朋美、宮里 好一、貞廣 哲、島田 宗洋、小林 三輝也、中川 徹 (2017. 2.14)
本ホームペ記事についていろいろな方から返信をいただきました。感謝して、掲載させていただきます。
池田さんはDarrell Mannの原書の購入法の質問。村田さんから、年末の挨拶とともに俳句を。宮里さんから、「現場リーダーのための真の学びの場を」との激励。貞廣さんとは、6箱方式に関する質問と応答(問題解決の簡略法と6箱方式の考え方)。島田さんから、新刊の訳書『わたしたちはどんな死に方をしたいのか?』(M. de Ridder著、島田、アーデ訳、教文舘)を寄贈いただき、中川の読後の感想を書きました。小林さんから、「自由vs愛」についての共感を書いていただいております。

[英文ページ] Czeslaw Cempel (ポーランド), Ellen Domb (米), Hugo Sanchez (ニカラグア), Shahid S. Arshad (豪); 中川 徹 (2017. 2.14)
Cempelさんから、「自由vs愛」についての所感、(フランス革命のもう一つのスローガン)「平等」の位置づけ。Dombさんと、Sanchezさんから、挨拶と激励。Arshadさんから、「自由vs愛」についての所感、戦後の焼け跡からの日本国民の速やかな復興の努力のコメントなど。中川は現在の日本での貧困の見えにくさ、沢山の空き家があるのに高家賃が貧困層の起きな負担になっている問題などを、応答しました。

    解説: 「自由」vs「愛」: 人類文化を貫く未解決の「主要矛盾」 (2017. 1.13)

中川 徹 (大阪学院大学)、東京大学学生キリスト教青年会(YMCA) 會報 第146号 (2016年12月8日) pp. 9-25

本ページの記事は、昨年10月に執筆し、12月に東大YMCAの會報に掲載されたものです。私は東大YMCAの寄宿舎で、学部3年生から大学院の途中までの4年余を過ごしました。本稿は、自己紹介から始めて、私の最近20年ばかりの研究の経過を説明し、昨年来明確になった標記の大問題を分かりやすく説明したものです。理学部の化学を出て、後に情報分野に移った私が、「創造的問題解決の方法」(すなわち、研究開発の方法)を理解し、発展させてきた内容をまず紹介しています。そこで明確にした「6箱方式」という方法を、新しく社会分野の問題に適用しようとして、日本社会の貧困の問題を取り上げました。貧困の問題に対する人々の議論対立の根底には、「自由」の主張と「愛」の主張の対立があることに気がつきました。そして、「自由」vs「愛」は、実はもっともっと大きな、人類文化を貫く未解決の根本矛盾なのだ、と認識したのです。そして私はここに、「自由」vs「愛」という矛盾について、その骨格の理解を仮説として示しました。

この、「自由」vs「愛」という矛盾(対立)がある、という考え自体は、難しいことではありません。身近のことでも、社会のこと、国際政治のことでも、皆さんはすぐに例を挙げることができるでしょう。ただ、私たちはいままで(世界中で)「「自由」と「愛」は両方大事です。だから、両立させなさい。両立するはずのことです。」 とだけ教えられてきました。「両者に本質的な対立が内在する。それが根本の矛盾なのだ」とは誰も明確に言わなかったのです。この矛盾をきちんと理解することが、矛盾を解決して両立を図る基本のやりかたなのだ、というのが本稿の根底にある理解であり、技術分野でTRIZが実証してきたことです。人間・諸組織・社会・世界でのこの大きな矛盾の状況とあるべき姿を示すことは、これからであり、人文科学・社会科学、そして実世界に関わる 多くの人々の協力を必要とします。人類文化を貫いて、まだ解決できていない主要矛盾だと理解しているのですから、その研究も活動も容易なことではありません。ともかく皆さんのそれぞれの場で、「自由」vs「愛」の現状とあるべき姿を考えていただけないでしょうか。

 ご挨拶: 新年にあたって (中川 徹)  (2017. 1.13)

新年あけましておめでとうございます。皆さまのご健康とご活躍を祈念し、今年もどうぞよろしくお願いいたします。 TRIZ関係以外の方にお出しした私の年賀状を添付いたします。なお、HTMLのページには、昨年の研究・普及活動の簡単なまとめを書き、日本(と世界)の状況に関連しての所感として昨年の参議院選挙後に書きました文を再掲しました。 

新年 おめでとうございます。
退職後も、「創造的な問題解決の方法」の研究と普及活動を続けています。「6箱方式」が、創造的問題解決一般(すなわち、企業での技術開発、学術的な先端研究、社会的問題の考察などすべて)に共通して使える基本パラダイムである、と確信した一年でした。
『下流老人』(藤田孝典著)の本の「見える化」を手掛かりに日本社会の貧困の問題を考えてきました。貧困・福祉の問題では、自己責任論と助け合い精神が常に対立します。その根底には、人類文化の二つの主要原理「自由」と「愛」の間に矛盾があるからだ。「自由 vs 愛」が人類文化を貫く主要矛盾であり、解決されずにあらゆる所に存在して問題を生じている。両者を動機づけ調整できるものは(基本的人権(「平等」)を含む)「倫理」であると思われる。個人(間)のレベル、社会の諸レベルで、「自由」「愛」「倫理」の三者のあり方が明確にされ、人類文化として共有されなければならない。・・・76才で得た問題認識です。創造的問題解決の出発点です。
皆さまのご健勝、ご活躍をお祈りいたします。今年もどうぞよろしくお願いいたします。   2017 年 元旦      中川  徹

 


2016年

   研究ノート: 創造的問題解決の新しいパラダイム「6箱方式」: 既発表論文を6箱方式で表現する (1) 中川 徹による論文18編 (2000−2016) (2016.12.27)

中川 徹 (大阪学院大学)、2016年12月23日。

本ページには、私の既発表論文(英文&和文)から、2000〜2016年の毎年1編(秋の国際/国内学会)を選んで、それぞれスライド1枚の「6箱方式」で記述し、論文概要と並べて示しました。HTML(画像)版PDF版を掲載。「6箱方式」の考え方、「6箱方式」での概要記述のしかた、さらに、私の研究の経緯などを、ご理解いただけるだろうと思います。

「6箱方式」は創造的問題解決の新しいパラダイムであり、私はそれをTRIZとUSIT研究の中で2004年に見出し、2012年以来もっと一般化した文脈の中で活発に推進してきています。ただ、6箱方式を例証する目的で、最近まで私が試みていましたのは、何らかの問題にUSIT(その他)の方法を使い、6箱方式に従って問題解決をする「新しい事例」を作ることでした。その結果、6箱方式の実証はわずかの事例でゆっくりとしか進みませんでした。しかしいま、(12月2-4日に台湾で「6箱方式:CrePS/USIT」ワークショップを指導して)私が気づいたのは、「真剣な知的活動成果のほとんどすべてを、6箱方式で表現できる」ということです。

6箱方式で記述しようとしている「創造的問題解決」は、広い範囲の知的活動を意味しています。困難/望ましくないこと (問題)を解決するだでなく、目標/望ましいこと(課題)を達成することを含み、発明や発見だけに限らず、通常の知的成果をも含み、学術的でも非学術的でもよく、理論的でも実際的でもよく、発表されていてもいなくてもよく、完成していても未完成でもよい、などです。6箱方式は、創造的問題解決の基本パラダイムとしてそれだけの一般性を持っているのです。もちろん、論文の中には、6箱方式のある部分を強調し、他のある部分をスキップしていることがあるでしょう。それでもかまいません。6箱方式は(特許記述の標準書式と同様に)知的成果を記述するテンプレートの役割を果たすのです。

そこで私は、自分自身の既発表論文のうち、私が重要と思っている2002年, 2004-2005年, 2012年, 2014年の発表論文をまず記述してみました。そして、その記述に意味があると分かりましたので、2000年から2016年までの論文18編を、6箱方式で記述し、ここにまとめました。既発表論文はすべて、6箱方式で記述でき、記述する意義がある。それなら、6箱方式は研究活動など(上記の広い意味での「創造的問題解決」)を導く指針(基本パラダイム)になる、と期待されるわけです。

   研修活動報告: 「レポートの作り方・書き方」研修セミナーを指導して(2016.11.28)

研修: 和歌山県看護協会 認定看護管理者制度ファーストレベル研修(の一部)、講師:中川 徹、2016年 6月 2-3日、看護研修センター(和歌山県海南市);
中川 徹 (大阪学院大学)、2016年11月26日記述。

私は、2010年7月から毎年1回、和歌山県看護協会から招いていただき、「レポートの作り方・書き方」というテーマの2日間(計12時間)の研修を、(全体で150時間のコースの一部として) 各50人の人たちに対して指導してきました。その指導のテキストの主要部は、本ホームページに掲載してきていますが、研修自身のやり方はあまり報告していませんでした。今年の6月はじめに行いました私の研修について、受講者アンケートのまとめを11月に事務局からいただきました。いままでの7回でやり方が定着してきたこともあり、随分と好評をいただきました。そこで、そのやり方、内容をまとめておきます。

講義テキストは、「レポートの作り方・書き方 −内容の準備、構成、そして文章の心得−」として掲載しているもの(2010.10.10)と、今回サブページとして掲載します次項のものです。グループ演習が半分以上の時間を占める重要な活動です。まず、学部1年生のゼミでの学生レポート(「『7つの習慣 ティーンズ』を読んで、学んだこと、考えたこと」)を使って、文章表現を推敲する演習をしました。次に、受講者が提出した事前レポート「所属する組織の現状と課題」を使い、5編ずつ(各編を2グループが担当)の検討を、第1日午後、第2日午前、午後の3回にわたって演習しました。レポートを読み取り、グループで議論しながら、文章表現の検討、段落など構成のしかたの検討、問題の捉え方と解決への方向付けの検討、そして最後には、レポートの著者になり代わって問題提起とその解決のための(模擬)所内プレゼンテーションをしました。これらの講義とグループ演習は、大変好評をいただきました。演習のやり方などを本ページに詳しく説明しています。

  研修講義資料: 創造的な問題解決の考え方 (2016.11.28)

中川 徹 (大阪学院大学)、2016年 6月 3日、和歌山県看護協会 認定看護管理者制度ファーストレベル研修、講義資料。

身近な事例で、3件の例を話しています。(1) 「裁縫で針より短くなった糸を止める方法」 (技術的問題)、(2) 「授業をよりよくするには」 (人と社会の問題), (3) 「日本社会の貧困を「見える化」して考える」(社会の問題)。 問題を捉えて、それを分析し、理想を考え、新しい解決策のアイデアを得て、構想し、実現するまでの、基本的なやり方(CrePSの「6箱方式」)を説明しています。 PDF版で掲載しています。

   解説: ビジネスとマネジメントのためのTRIZによるブレークスルー思考(2016.11.23)

Valeri Souchkov (ICG Training& Consulting、オランダ)、 ICG T&C ホームページ、2007年掲載、2014年更新; 和訳: 中川 徹 (大阪学院大学) 2016年11月21日

本稿は、ヴァレリー・スーチコフさんのホームページから、許可を得て和訳・掲載しています。同氏は、ミンスク(ベラルーシ)の出身で、オランダを拠点に世界で活躍しており、TRIZを現代化した理解で分かりやすく紹介することに努めておられます。本稿は、ビジネスとマネジメントの分野での困難な(壁/矛盾を抱えた)問題を解決するのに、(技術分野からスタートした)TRIZの考え方が有効に使えることを、分かりやすく説明しています。ビジネスマン、一般社会人の方々への優れた入門・解説記事(20頁)です。技術分野の人たちにも参考になります。

TRIZはもともと技術の分野で、多数の発明が実はより少数の考え方(「発明原理」)で説明でき、技術システムの発展がいくつかの「進化のトレンド」として理解できることを示し、また矛盾を解決する「ブレークスルー思考」の方法を創ってきました。ビジネスやマネジメントの分野で扱う社会システムでも、これらの(発明)原理や進化のトレンドは、少しの違い・調整で同様に使えることが分かってきました。さらに、問題解決のためのブレークスルー思考の方法は分野が違っても基本的に同様に使えるのです。本稿では特に、輻輳したビジネスの問題において問題状況を「根本矛盾分析(RCA+)」で図的に表現し、各矛盾を「プラスの効果 対 マイナスの効果」の対として捉えて、(発明)原理や進化のトレンドを参照して解決する方法が説明されています。また、進化のトレンドを手掛かりにして、将来を予測しつつ、その中に新しいアイデアを創り込んでいく「ロードマッピング」の方法を説明しています。同氏は、技術分野からビジネス分野に重点を移しつつ、実地のトレーニングとコンサルティングを行っており、RCA+を実用し成功したプロジェクトは1000件以上になったと言います。実践に裏打ちされた、素晴らしい解説です。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2016年10月〜11月) (2016.11.12; 12.27) (2016.10.19; 11.12; 12.27) 「読者の声」一覧(2016.11.12; 12.27)

[和文ページ] 長谷川陽一、貞廣 哲、吉田 義史(住友化学)、伊藤 孝道; 中川 徹 (2016.11.12)
本ホームページでの記事についていろいろな方から返信をいただきました。感謝して、掲載させていただきます。
長谷川さんは、『下流老人』の本を「見える化」した冊子(中川)を読んで、社会保障としての政策を考察しています。その中で、扶助に頼らなくて済む人を増やしていくことが重要だと論じています。貞廣さんは、(6箱方式における)「思考の世界」において言葉(論理)よりもイメージ(潜在意識)が主になるのでないかと論じていますが、中川は複数人の共同作業であり、両方が必要で、記録を残しつつ進めると返答しています。吉田さんは、材料開発でのTRIZの適用事例と適用法を質問されました。化学分野の中で化学工学面は随分と事例があること、化学・材料科学の面での事例・適用法があまりよく知られていないこと。そのなかでの参考文献、参考とするとよいアプローチについて、中川が返答しています。伊藤さんは、私の東大教養学部での同級生であり三鷹寮の寮委員長をされた方ですが、下流老人問題への「見える化」のアプローチを評価くださっています。

[和文ページ] 池田 昭彦、原田 明夫、前川 恒久、鳥居 達生、朽津 耕三、伊藤 武彦、中川 徹 (2016.12.27)
原田さんから、フランス革命以来の「自由・平等・博愛」に転機が必要かも、という感想をいただきました。中川は「この「平等」という原理は、基本的人権の根底をなすもので、私のいう「倫理」の中心をなすもの、第一原理「自由」、第二原理「愛」(=「博愛」)は その「倫理」をベースにして発展してきている(だから、「倫理」が第0原理)」」と応答しました。前川さんから、「小中学校の生徒さんが応募した統計グラフ全国コンクール」の様子を伝えていただき、そのうちの2頁を縮小画像で掲載させていただきました。本サイトの子ども・生徒向けのページ「工夫はたのしい」を長らく更新できていません。どなたかご協力いただけないでしょうか。鳥居さんは、「高原利生さんの矛盾の統一の方法はすごいと思います。人類の大問題 愛と自由 をぜひ深めていただきたい」と書いてくださいました。朽津先生は、(私の卒業研究から助手のときに助教授・教授としてご指導下さいましたが)今回の「レポートの作り方・書き方」の記事を評価くださっています。前川さんが再度のメールで、 新入社員当時の上司の指導でご自分が「速報」を書くようになったエピソードを書いてくださいました。

[英文ページ Bartosz Pryda (ポーランド), Ed Sickafus (米), 中川 徹 (2016.10.19)
E. Sickafusさんは、W. Mallinson さん(南アフリカ)のアクセスに対して、最近の状況、特にUSIT関連の連絡先について応答しています。

Teemu Toivonen (フィンランド), Min-Gyu Lee (韓国), Dana Clark (米), Czeslaw CEMPEL(ポーランド); 中川 徹 (2016.11.12)
中川の「自由vs愛」の発表に関連して、(a) T. Toivonenさん は価値論に関係したClare Gravesの文献を紹介してくれました。(b) D. Clarkさんは、このテーマをきちんと組織立てて追求する可能性を検討しようとしてくれています。C. Cempelさんは、ポーランドの状況から格差・貧困の問題の大事さに共感し、札寄せ法に関心を持っています。M.G. Leeさんは、韓国でのTRIZの活動状況について説明してくれており、特にKATA(Korea Academic TRIZ Association)が発展的に解消し、Korean Society of Creative Application (KOSCA)(韓国創意応用学会)としてより広い範囲の諸技法を統合した学会になったと言います。

[英文ページ Michael Orloff (独), Syed Kamarulzaman Syed Kabeer (マレーシア), Sergey Sobolev (露), Valeri Souchkov (蘭), Czeslaw CEMPEL(ポーランド); 中川 徹 (2016.12.27)
Orloffさんは、TRIZを現代化、構造化する必要性を述べ、MTRIZと呼ぶ方法で教育と企業実践の活動を紹介しています。Souchkovさんと別掲の「ビジネスとマネlメントのためのTRIZ」に関して連絡し、グラフ描画の無料ソフトyEdを教わりました。また彼は、ロシア国内のTRIZ学会で基調講演をし350名の参加があったこと、世界中のいろいろな国でTRIZの普及活動が進展していることを述べています。Cempel さんは、自由と愛、そして平等の間の矛盾に関心を持っています。

  TRIZホームページ(TRIZ Home Page in Japan) の 満18年にあたって (中川 徹) (2016.11.12)

本ホームページを創設して11月1日で満18年になりました。国内外の多数の著者、訳者、読者の皆さまのご支援に感謝いたします。「創造的な問題解決の方法論」の理解と普及のための情報公開の場です。当初は「旧ソ連で技術分野のために開発されたTRIZ」の導入を目指しておりましたが、その後、視野が拡大し、内容が深化してきました。TRIZ自身が発展し、ビジネス分野などにも拡張しています。また私自身も、TRIZをやさしくしたUSIT法、「6箱方式」という新しいパラダイム、それをベースにしてさまざまな方法を統合する「創造的な問題解決の一般的方法論(CrePS)」へと展開してきました。特に昨年から社会問題に適用しています。4年前に4つの「入口ページ」を作り、いろいろな読者の方に親しみやすくしました。すべて自然な発展です。

本ホームページは、非営利の立場で情報の公開による紹介・発信・交流を進めることを目的としております。ボランティアで開始し編集しておりますが、個人のホームページではなく、読者の皆さんの寄稿を掲載する「公共サイト(Public Web site)」を目指しています。また、和文と英文の並行したページ作りに努力して、日本と海外との協力関係を作ることを目指してきました。世界の各国・地域に公共Webサイトを作り、グローバルで自律的なネットワークを作ろうと提唱しています 。なお、2005年11月以降の visit数は、(11. 9現在) 和文トップページが 230,254 (この一年で約 5,000増)、英文トップページが 40,466 (この一年で約 1,200増) でした。 読者の皆さんのさまざまな問題解決のために本ホームページを活用 いただけますと幸いです。ご寄稿をお待ちしております。

TRIZ/CrePS 発表(社会問題):  社会の貧困の問題にTRIZ/CrePSでアプローチする: 人類文化の主要矛盾「自由vs. 愛」を見出した  (2016.11.12)

中川 徹 (大阪学院大学 & クレプス研究所)、第16回 ETRIA TRIZ Future 2016 国際会議 発表、 2016年10月24日〜 27日 ヴロツワフ工科大学 (ヴロツワフ、ポーランド)。
10月末のポーランドでの国際会議に出張・発表しました。参加者は全体で100人程度、ポーランドの企業や大学から新しい人たちが随分参加してきているようでした。いろいろ興味深い発表がありましたから、和訳・紹介にご協力いただける方はないでしょうか。
中川の発表は、6頁の英文論文を提出していますが、学会がProcedia CIRP (Elsevier 出版の電子ジャーナル) で公開予定(来年2月)で、公開を待ってリンクを張ります。発表スライドは今年のTRIZシンポジウムでの英文スライドを微修正したもので、英文ページに掲載します。
私の発表に、基調講演をしたDana Clark (米)他何人もの方から好評をいただきました。--- トランプ氏が米国大統領選挙に勝利したというテレビを見ながら、アメリカには日本以上の貧困と格差の問題がある、それが大きな社会不満となって顕われているのだと、感じました。「自由vs愛」は、やはり人類文化全体の主要矛盾なのです。

 ニュース: Altshuller Institute (米) が、TRIZCON2017 の開催計画を発表。2017年4月4-6日、ネバダ州ラスベガス   (2016.10.19)

 基礎理論: 世界観、生き方、人類の未来のための根源的網羅思考と一体型矛盾(2016.10.19)

高原利生、 FIT 2016 (情報科学技術フォーラム)、2016年 9月 7-9日、富山大学
大きな構想で独自の理論を樹立してきておられる高原利生さんの最新の論文を、和文と英文で掲載いたします。最近の高原さんの理論で、私が最も注目しているのは、「矛盾」の概念、特に高原さんがいう「一体型矛盾」というものです。高原さんは次のような例を挙げています。 目的と手段。 認識と行動。 感情と論理。 内容と形式。 単一性と多様性。 集中と展開。 展開と深化。 分析と合成。 思考と学習。 謙虚さと批判。 愛と自由。-- その一つ一つが、エッセイ、博士論文、あるいはもっともっと大きなテーマだろうと思います。その基礎となる「一体型矛盾」の概念とその理論の整理がこの高原論文にあります。本ホームページに掲載してきました『高原利生論文集』 第一部(2003-2007)、 第二部(2008-2012)、 第三部(2013-2015) に続く、最新作です。

     CrePS 解説論文:  札寄せ用具と図的思考: 第3部: 「札寄せ用具」の使用実践例: 中川が行っている「見える化」のための札寄せ法(2016. 9.29) (2016.10.19)

中川 徹 (大阪学院大学)、2016年 9月24日
片平彰裕・中川徹の共同論文の第3部です。第2部で片平は、問題がまだもやもやしている段階において、自分一人で、あるいは会議の場で、札寄せ法を使って気づきを得、理解を明確にする実践法を説明しています。この第3部で中川は、問題がある程度はっきりし、(自分または他の人(たち)が書いた)文章/文書があるときに、その論旨を札寄せ法によって一層明確にし、きちんと「見える化」した図を作り、沢山の人たちと理解を共有できるようにする実践法を述べています。最初にその考え方を説明し、ついで、半頁(論文概要など)〜20頁(一つの記事・論文、本の一章など)の文章を「見える化」する具体的なプロセスを書きました。
具体的な実践例は、本ホームページに掲載済みのものから選び、Sickafusの論文要旨、藤田孝典著『下流老人』の5つの章(はじめに、下流化の事例、近未来の下流化のリスク、人々の意識の問題、著者の提言)、吉川洋講演録(財政再建と日本経済)を取り上げました。それぞれの「見える化」の作業のしかた、表現上の工夫、仕上げた図(詳細図)と求められて簡略化した図、などを説明しています。これらが、社会問題のような輻輳したテーマで、各文章の論旨を明確にし、ときにはそのテーマでの論点を指摘・補足するのに有効であることを例証しています。
なお、もっと大きな文書、あるいは、多様な論争になっているテーマ(社会問題、政治問題はどれでもそうです)について、「見える化」をすることが求められています。その方策は、「分割と階層化」ですが、その実践例を示すのはこれからです。

 


以前の新着情報  (12ヶ月以上前のもので, 2016年 1月以降のもの)

 社会問題: 「下流老人」について思うこと: 厚生年金保険への未加入の問題など(2016. 9.29)

諏訪 頼一(司法書士)、『TRIZホームページ』寄稿、 2016年 9月12日
著者は、大企業で営業畑の仕事をし、定年退職後に司法書士を始めました。簡易裁判所の訴訟代理の仕事で、サラ金トラブルなどに悩む下流老人の事例にいろいろ接したといいます。そんな背景で、ここには一つの具体例を挙げて、考察を進めています。
ある財団法人で30年間事務職を務めた女性が、高齢で足腰が弱り、現在入院療養しているが、身寄りがない。そのため、この財団が、女性の療養費などの支援募金を会員に呼びかけている。この例では、女性は厚生年金を受けていない。職に就いたとき(1975年)では、従業員5人未満の職場では法律上厚生年金保険に加入しないでもよく、加入しなかった。1981年に法律が改正され、すべての法人事業主は従業員に厚生年金保険に加入させるべきこととなったが、不徹底で、この例でも加入しないままであった。このような厚生年金保険の加入漏れ(あるいは、企業による加入逃れ)が、高齢者の下流化の一つの大きな要因になっている。また、「通常の従業員の勤務時間の3/4未満の勤務時間のものは厚生年金保険の適用を除外する」という厚生省保健課長通知により、多数の非正規雇用従業員が厚生年金から除外されているのも問題である。また、住宅問題も大きな要因であり、空き家の廉価借り上げと廉価賃貸が有効な解決策であろう。・・・
-- 私自身は実社会の具体的な事例に触れる機会が多く ありませんので、具体例で考えたり、具体例を話したりすることが不得手です。諏訪さんのこの寄稿は、実務の経験から問題点を分かりやすく説明してあります。-- 著者は、私の東大YMCA寮でのもう一人の同期の友人です。寄稿に感謝します。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2016年8月〜9月)  (2016. 9.29) (2016.10.19) 「読者の声」一覧(2016. 9.29)

[和文ページ] 高山直彦、渋谷 政昭、 山本 毅雄、諏訪 頼一 (司法書士)、中川 徹(2016. 9.29)
本ホームページでの記事についていろいろな方から返信をいただきました。感謝して、掲載させていただきます。
高山さんは、(学術的な)先端研究の方法に関して、James Youngの本と、Darrell Mannの本のマインドマップを作り、それらに平行した考え方がある、といっています。渋谷さんは、統計科学のコンピュータを活用した方法の最近の発展は目覚ましく、(CrePSでいう、抽象化と具体化のプロセスを)実データについて、簡単なモデルから出発して、随分と複雑な結果を得るまでに成功させている、と指摘しています。ゲノム解析、金融工学、脳科学、音声認識など、いろいろな成功分野があります。中川はいままで、こういったコンピュータににょるデータ解析と人間的な問題解決をやや分離して考えてきましたが、CrePSというのはやはり前者をもきちんと位置づけなければいけないと、考え始めております。山本さんからは、日本社会の貧困の問題に並行して、日本の財政破綻の問題を真剣に考えなければいけないとのコメントを貰っており、今回の吉川教授の講演の「見える化」に感想を寄せてくださいました。諏訪さんは、「下流老人」の問題について、司法書士としての経験から、具体的な事例に沿って所感を寄せてくださいました。独立ページにしました

[英文ページSimon Dewulf (豪), Wayne Mallinson (南アフリカ), Vladimir Petrov (イスラエル), Shahid Saleem Arshad (豪), Shireen Al - Jaouni (エルサレム), Toru Nakagawa (2016.10.19)
S. Dewulfは、”BIG Patent Data"法を作り、膨大な特許データベースを対象にした「ビッグデータ分析」のアプローチを紹介しています。W. Mallinsonは南アフリカでUSITの導入を進めています。V.Petrovは、アルトシュラー 生誕90年を記念して、自分の著作全17件をAmazonサイトで(同サイトが認める最低価格で)廉価販売しています。多数の資料があります。S. Arshardは、学術界の研究をリードするべき創造的問題解決の方法論が、学術界で共通認識になっていない問題は、大事な課題であると共鳴しています。S. Al-Jaouniは、貧困問題に共感しています。

TRIZ/CrePS 発表(社会問題):  社会の貧困の問題にTRIZ/CrePSでアプローチする: 人々の議論の根底に、人類文化の主要矛盾「自由vs. 愛」を見出した  (2016. 9. 9)

中川 徹 (大阪学院大学 & クレプス研究所)、第12回日本TRIZシンポジウム2016 発表、 2016年9月1日〜 2日、早稲田大学西早稲田キャンパス (東京都新宿区) 。
先週、早稲田大学でTRIZシンポジウムが開かれ、141人の参加がありました。本件は、そのときの私の発表です(発表(質疑込み)25分、休憩5分)。この1年間の研究成果として、社会的問題へのTRIZ/CrePSの適用の試みを話しています。
(1) TRIZ/CrePSを社会問題に適用することを試み、日本社会の貧困(特に高齢者の貧困)をテーマに選んだ。(2) 藤田孝典著『下流老人』をテキストにし、札寄せツールを使って問題を「見える化」した。(3)また、同書に対する多数(82件)のカストマーレビューを検討し、国民の中の「勝ち負け」と「助け合い」に関する社会意識に未解決の問題があることを認識した。(4)それを突き詰めて、「自由」(自分で判断し、行動して、「生きる」こと)と「愛」(子を愛し、家族を愛し、隣人を愛して、「助け、守る」こと)とは、人類文化の主要原理でありながら、それらが対立し、「自由」 vs.「愛」が、人類文化を貫く主要矛盾であることを認識した。(5) 人類文化はこの主要矛盾を解決することを試みてきたが、その矛盾はいまなおあらゆるところに存在し、新たに生まれ、ますます解決が困難になっている、と認識し、困難にさせている理由4項目を認識した。(6) 今後これらの困難課題ごとに、主要矛盾のメカニズムを理解し、その解決の方向を考察していきたい。-- TRIZの矛盾の概念と、CrePSの問題解決プロセスが、本研究をガイドしていることを認識した。
和文で、Abstract (HTMLPDF) と スライド(HTMLPDF)、および、英文ページに Abstract (HTML)とスライド(HTMLPDF)を掲載しています。

出版案内: 「新版矛盾マトリックスMatrix2010のA2サイズシート2枚組」の単品廉価販売をStores.jpサイトで行います (クレプス研究所 中川 徹) (2016. 9. 9)

楽天オークションサイトのサービス終了に伴い、Stores.jpサイトに移転しました( https://creps-institute.stores.jp  )。単価 500円(+税)です。送料360円は、部数に関わらず定額ですので、部署やクラスでまとめて購入いただくと割安になります。

 社会問題: 「日本社会の貧困」を可視化しながら考える [E] 経済と財政 [1] 吉川洋講演「財政再建と日本経済」 の可視化とまとめ(2016. 8.28)

原典: 吉川洋(東京大学大学院教授)、学士会夕食会(2015年11月10日)講演要旨、學士會会報 918号 p. 6-15 (2016年5月)。
可視化: 中川 徹(大阪学院大学)、2016年 8月22日
日本社会の貧困とその救済(社会保障)を考えるとき、必ず関連するのが、社会福祉を支える財政の問題であり、その背景にある経済の問題です。経済・財政・政治の問題は、いろいろな人がいろいろな立場で書き・話していますから、何を取り上げるのが適当かは難しいのですが、私はこの吉川先生の講演要旨を読み、全体的な観点で本質的なことを、分かりやすく述べられていると思いました。著者自身による要旨は以下のようです。

日本の財政赤字の背景には社会保障費の急増があるので、財政再建のためには消費税増税、経済成長と共に、医療制度改革など、歳出の効率化が不可欠である。 更に、人口減少下ではイノベーションこそ経済成長の鍵なので、企業は高齢化を需要創出の機会と捉え、過剰な貯蓄を吐き出して活発に投資すべきである。

この10頁の文を「見える化」するにあたって、論理構成はそのままにし、記述内容の性格を色分けして区別しました(事実・出典、参考事項(海外事例など)、著者言明(判断、主張)、中川コメントなど)。最初に作ったのが(A4横)5頁もの、「もっと簡潔に」と読者に言われて、(A4縦)2頁ものを作りました。それぞれHTMLとPDFで掲載しています。

     CrePS 解説論文:  札寄せ用具と図的思考: 札寄せ用具の開発の意図、操作法、使い方、使用実践例、図的思考の有効性 (2016. 7.31) (2016. 8. 6)

片平 彰裕(第一考舎)、中川 徹 (大阪学院大学)、『TRIZホームページ』掲載論文、2016年7月1日、7月28日。
ここに掲載します一連の解説論文は、片平彰裕が開発した「札寄せ用具」と、それを用いた「札寄せ法」と呼ぶ図的思考法(図的表現を活用して思考を支援する方法)について、片平・中川の両名でまとめたものです。4部構成で順次掲載の予定です。

   第1部: 札寄せ用具の開発の意図、操作法、使い方(2016. 7.31)(2016. 8. 6)

執筆: 片平 彰裕 (第一考舎)、2016年 7月 1日。PDF 
「札寄せ用具」については、本『TRIZホームページ』では、2015年1月の紹介(片平)以来、いくつもの使用例を示し、随時、使用法を説明してきました。それと並行して、片平によるソフトの改良が続けられていて、2016年1月に4.00版、そして6月に5.00版を公開し、文章と図とを相互に行き来することを容易にし、図的思考を軽便に支援するソフトとして成熟してきました。最新版は片平の第一考舎サイトから無償でダウンロードできます。今回の大幅更新を反映させて、「札寄せ用具」そのものを説明しているのが、この第1部です。
「札寄せ用具」は、マイクロソフト社製表計算ソフトウェア Excelのワークシートに図形を描画することを主要機能とした画像作成ソフトウェアであり、描画による思考支援を使用目的としている。多様な描画機能ではなく、簡便で軽快な操作を優先している。また、他のソフトウェア (WordやPowerPoint)とのデータのやり取りを容易にしている。
操作方法は、簡単な使用例のイラストを使って明快に説明しており、この説明はソフトウエア内にも組み込んでいる。「札」(語句や文を書き込んだ四角形)、「枠」(複数の札などを囲むための、表題つきの丸四角形の囲い)、「線/矢線」の作り方と操作のしかた。「セル」(Excelのワークシートの升目で、本来の記述単位)と「札」「枠」との相互変換。その他、Excelの他の図形処理機能の活用法など。またこれらを使う基本的な方法を簡単に図で説明している。
このソフトウエアは、「札」に記入した情報とその間の関係を図的な配置で表して、その配置を様々に変化させることによって気づきを促進し、考えを進める、あるいは考えをまとめることを助ける。このような方法を総称して「札寄せ法」と呼んでいる。

   第2部: 「札寄せ用具」の使用実践例: 片平が行っている札寄せ法 (2016. 7.31)

執筆: 片平 彰裕 (第一考舎)、2016年 7月 1日; 7月28日。PDF 
前記のように、「札寄せ用具」が支援するのは、「札」に記入した情報とその間の関係を図的な配置で表して、その配置をさまざまに変化させることで、気づきを得、考えを進める/まとめる方法である。そのような方法は(総称して「札寄せ法」と呼んでいるが)、既にさまざまなやり方で行われており、特別な技法というよりも、基本的なやり方を習得すれば、各人が目的や状況に合わせて自然に工夫し、自分の方法として発展させることができる思考方法であると考える。この第2部では、片平の使用法とその使用例を示す。
一つの使用法は、個人用として、考えの整理や気づきの促進のために使う。その手順を説明し、特に札をいろいろに並べ替えて考える際の複数の観点を説明している。事例として、(社会心理学の)受講時の学習内容の整理メモの図、さらに、「札寄せ法とは何か」について自分の考えを整理するための図を示した。個人用の場合は、途中での気づきが大事で図を完成させることに重きを置かないが、同様のテーマを繰り返し考える場合には、毎回の図を蓄積・記録し、発展させている。
もう一つの使用法は、会議の場で、発言を記録しつつ表示し、各発言同士の関連が分かるようにして、会議での意思疎通と共通理解の形成を容易にすることである。その手順と効用を述べている。実施例を4件示しており、それぞれの使用目的を、考えのすり合わせ、原因の抽出、理解の促進、説明文のアイデア出し、として特徴づけている。

 フォーラム:  救命延命医療から緩和医療へ  (2016. 7.31) 

島田 宗洋 (救世軍清瀬病院病院長)、救世軍清瀬病院前期昇天者合同記念会挨拶、2016年 6月25日。PDF 
「読者の声」の通信に添えていただいた文で、許可を得て掲載します。著者は、小児血管外科を専門とされる医師で、国立小児病院の医長を退職されたのち、救世軍清瀬病院の院長をしておられます。「振り返って見れば、わたしの医師としての半世紀の歩みは、救命延命医療の最先端である小児心臓外科から、緩和医療の最先端である終末期医療へと導かれておりました。」と書いています。同病院は、「がん」だけでなく、その他すべての病気で、不治の終末期の緩和医療の病院(ホスピス)として運営されています。科学技術に頼った、行き過ぎた救命延命医療から、患者さんの人間存在を大事にし、死に向き合う緩和医療の重視に向かうことが必要だ。患者さんの生前の意思(リビング・ウイル)、あるいは次善の策として、患者さんとご家族と医療関係者が一堂に会して双方が納得するケアプランを作るのがよい。それが、患者さんの生命の質(QOL)と死に方の質(QOD)を高めることになる。と述べています。-- 超高齢化社会にあって大事な論点ですが、表面的なやり方の違いでなく、生命と死との深い認識・理解が伴うことが、きっと大事でしょう。

   フォーラム: 問題提起と討論: 学術界における「創造的な研究の方法」とは? 「創造的な問題解決の一般的方法論(CrePS)」は寄与しうるのか?  (2016. 7.31; 8. 6; 8.28) (2016. 8. 6)  

問題提起:某先生、2016年6月26日; 応答:中川 徹 (大阪学院大学)、2016年6月30日
本ページで取り上げている問題は、最先端の学術研究、創造的な学術研究において、その一般的なかつ汎用的な研究方法、「創造的な研究を行う方法」があるのか?ということです。学術界(アカデミア)で沢山の研究が行われ、創造性技法やTRIZなどとは関係なく、多くの成果を挙げている。学術界では、「創造的な研究を行う方法」といったものの共通理解は知られていない、といい、CrePSが果たして意味があるのか?と問われています。
--- 学術界にTRIZなどがほとんど浸透していないことは残念なことです。ただ、学術界が「創造的な研究を行う方法」の一般的な理解を作れていないというのは、不思議なことです。学術界で何が必要かと考えると、6つの視野があります。(a) 世界の諸研究分野、研究テーマの大きな将来の方向を考える 。 (b) 一つの研究分野で、どのような研究テーマを選択するべきかを考える。 (c) ある研究テーマで、何を本当に解明するべきか、解決するべきかを考える。 (d) ある研究テーマで、解明・解決を困難にしているのが何かを考え、それを打開することを考える。 (e) ある研究テーマの個別の課題において、研究や実験の方法、実験装置の設計などのやり方を考える。 (f) さらに細部の問題・課題において、それを個別に解決する。 CrePSの6箱方式は、この(d)(e)(f)に適した表現になっており、(a)(b)(c)でも少し表現を変えて対応できると、私は考えます。
大事な大きなテーマであり、皆様のご寄稿をお待ちします。
問題を提起し、ご意見をいただくための質問状(1頁)を作りました。 (中川、2016. 8.28)

討論: 片平 彰裕 (2016. 8. 6)

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2016年6月〜7月)  (2016. 7. 5; 7.31) 「読者の声」一覧(2016. 7. 5; 7.31)

[和文ページ] 小林 晃、 飯田陽一、岩崎不二子、唐木田健一、 大岩 元、 Fさん、 村田朋美、 竹中章郎、 鳥居達生、 長谷川陽一、村上俊一、 笹間史子、 匿名老人I、 池添康正、 芳岡隆三、 岡ミチオ、 三井斌友、中川 徹 (2016. 7. 5)
先週掲載(および約250名の方に郵送)しました記事・資料 (「私の研究のまとめ (参議院議員選挙を控えての所感)」)に関連して、沢山の方々から、返信をいただきました。感謝して、掲載させていただきます。
小林さんは、CrePSの簡潔なプロセスであるUSITについて、根本原因の分析をどの段階で行うのがよいかを質問され、中川は、第1箱、第2箱、第3箱で繰り返し行っていると返答ました。今回返答くださった多くの方は、TRIZにあまり接したことがないとのことで、「創造的な問題解決の方法」(TRIZ、CrePSなど)については大きなコメントはありませんでした。学術研究の先端分野に、こういった方法が浸透できていないことが大きな課題です。
高齢者の貧困、日本社会の貧困の問題については、皆さんその重要性を話しておられます。『下流老人』の本はまだ読んでいないけれども、「見える化」した図を見ると、その論旨がよく分かる、と多くの方が話されています。特に、KJ法を推奨してこられた大岩元さんから、中川の図解がKJ法の趣旨に沿ってきちんと作られているとの評価をいただきました。
この「見える化」とカストマーレビューの検討から中川が見出しました、「競争社会における勝ち負けと助け合いの関係」が人々の意識の中で未解決なのだ。それは、「自由」と「愛」との葛藤・対立(矛盾)に根本の問題がある、という点について、ほとんどの人が同感して下さいました。この「自由」 vs. 「愛」の矛盾がさまざまなところに存在し、大きな問題を孕んでいることを、理解くださっています。この問題を根底から理解し、根底から解決する(改革する)ためには、しっかりと研究していかねばなりません。「人類文化はこの解決をずうっと試行してきて、ますます困難になっている面がある」と認識しているのですから、この考え方をきちんと発展させることは、非常に重要で、前途遼遠であることは当然です。
現在の日本社会が、「強者優遇」になっている、「自由」と「愛」の両立ができていない、安倍政権がそれを進めているという認識はほとんどの人が持っておられます。それをどのように選挙や政策に反映させ、実現させるかが、問題です。
今の段階で本ページを掲載させていただき、寄稿された皆さん、読者の皆さんに感謝します。
(PS: 私は7月6日−14日に旅行のため不在にします(参院選挙は期日前投票を済ませました。)

[和文ページの追記(2016. 7.31)] 某先生、M. W.先生、日野克重、 笹間史子、K. A.さん、岩切陽子、島田宗洋(救世軍清瀬病院)、砂田登士夫、M.I.さん、反町勝、K. I.さん、中川 徹 (2016. 7.31)
7月5〜10日にも沢山の方からメールあるいは郵便で返信いただきました。旅行からの帰国後に応答させていただきました。
『下流老人』の問題、その「見える化」の方法について、多くの方が関心をもたれ、分かりやすかったとのことです。
某先生は、科学研究の最先端で沢山の創造的・独創的な研究が、創造性技法などとは関係なく達成されている。ただそこでは、創造的な研究を行う「一般的で簡単な方法」があるとは思われていない。その点でTRIZやCrePSがこれに関係するようには思えない。との趣旨の問題提起をされました。大事な問題ですので、その応答を独立ページにしました。(日野さんも関連のある質問をされています。)
島田さんは、下流老人の問題を、ホスピスである職場(救世軍清瀬病院)の指導的な医師の人たちに紹介され、同時に同病院での医療のあり方について病院内で話された文を送ってきて下いました。許可を得て独立ページに掲載させていただきました。
砂田さんは、問題解決における後半の部分の難しさを述懐しておられます。この部分は、技法が主導するのでなく、考えている解決策に関わる科学技術の知識や設計の力量、そして商品などまでにする企業としての活動に関わってくるからだ、と私は応答しました。
M. I. さんは、私の三鷹時代(20歳代前半)に知り合ったかたで、いま95才におなりです。私の資料にびっくりされたけれども、「見える化」の図はよく分かると、お葉書をいただきました。

  編集者より: 私の研究のまとめ: 科学技術分野の創造的問題解決法から、社会的問題の根本を考え直す (参議院議員選挙を控えての所感)  (掲載: 2016.6.28; 7.31)  (掲載: 2016. 8. 6)

中川 徹 (大阪学院大学)、『TRIZホームページ』、2016年6月28日
参議院議員選挙を控えた段階で、私の最近の仕事と所感をまとめて、旧知の方々約250人に郵送し、また、本ページに掲載させていただきます。本ホームページに繰り返し書いていますように、最近の新しい知見は次の3件です。(資料PDF: (冊子以外) (冊子)
(1) 「創造的な問題解決の一般的方法論(CrePS)」の骨格を明確にできた。(資料[2] TRIZCON2016の発表論文)
(2) この方法を社会問題に適用する目的で、藤田孝典著『下流老人』の論理を図的に「見える化」した。(資料 [3] 「見える化」した冊子、資料 [4] 「誰もがなりうる下流老人(近未来編)」の図
(3) 『下流老人』の本に対する多くの書評を検討し、「下流老人になったのは自己責任だ」といった人々の反応に、社会的思想・倫理の理解の不十分さを見た。この根本原因を考えた結果、「自由 vs. 愛」を「人類文化の根本矛盾」と認識した。この矛盾を解決しようと人類文化は努力してきたが、ますます困難になっている面がある。TRIZで学んだように、矛盾を認識し、その解決を考えることが、社会問題への根本的なアプローチを与えるに違いない。(資料[5] 論考)
私は、格差の拡大と人々の貧困化をもたらしている安倍政権が、今回の参議院選挙で、平和憲法を改悪する勢力に達することをどうしても阻止するべきと考えています。

編集後記(続)(2016.7.31): 7月11日の参議院選挙で「改憲勢力」が2/3に達した。憂慮すべき状況と思います。日本の今後に関して、広範な問題領域で、問題解決の基本プロセスに沿った検討が行われ、筋の通った政策(の体系)が作られ、それが分かりやすく国民に提示される必要がある。これを政権側がする必要があるし、それに反対する側でもしなければならない。膨大な情報を整理して論点を分かりやすくするには、やはり「見える化」が大事な方法である。今大事なことは、「危機意識を持ち、問題意識と改革の情熱を持ち、悲観・諦観せず、将来を見据えて、しっかりと歩み続ける」こと、多くの人々と共に。

CrePS論文:  創造的な問題解決のための一般的な方法論CrePS: TRIZを越えて: なに?なぜ?いかに?  (2016. 6.20)

中川 徹 (大阪学院大学)、Altshuller Institute for TRIZ Studies 主催 TRIZCON2016、2016年3月3−5日、ニューオーリンズ市、米国。予稿集論文、発表スライド、発表ビデオ。
数年ぶりで開催された米国でのTRIZCONです。私は、論文を提出し、準備を進めていたのですが、左脚にしびれが出たため直前で出張を断念しました。同学会の承諾を得て、発表をビデオに撮り、送付しました。ただ、学会では出席者の発表が優先され、このビデオは投影されずに終わりました。同学会の了解のもとに、ここに既発表のものとして、英文の論文 、スライド 、ビデオ、および、和訳の論文 とスライド を掲載します。ビデオはMP4形式45分で、大阪学院大学の好意により本サイト内に掲載しています。(注: がビデオのスタート部へのリンクマークです。)

本稿は、私がずっと提唱してきております「CrePS (創造的な問題解決の一般的方法論)」について、大局的な観点から述べたものです。私が、(CrePS という名で)何を樹立しようとしているのか。それはどのような意味でTRIZを超えるものなのか。なぜ、それを樹立することが必要で、望ましいのか?いったい、どのようにして、それを実現しようとしているのか?それは、可能なことなのか?-- 「概要」は以下のようです。

本稿は、「創造的な問題解決のための一般的な方法論」(略称:CrePS)を確立することを提唱しており、3つの基本的な問いに答えている。
What?: CrePSは、創造的な問題解決/課題達成に関わる従来の諸方法を統合する一般的な方法論であり、技術/非技術の広範な分野と多様なテーマへの適用を目指す。「6箱方式」という問題解決の新しいパラダイムを基本枠組みとする。
Why? 従来の多数の関連諸方法 (TRIZを含む) が、有効な基本枠組みを見いだせなかったために、ばらばらで相互に競合し、社会全体からの大きなニーズ(さまざまな分野とテーマでの問題解決/課題達成を行う、そのための方法をつくる、そのような能力を育てる) に有効に応えられなかった。このニーズに応えることを可能にする。
How? 「6箱方式」では、「現実の世界」で問題を定義し、「思考の世界」でその問題の解決策を考え出し、「現実の世界」でその解決策を実現する、というやり方をする。この中心にある、問題を分析して解決策を考え出す過程に関しては、すでに (「6箱方式」を生み出した) USIT法 (統合的構造化発明思考法) が確立されており、諸方法をこの枠組みに吸収・統合できる。「現実の世界」での問題定義と解決策実現の過程については、従来の諸方法を適用分野とテーマについて分類・類型化することが、統合化の準備段階として必要である。今後諸方法の研究・推進者の協力により、CrePS を確立・普及・適用することを目指す。

出版案内:  新版矛盾マトリックス Matrix 2010 の A2サイズシート2枚組 単品販売開始(クレプス研究所 中川 徹) (2016. 6.11)

このたび、著者Darrell Mann の承諾を得て、「新版矛盾マトリックス Matrix 2010」の本体主要データだけを、独立して安価に販売できることになりました。従来、書籍(1A)(2A)巻の折込資料にしておりました、A2サイズのシート2枚組を、独立しても販売いたします。販売は、楽天オークションのサイトで行いますが、単価500円(+税)の定額販売です。送料は、部数に関わらず360円(レターパックライト)ですので、5部や10部の一括購入をいただけますと割安になります。『TRIZ 実践と効用』シリーズの出版案内のページ、およびクレプス研究所のホームページを更新・整理しました。

 USIT/CrePS 論文:  USIT: 6箱方式をパラダイムとする 創造的な問題解決のための簡潔なプロセス −USITマニュアルとUSIT適用事例− (2016. 6.11)

中川 徹 (大阪学院大学)、日本創造学会論文誌 第19巻(2015年) pp. 64-84。
昨年10月の日本創造学会研究大会の予稿集に発表した論文を、査読を通じて推敲し、仕上げたものです。この半年余りの、USITとCrePSに関する私の論文のなかで、和文論文としては最も整ったものです。論文誌のPDF版と、(参考文献にハイパーリンクを付けた)HTML版とを掲載しました。
USIT(統合的構造化発明思考法)は、1985年に米国のEd Sickafusが創った創造的問題解決のための簡潔な一貫プロセスです。それを、1999年以後著者らが日本でさらに改良してきました。特にその基本骨格を「6箱方式」という新しい概念で確立し、さまざまな創造性技法・問題解決技法を統合して「創造的問題解決のための一般的な方法論(CrePS)」を構成する基本パラダイムにできることを示しました。今回、USITマニュアルを作り、著者らの既発表の事例10件余を「6箱方式」で記述しました。本稿では、これらを紹介するとともに、6箱方式の概念、CrePSに統合することの可能性、USITの全体プロセス(特にそのアイデア生成ステップ)、CrePSおよび (その簡潔な実践プロセスとしての) USITの確立のための今後の課題、などについて論じています。 

 USIT/CrePS 学会発表と論文:  USIT: A Concise Process for Creative Problem Solving Based on the Paradigm of 'Six-Box Scheme’ -- USIT Manual and USIT Case Studies -- (2016. 5.31)

中川 徹 (大阪学院大学名誉教授 & クレプス研究所代表)、ETRIA主催、TRIZ Future Conference、 2015年10月26−29日、ベルリン (ドイツ)。英文: 主ページ と3つのサブページ: (A) 発表スライド  、(B)論文原稿(拡張版)(2015年9月) 、(C) 論文 (Proceedings (2015年10月)、ETRIA Journal、INNOVATOR (2016年2月))

基本的には、10月初めの日本創造学会での発表論文(題名は同一)の英文版です。USITの開発の歴史を、創造的な問題解決の一般的方法論(CrePS)の樹立という目標の中で位置づけています。USITは、1985年にEd Sickafus が創造的問題解決の簡潔な一貫プロセスとして創り、それを1999年に日本に導入して、ずっと改良を重ねてきました。TRIZのすべてのアイデア生成法を再編成してUSITオペレータの体系を作り、またUSITの骨格として「6箱方式」の表現を得、それが創造的な問題解決のための新しいパラダイムになることを見出しました。このようにして、いまやUSITは、「創造的な問題解決のための一般的方法論(CrePS)」を実践する簡潔な一貫プロセスと位置づけられています。本発表では、USITマニュアルとUSIT適用事例集をも含めて、現在のUSITをきちんと英文で説明しています。
論文原稿(11ページ)は9月に提出したものですが、ページ数の削減を指定されて、7ページ版が正式にProceedings および INNOVATOR (Journal of ETRIA) に収録され公開されています。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2016年4月〜)  (2016. 5. 8; 6.11; 6.20) 「読者の声」一覧(2016. 5. 8; 6.11; 6.20)

[和文ページ] 片平彰裕、長谷川陽一、浅井訓臣、中川徹 (2016. 5. 8)
片平さんは「札寄せツール 4.02版」の公開を案内くださいました。長谷川さんは、中川の「自由 vs. 愛」に、新しい広範で重要な観点を見出してくださっています。浅井さんは、「自由 vs. 愛」に関して、経済や教育のことに触れながら、「自由と愛は対立関係でなく、愛は自由の中身を民主的に創造する原動力だ」と述べています。浅井さんのコメントは従来(すなわち現在)の一般的な理解と思いますが、中川は「自由と愛が本来的に何の葛藤もなく両立するのではなく、自由にも愛にもまた自由と愛との間にも大きな矛盾があって、それを乗り超えないと自由も愛も両立しないのだ」と新しく理解したのです。

高山直彦、貞廣哲、某さん、中川 晃、片平 彰裕、中川 徹 (2016. 6.11)
高山さんは、幸田露伴の「努力論」に関連して、「自由vs.愛」にコメントくださっています。貞廣さんと某さんは、中川のUSITの講演(5月14日)に関連して質問下さり、中川がUSITの社内導入法などを返答しています。中川晃さんは、自分の大病の経験などを話され、人間にとって「社会性」の獲得が大事であり、「愛」のほうが第一原理ではないか、と書いています。片平さんは、「札寄せツール」の第5版を公開されました。その図解は非常に分かりやすいガイド (文章なしのマニュアル)になっています。

Shahid S. A. Arshad (豪)  (2016. 6.20)
Arshadさんの「自由 vs. 愛」についての意見(5月18日)が大事と思いましたので、(一部を)和訳して再掲載しました。

[英文ページ)]  Ellen Domb (USA), Umakant Mishra (India), Toru Nakagawa (2016.5.8)
Dombさんは、中川の「自由 vs. 愛」の論考が、「矛盾」というものの考え方についてTRIZ関係者には新しい問題提起をし、それ以外の人々には(TRIZの)矛盾概念の強力さを示した、と評価くださっています。Mishraさんは、中川の論考に関連して、「自由」には(その決断や行動に際して)大きな矛盾が内在しているとして、沢山の例を挙げてくださっています。

Shahid S. A. Arshad (豪)、 Doug Gundlach (米)、 George Dragheci (ルーマニア) (2016. 6.11)
Gundlachさんは、中川の「自由 vs.愛」の論考に「びっくりで、大事」との返信。、Arshadさんは、「自由vs.愛」の考えを支持し、深く考察していくつかの観点を提示してくださっています。社会において、自由・競争が優先され、愛が副次的になっていること。特に現代の経済システム(資本主義経済)が、1%の富める者と99%の持たざる者という大きな格差のl世界を生んでいること。これを解決する考え方が必要であり、「自由vs.愛」の主要矛盾の認識がその土台を作る可能性があること、などです。

中川 徹  (2016. 6.20)
Arshadさんへの返信です。日本での(TRIZをあまり知らない)読者が、自由と愛を矛盾と考えることに抵抗を感じ、愛を自由の上に置く(置きたいと考える)傾向にあることを、伝え、論じています。 

 USIT/CrePS 学会発表と論文:  USIT: 6箱方式をパラダイムとする 創造的な問題解決のための簡潔なプロセス −USITマニュアルとUSIT適用事例− (2016. 5. 8)

中川 徹 (大阪学院大学名誉教授 & クレプス研究所代表)、第37回日本創造学会研究大会 2015、 2015年10月3日〜4日、 大阪経済大学(大阪市東淀川区) 
日本創造学会での一般発表(発表25分、討論5分)のスライド (HTML と PDF)とその予稿集の論文(HTML と PDF)です。 創造性や創造技法一般に関係した学会ですから、より広い観点から、TRIZやUSITに初心の人たちにも分かるように、と思って話しています。UISIT(ユーシット)を主題とし、それが「6箱方式」という新しい大事なパラダイムに基づくことを述べています。そのためにまず、「創造的な問題解決の方法論」の発展を、私の観点から整理して話しています。そしていまは、USITが単なる一技法ではなく、CrePS方法論を実践する簡潔な一貫プロセスであると位置付けています。その上で、この年に私が新しく整備した「USITマニュアル」と「USIT適用事例集」をベースにして、USITプロセスの適用法を詳しく話しています。論文ではいくつかの事例を説明しましたが、発表では時間の都合上、マニュアル中で詳しく説明している標準事例だけを話しています。英文ページは簡単な紹介だけです。なお、本発表の論文を後日推敲して、日本創造学会論文誌 Vol. 19(2015)で正式に発表しました (2016年3月刊)(今後掲載予定)。

 USIT/CrePS 学会発表:  USIT適用事例集 と 「6箱方式」 −創造的な問題解決の諸事例を新しいパラダイムで理解する−  (2016. 5. 8)

中川 徹 (大阪学院大学名誉教授 & クレプス研究所代表)、第11回日本TRIZシンポジウム2015 発表、 2015年9月3日〜 4日、 国立オリンピック記念青少年総合センター (東京都渋谷区) 
TRIZシンポジウムでの一般発表(発表20分、討論5分)で、TRIZ/USITについて学習・研究・実践している人たちに向けて、一年間の研究成果を分かりやすく報告しています。私の研究の流れ(TRIZ → USIT → CrePS) の意図を話し、現在の理解として、TRIZその他の沢山の創造性技法を統合する「6箱方式」の概念、その全体像「CrePS」、それを簡潔に説明するプロセスとしてのUSITについて話しています。この位置づけで、「USITマニュアル」を作り、それに対応した「USIT適用事例集」を作ったこと、そしてその事例の一つを説明しました。事例は、学部2年生のゼミでの「さまざまな筆記具(技術の発展のしかたを学ぶ)」という、TRIZ用語を使わずに、TRIZのエッセンスを学ぶ例を取り上げました。スライドは和文と英文が揃っています。

 社会問題: 論考: 「自由」 vs. 「愛」:人類文化を貫く主要矛盾 ―『下流老人』に対する人々の議論を踏まえ、その根底を考える―(2016. 4.21) (2016. 4.29)

中川 徹(大阪学院大学)、2016年 4月19日; 英文: 2016年 4月27日

私は、この半年間、藤田孝典著『下流老人』の本の論旨の「見える化」をしてきました。また、この本に対するAmazonサイトでのカストマーレビュー(読者の書評)82件を詳しく検討しました。多数の読者が高く評価している一方で、別に多数の読者が酷評しており、後者の方が(Web上では)より多く共感されています。「身勝手な人生を送って貧困になったような人も、当人の責任でなく、社会のせいにしている。社会保障へのタカリを薦めており、放置すれば国が破たんする。福祉は性善説だけでなく、性悪説も考慮しないと、世間は納得しない。解決策は市場経済と民主主義を否定するもので、非リアルである。」などです。これらの議論のずっと深くの根底に、社会的な思想や倫理の問題があると、私は考えました。その根底の問題を考察して、書きだしたのが、本稿です。主題は、「自由」と「愛」の葛藤(矛盾)です。「自由」は「競争」の世界を生み、「愛」は「助け合い」として現れます。「自由」も「愛」も非常に大事な人類の目標(指導原理)ですが、両者ともに矛盾をはらみ、両者の関係も矛盾を持っている。両者を発展させつつ、その矛盾を解決しようとしてきたのが、人類の文化であると、私は認識しました。新しい認識の概要はつぎのようです。

(1) 人類の文化は、「自由」を第一原理とし、その伸長を主要目標とします。各人が、自分で判断し、行動し、「生きる」ことです。 「自由」は、(自然的、社会的な)「競争」に「勝つ」ことを目指します。一人の「自由」と他者の「自由」とは、必然的に衝突します(矛盾します)。
(2) 人類の文化は、「愛」を第二原理とし、その普遍化を主要目標とします。各人が、その子を愛し、家族を愛し、隣人を愛して、「助ける、守る」ことです。 「愛」は、「自由」を自制して、「自由」同士の衝突を無くすことを目指します。「愛」は、自分の周りの「身内」を助け・守るために、「外」からの攻撃に対抗する性質があります。それは、「身内」を一つの社会的主体と考えると、一つ上のレベルでの「自由」と「競争」を出現させます。
(3) 人類の文化は、「自由」と「愛」という、しばしば対立する(矛盾する)二つの原理を、どのように両立させ、使い分けつつ発展させていくかを、問い続けてきました。「自由」 vs. 「愛」 を、本稿で、「人類文化の主要矛盾」と名付けました。
(4) この「自由」と「愛」との両方を包含して動機づけ、その間の調整を行う指針として人類文化が獲得してきたのは、「倫理」でしょう。平たく言えば、「人の道」、「良心」です。「倫理」の根幹部はすでにDNAに埋め込まれていると考えられますが、当たり前すぎて、明示することが難しい面があります。「基本的人権」の概念は、この「倫理」(の一部)が明確化されたものといえます。
(5) 人類は、その文化の歴史の全体を通して、この「自由」 と 「愛」 という「主要原理」の伸展と、「自由」 vs. 「愛」という「主要矛盾」の解決に取り組んできたといえます。その中で、いろいろな社会システムが作られ、文化が発展してきました。ただ、「主要矛盾の解決」という問題は一層複雑化し、困難を生じている面があります。
(6) 困難の原因の第一は、社会システムが多数で、多層で、大規模で、相互に複雑に絡み合っていて、各社会システムにおける、「自由」「愛」「倫理」のあり方を明確化し、世界的に理解を共有することができていないことです。原因の第二は、それらのあり方が明確にされ、(社会的な)「倫理」が明確にされても、多くの個人や社会組織が自己の利害(「自由」)を主張して、「倫理」に反する行動をとり、それが社会的「勝者」になることです。そして、そのような行動や組織が、(小さいものから大きなものまで)世界中の至る所にあり、それらが歴史的な積み重ねを持っていることです。
(7) これらの困難に対処する考え方を、後続の論考で考察したいと考えています。

本論考の要約版PDF(2頁) を作りました。(2016. 5. 9)

 案内: (中川の活動): 日本創造学会 第43回クリエイティブサロン(2016年 5月14日) 講演: 創造的な問題解決のための一般的な方法論(CrePS)(中川 徹) (2016. 4.21)

中川が2時間の講演をします(講演75分、討論45分の予定)。会員でなくても参加できますので、どうぞお気軽においでください。会場は澁谷駅すぐそば。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2016年3月、4月)  (2016. 4. 7) 「読者の声」一覧(2016. 4. 7)

[和文ページ] 小川禎一郎、中川 徹、片平彰裕、西山聖久、笹間史子
小川さんは「定年退職後も仕事をするのがよい、その仕事を見つける知恵が必要だ」と言います。中川は、札寄せツールの機能追加を提案し、片平さんが開発してくださっているところです。西山さんは米国でのTRIZCON2016に出席された由。笹間さんは、Amazon サイトでの『下流老人』のカストマーレビュー(中川)について感想を寄せてくださっています。

[英文ページ)]  Hugo Sanchez (Nicaragua), Toru Nakagawa, Tan Eng Hoo (Malaysia), Shahid S. A. Arshad (Australia), Luo Lingling (China)
Sanchezさんからは、札寄せツールの英語版の入手方法の問い合わせを受け、本サイトの英文ページを見直し、連絡しました。その1か月後に、「本の要約などに非常に便利に使っている。明快で簡単。沢山の用途に使えると思う」というメールをいただきました。片平さんのツールが海外でも使われる取り掛かりができました。中川がマレーシアのTan さんにメールし、「The Rising TRIZ Generation」の掲載について快諾をいただきました。Arshardさんから、『下流老人』のテーマは重要だから、まず本のきちんとした紹介のページを作るとよい、との意見をいただきました。その助言に従って新しい英文ページを作りましたところ、早速中国のLuoさんから「中国でも大事な問題になって来ている」とのメールをいただきました。

  TRIZ推進事例: マレーシアに湧き上がる TRIZ世代 (”The Rising TRIZ Generation" in Malaysia)  (掲載: 2016. 4. 7)

Malaysia TRIZ Innovation Association, Activity Report (by Tan Eng Hoo), Feb. 4, 2016
これは、マレーシアTRIZイノベーション協会(MyTRIZ)から、私(ほか多数)に2月に送られてきたものです。特に許可を得て、ここに再掲載します。「国際TRIZ協会資格認定テスト(レベル3)に、2015年度パイオニアクラスの31名が挑戦し、合格率100%を達成した」というのです。 若々しく、エネルギッシュで、きちんんと準備して、体系的な、素晴らしい活動です。 皆さんの目に触れやすいように、HTMLのページを作りました。より鮮明なものは、PDFファイルをご覧ください。

  TRIZ ニュース: 国内TRIZニュース :

- 日本TRIZ協会主催 「日本TRIZ協会5月セミナー」開催案内 (5月27日、東京)) (2016. 4. 7)

- 日本創造学会 第38回研究大会in沖縄  開催計画 (11月 5日- 6日、沖縄県名護市) (2016. 4. 7)

- 日本TRIZ協会  第12回 日本TRIZシンポジウム2016 開催計画 (9月1-2日、東京) (2016. 4. 7)

  TRIZ ニュース: 海外TRIZニュース :

- ETRIA TRIZ Future Conference 2016 開催計画。2016年10月24-27日、Wroclaw (ブロツワウ) (ポーランド) (2016. 4. 7)

昨年度の ETRIA TFC 2015の Proceedingsの全体が公表されました (2016. 4. 7)

- TRIZfest2016 開催計画 (2016年 7月28-30日、北京 (中国))  (掲載: 2016. 4. 7)

− ICSI 2016 開催計画。2016年7月20-22日、リスボン(ポルトガル) (掲載: 2016. 4. 7)

- マレーシア 活動報告(マレーシアTRIZ 協会): ”The Rising TRIZ Generation"   (掲載: 2016. 4. 7)

 編集者より: 「新着情報」のページが大きくなりすぎましたので、2013年掲載の記事を分離して、別ファイルに移動しました。(2016. 4. 7)

 社会問題: 『下流老人』(藤田孝典著)へのカストマーレビュー(中川 徹)と Amazonサイトの『下流老人』カストマーレビュー(82件)の考察 (2016. 3.30)  (2016. 4.29)

中川 徹(大阪学院大学)、2016年 3月25日

Amazonサイトでは、『下流老人』の本がベストセラーになっており、カストマーレビュー(読者からの書評)が82件寄せられ、高い評価のものと低い評価(星1)のものの両極に分かれ、議論が続いています。私はそれらを詳細に検討したうえで、自分でも「本書『下流老人』の論理を「見える化」した24頁の冊子を作りました」というタイトルで、カストマーレビューを投稿しました(3月30日)。そこでは、「見える化」資料を紹介した後、推奨するレビュー10件を挙げ、また別に15件を取り上げて、その主張の要点とわたしのコメントを簡単に書きました。
さらにこのページの後半では、これら25件のレビューの主要部分と私のコメントの詳細を、テーマ順に並べて記述しました。それはその本についてだけでなく、福祉に対する感じ方、老後の生活の貧困化の問題、日本の福祉政策の方向など、多くの論点を含んだ貴重な議論になっています。

 USIT/CrePS 講演:  基調講演: 6箱方式: 創造的な問題解決のための新しいパラダイム (2016. 3. 3)

中川 徹(大阪学院大学)、基調講演、The 6th International Conference on Systematic Innovation (ICSI2015), 2015年7月15-17日、香港科学技術大学、香港 
香港でのICSI 2015 (体系的革新国際会議)で、基調講演として、60分間講演したものです。この3日間の学会の第1日の午後に、3時間の「USITチュートリアル」をし、第2日の午前にこの基調講演をしています。そこで、USITの話は聴衆の多くが聞いているとして、それを簡単に復習しながら、もっと根本にある「6箱方式」をベースにした、「創造的な問題解決のための一般的な方法論(CrePS)」の考え方を中心に話しています。TRIZを知った1997年以来の私の考察の発展をきちんと位置付けた講演です。講演スライド47枚を英文PDF版で掲載し、その発表の筋書を英文ページにHTMLで掲載しています。

 USIT/CrePS 講演:  チュートリアル: USIT(統合的構造化発明思考法): 6箱方式の簡潔なプロセス (2016. 3. 3)

中川 徹(大阪学院大学)、チュートリアル、The 6th International Conference on Systematic Innovation (ICSI2015), 2015年7月15-17日、香港科学技術大学、香港 
香港でのICSI 2015 (体系的革新国際会議)で、チュートリアルとして、英語で3時間、講演したものです。(この準備として本ホームページに掲載済みの)「USITマニュアル」と「USIT適用事例集(5件)」とを使って、USITを初めての人たちに、丁寧に説明したものです。USITをきちんと学んでみるための、最も充実した資料になっています。英文ページには、スライド126枚のPDF資料を掲載し、その筋書の概要をHTMLで掲載しました。和文のスライドの作成は後回しにします(英文のスライドを見て構成を知り、後は、USITマニュアルとUSIT適用事例集を和文で読んでいただければよいかと思います)。

  TRIZ/USIT/CrePS 講演・論文:  創造的な問題解決の一般的な方法論: TRIZ/USIT/CrePS 中川の諸発表(2015年5月〜2016年3月)の解題 (2016. 3. 3; 5. 8; 5.31; 6.11; 6.27)

中川 徹(大阪学院大学)、TRIZホームページ(2015年5月)、 ICSI 2015 (2015年7月)、 日本TRIZシンポジウム(2015年9月)、 日本創造学会研究大会(2015年10月)、 ETRIA TFC 2015(2015年10月)、 日本創造学会論文誌(2016年3月)、 TRIZCON 2016 (2016年3月) 
本ホームページで、昨年7月以降いままで8か月間、私のもともとの主題である「創造的な問題解決の一般的な方法論」の関係の発表を掲載できていませんでした。実はこの間に5つの国際・国内学会で発表し、スライド、予稿集論文、論文誌論文などを、和文や英文で発表してきました。基本的に同じ主題ですが、それぞれに違った側面や違った表現で発表しています。これらを整理して、相互関係や資料を一覧表示し、発表の「解題」としているのが、このページです。これらの学会発表や論文をこれから順次本サイトで公表していく予定で、この「解題」が親ページの役割を持ちます。-- 上記に列挙しました学会等での発表のすべての和文・英文での掲載を6月20日に完了しました(2016. 6.27)。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2015年12月〜2016年2月)  (2016. 3. 3) 「読者の声」一覧(2016. 3. 3)

[和文ページ] 前川恒久、杉山茂樹、浅野智計、片平彰裕、小柳義夫、樋口健夫(アイデアマラソン研究所)、松原幸夫、福田千陽、中川 徹
貧困問題の「見える化」の図に応答下さったのが、前川さん、杉山さん、松原さん、福田さんです。片平さんは、新年早々に「札寄せ」ツールの改良版を公開くださいました。浅野さんは、地震予知の研究をされている若手の方です。小柳さんは、戸川隼人さんのご逝去の報に接してメールを下さいました(1975−80年に、最小二乗法標準プログラムSALSを開発したプロジェクトで親しくしていただいた方々です)。樋口さんは、「毎日考えて、書き留めると、発想力が身につく」というアイデアマラソン法を開発・普及されており、創造学会でのワークショップのフォローアップを熱心にして下さっています。この方法の実績は本当に目覚ましいものです。

[英文ページ)]  Joe Miller (USA), Shahid S. A. Arshad (Australia), Shireen Al - Jaouni (Jordan), Isak Bukhman (USA), Ravi Chandra Phani T (India), Vladimir Petrov (Israel), Tan Eng Hoo (Malaysia), Michael A. Orloff (Germany))
挨拶と短信を送ってきてくださったのが、Miller, Al-Jaouni, Bukhman, Orloffの皆さんです。貧困の問題が日本だけでないとして関心を持ってくださっているのが、Arshad, Ravi Chandra Phaniさんです。マレーシアのTan Eng Hooさんからの活動紹介は素晴らしいものです。TRIZのレベル3資格認証に挑んだグループが全員合格した活動を分かりやすく紹介してくれており、マレーシアの人々の若々しいエネルギーを感じます。

 社会問題: 「日本社会の貧困」を可視化しながら考える [A] 高齢者の貧困化 [1] 藤田孝典著『下流老人』の可視化とまとめ (中川 徹)  (2016. 1.28; 3. 6; 3.30)  (2016. 3.30))

社会的な問題を第一の関心事にしておられる読者の皆さんに向けて、ここに新しいシリーズを始めます。
藤田孝典さんの『下流老人』の本を、「見える化」した資料が完成しましたので、(著者からのメッセージも収録して)冊子(24頁)のPDFとして、公開します。著者は、「生活保護相当以下で暮らしている高齢者を「下流老人」と呼ぶと、現在6−7百万人が存在する。さらに、近年の非正規雇用の増大と収入低下により、現役層・若年層の貧困化が急激に進んでいて、近い将来、日本人のほとんどの老後生活がみじめなものになる危険がある。」と指摘しています。著者がNPO活動を通じて見ている個々の現状を記述し、そして個人、社会、政治をどうしていく必要があるのかを論じています。非常に深く、きちんと書いた本です。中川は、この本を精読し、その文意に沿って、論理的な関係を図的に表現しました。図は、個人で理解するにも、数人で議論するにも、役に立ちます。多くの方が、藤田さんの本を読み、「見える化」の図で考え、新しい行動に進まれることを願います。
本件の「見える化」資料(24頁)を印刷した冊子を作りました(非売品)。ご活用いただける方は中川までメールをください。(2016. 3.30)

「札寄せツール」を使って、「見える化」して考える方法について、いくつかの既存ページへの参照をつけて、説明を書きました。「札寄せツール」は、開発者片平彰裕さんのWebサイトから無償でダウンロードできます。英語版もあり。(2016. 3. 6)

英文ページに、社会問題を扱うページを作り、『下流老人』の本の紹介をしました。(今までの英文での記事をまとめ直したものです。) (2016. 3.30))

 フォーラム: 「札寄せ」しながら考える (13) 〜 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (8) 『下流老人』全体のまとめ) (2016. 1.28; 3.30)

中川 徹(大阪学院大学)、2016年 1月26日; 原典: 『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、 
藤田孝典さんの『下流老人』の本を、「見える化」した資料が完成しましたので、(著者からのメッセージも収録して)、冊子(24頁)のPDFとして、公開します。目次、この資料の趣旨原典「はじめに」を「見える化」した図原典最終章の提言のまとめ(中川による文章化)、をHTMLで読めるようにしました。「見える化」の図は、すべて縦置きにし、文字が大きくなるように再調整しました。 -- 上掲と同じページですが、こちらは、「TRIZホームページの従来からの積み上げの顔」、上掲は、社会的な問題で初めて入ってこられた読者のための顔です。

 ニュース: 米国TRIZCON2016 の開催計画:2016年3月3-5日、ルイジアナ州ニューオーリンズ。参加者募集中 (2016. 1. 9)

米国Altshuller Instituteの TRIZ Conference の詳細プログラムが発表された。基調講演(多数)、チュートリアル(多数)、および発表(多数)で構成された3日間のプログラムである。参加者募集中。なお、中川も発表予定。

 ご挨拶: 新年にあたって (中川 徹)  (2016. 1. 9)

新年あけましておめでとうございます。皆さまのご健康とご活躍を祈念し、今年もどうぞよろしくお願いいたします。 TRIZ関係以外の方にお出しした私の年賀状を添付いたします。[HTMLのページには、もう少し書いております。ご覧いただけますと幸いです。]

新年 おめでとうございます。
退職後も、「創造的な問題解決の方法」の研究と普及活動を続けています。「6箱方式」をパラダイムに導入して、一般化した方法論CrePS (クレプス)と、その簡潔なプロセスUSIT (ユーシット)を作り、適用事例をまとめてきました。 香港で招待講演をし、ベルリンで学会発表をしました。
これらの方法を、いままでの技術分野から、社会・人間の分野にも適用できるように努力中です。文章による論理を、より明確に「見える化」する方法を学び、実践しています。『下流老人』(藤田孝典著、朝日新書)の内容を「見える化」した図を、『TRIZホームページ』に連載しました。
75歳、運動不足ですが、お蔭さまでなんとか元気です。
皆さまのご健勝、ご活躍をお祈りいたします。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2016 年 元旦 中川 徹

 フォーラム: 「札寄せ」しながら考える (12) 〜 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (7) 政策の検討と提言 (完) (2016. 1. 9)

中川 徹(大阪学院大学)、2016年 1月 6日; 原典: 『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、第7章 一億総老後崩壊を防ぐために 
いよいよ最終章で、著者の個人としての提言をまとめて記述しています。札寄せの図では、「問題状況の認識・基本認識 → 検討・考察 → 提言」という著者の考察の過程を左から右への流れで表現し、また、提言自身の段階的・論理的な順番を上から下への流れとして、二次元的に表現しました。札寄せ図の詳細版(3頁)を作り、全体を一望できるように要約版(1頁)を作り、最後に、「まとめ」を文章化しました。
著者の提言は、(1) 国や政府が、日本に貧困が広がり、進行しつつあることを認め、格差是正や貧困対策を本格的に打ち出すことが、何よりも必要である。 (2) 基本的人権の理念のもとに、「貧困対策基本法」を法制化し、国民の貧困化を予防し、貧困から救済するための方策を、国家の重要戦略として建てる。 (3) 政府や自治体はまず、(下流老人に限らず)生活困窮者に対して、「生活保護で救済できる」ことをきちんと知らせ、保護申請に来るように誘導する。 (4) 生活保護制度を「扶助項目ごとに分解」して、社会手当の形で、もっと受給しやすくする。(旧来の)生活保護の一部分を扶助することにより、生活を成り立たせ、資産のすべてを失わなくてもよいようにする。 (5) 家賃の(一部)補助を進める。高齢者や低所得者が楽になり、若者が家庭を持ちやすい環境を作ることができ、少子化対策に有効である。(6) 国民年金保険料の減免措置があることを告知し、(無届の未納ではなく) 減免申請を薦める。(7) 国民年金制度に代わる新しい制度を構築し、すべての人に老後の生活を最低限(すなわち、憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」)保証しなればならない。(8) それは結局、生活保護制度の生活扶助に相当する。それならいっそ、国民年金制度を廃止し、(上記(4)で述べたような新しい) 生活保護制度の生活扶助に一元化するとよい。(9) 真に住みやすい社会を構築するために、何を選択し、何を訴えていくべきか?富の再配分(税制)についても、国民がともに考え、行動していくことが必要である。-- しっかりした提言であり、わたしも賛同します。
「見える化」図の要約版のHTMLとPDF、詳細版のHTMLとPDF、著者の提言を文章にまとめたもの(中川)、および中川の所感を掲載しました。また、親ページ、および本書全体の「見える化」図について要約版のPDF(全16頁)も参照ください。

 フォーラム: 「札寄せ」しながら考える(11) 〜 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (6) 自分でできる自己防衛策−対策と予防 (2016. 1. 9)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年12月30日; 原典: 『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、第6章 自分でできる自己防衛策 −どうすれば安らかな老後を迎えられるのか 
この第6章で著者はまず、下流老人の状況に陥ってしまった場合に、知っておくとよいこと、するとよいことを、整理して示しています。生活保護について正しく知ることがまず第一であり、生活保護の申請のしかた、受給の要件、支給される生活保護費の内容と額などを説明しています。無料あるいは低額で医療が受けられること、意識(気持ち)の持ち方についても述べています。 本章の特色は後半の、「予防編」(下流老人にならないための予防の方法)にあります。まず「貯蓄しておきなさい」というのは当たり前ですが、お金よりも大事なのは、老後の人間関係だといいます。「人に救けてもらいやすい人」とそうでない人があるといい、前者の人は、早めに人に相談でき、プラス思考の人だといいます。また、日ごろから人間関係を豊かに持ち、助け合いの「場」を持っておくのがよいといいます。本章の結論は印象的です:「貧困高齢者にも、幸せな人は沢山いる。人とのつながり、人間関係を豊かに持っている人たち。」
「見える化」した図の要約版をHTMLとPDFで、詳細版をPDFで掲載します。


 

2015年 掲載

 フォーラム: 「札寄せ」しながら考える (10) 〜 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (5) 制度疲労と無策が生む下流老人 -- 制度と政策の問題点 (2015.12.19)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年12月17日; 原典: 『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、第5章 制度疲労と無策が生む下流老人 -- 個人に依存する政府 
この第5章で著者は、社会福祉に関連する現在の制度と政策の問題点を検討しています。その観点を8つ挙げています。(1) 収入: 年金額が少ないが、それはもともと老後に家族扶助を受けられるものと想定していたからだ。核家族化と家族の分散により家族機能が低下して、年金制度の前提が崩れ、下流老人の問題を加速させた。(2) 貯蓄:近年の雇用の不安定、下がる給与と上がる物価で、現役・若者世代が貯蓄を作れず、将来下流老人が増加する。(3) 医療:下流老人が「医療難民」化して、孤立死が絶えない。病気の初期に治療することが、社会としても医療コストを抑える道だ。(4)介護保険:特別養護老人ホームなどをもっと増やすべきだし、介護と生活保護などを連携するべきだ。(5) 住宅:高齢者が住まいを失わないで済む政策を考えるべきだ。家賃負担を下げることが、大きな鍵になる。(6) 関係性: 行政の「申請主義」を見直し、高齢者を見守る地域ネットワークを作ることが大事。(7) 生活保護:生活保護基準を下げるべきでない。生活保護制度の使いづらさを改良すべきだ。(8) 労働環境:老後も働き続けなければ生活費を得ることが難しいのが現状。就労支援とともに、本来は高齢者が働かなくても生活できるようにする。(x) 「無料低額宿泊所」の実態が、下流老人を搾取する「貧困ビジネス」担っている。

原著者が本章の最初と最後に書いているまとめは、非常に明確です。
・ 下流老人を生み出しているのは、現在の社会システムであり、個人の能力不足や怠惰のせいではない。
・ 現在の「過度に経済優先、弱者切り捨て」の社会システムと政策を正さなければ、下流老人も日本の貧困問題も解決しない。
・ さらに、人間疎外(人権無視)にならされた、わたしたちの意識と感情を正す必要がある。
「見える化」した図の要約版をHTMLとPDFで、詳細版をPDFで掲載します。全章の要約版も参照ください。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2015年 9月、10月、11月、12月)  (2015.10.18;11.27; 12.19) 「読者の声」一覧( 2015.10.18; 11.27)

[和文ページ(2015.10.18)] 竹内 睦(新潟県在住)、片平彰裕、倉澤隆平、中川 徹
竹内さんは、稲の品種改良の仕事の忙しい合間を縫って、「オモダカ」という水田の雑草について自分がまとめた文章を札寄せした経験を書いてきてくださいました。片平さんの応答が参考になります。倉澤さんは、私の大学時代のYMCA寮での先輩で、地域医療に献身されてきた方です。「亜鉛欠乏症」が褥瘡 食欲不振 味覚障害など多様な症状の原因になっていることを見出し、その啓蒙に努めておられます。「見える化」に応答してメールをくださいました。

[和文ページ(2015.11.27)] 遠藤明宏、高原利生、片平彰裕、林 利弘、山内健(新潟大学)、長谷川陽一、中川 徹
遠藤さんは、「現役世代の方がもっと深刻」というので、下流老人問題を見直しています。高原さんとは、論文集の掲載準備に際して、「両立」をどう英訳し説明するかについて、中川とやりとりしました。札寄せ用具3.00版を片平さんが公開されました。林さんは、Matrix 2010の新しさを再認識して、古典的なマトリックスに執着する(国際的な)動きをやめさせる必要を述べています。山内さんはバイオTRIZデータベースの研究開発プロジェクトを(新潟大学と大阪大学で)始めています。長谷川さんは、高原論文集の解題を読んで、すごいことだと感じ、差異解消、弁証法の理解について、高原さんのアプローチに共感しています。皆さんのメールはいろいろ示唆に富み、感謝しています。

[和文ページ(2015.12.19)] 高山直彦、中川 徹、高原利生
下流老人の問題について、高山さんは「アリとキリギリス」の観点を述べています。中川は、「努力と自由競争」の社会規範だけでは、よい(幸せな)社会が作れない、基本的人権の保証と、「助け合い」が必要になる。「競争」と「助け合い」が矛盾しつつ共存することの理解が必要なのだろうと書きました。高原さんが、「競争と助け合い」というのは、「両立矛盾」(特に「一体型矛盾」)の例である、といいます。−こんな社会問題に、TRIZから発展した「矛盾」の理解が深く関係していることに、気づきました。

[英文ページ]  今回は読者からのメールは掲載していません。

[英文ページ (2015.11.27)]  Prof. Riitahuhta Asko (Finnland), Boon Yean (Malaysia), Alexandre Augusto (TRIZ Brasil, Brasil)
それぞれ短信を掲載しています。

  編集者より: The TRIZ Journal (『TRIZ ジャーナル』) の英文ページを作り、記事の一覧表を掲載し始めました  (2015.12.19; 2016. 1. 9; 3. 3)

 フォーラム: 「札寄せ」しながら考える (9) 〜 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (4) 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日 -- 意識と理解の問題 (2015.11.27)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年11月23日; 原典: 『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日 
本章で著者は、「下流老人の問題が(今まで述べたように) 深刻になって来ているのに、どうして何の対策も講じられていないのだろう?」と問題提起をしています。そして、その背景に、私たち国民の無理解/無自覚があり、それが下流老人たちに我慢を強いており、福祉行政の「言って来なければ助けない」というスタンスが状況を悪化させていると、指摘しています。著者が行っているNPOの生活保護者支援活動に対して、(励ましの意見もあるが) 多くの否定的、反対意見が寄せられてくるといい、それらの声に一つ一つ対応して論じています。
-- しっかりした議論ですが、関係者が複数あり、議論が輻輳しています。今回「見える化」をしてみて、この議論が私自身にもずっと明確になりました。「見える化」した図の要約版をHTMLとPDFで、詳細版をPDFで掲載します。

わたしたちは、「自立した生活をし、自立した豊かな生涯を送る」という社会的規範(道徳)を持ち、そのために、健康・教育・家庭・職業などあらゆることに努力し、忍耐もしてきています。そして、いろいろな要因で、経済的に自立した生活ができなくなった人の対して、「努力しなかったからだ」「自己責任だ」「援けてもらおうとするのは甘えだ」と考えることが多くあります。その意識が、下流老人など生活困窮者を蔑視し、社会の隅に追いやって、孤立化させてしまいます。
ここで著者は、「当事者個人個人を見るだけでなく、社会全体から見直すべきだ」といいます。資本主義・自由主義の競争社会では、富める者ができ、(相対的に)貧する者ができるのは宿命です。そのような社会をよりよくするために、世界の歴史は、より根本の規範として、「基本的人権」を認識したのです。日本国憲法では国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保証しています。それを実現するために、富を再分配するための税制があり、社会福祉制度がつくられています。だから、生活困窮者が、「健康で文化的な最低限度の生活」を営めるだけの援助を受けるのは、「甘え」ではなく「権利」なのです。国民全体にこのような意識改革が求められています。
日本の社会福祉制度は、国民に十分に知られていず、利用されていません。生活困窮者が利用している率(捕捉率)は、厚生労働省の調査でも15〜30%しかないのです。福祉制度のほとんどすべてが、「申請主義」になっており、「本人が言ってこなければ、教えない、援けない」という行政のスタンスになっているからだ、と著者は指摘しています。
福祉の財源は限られています。そして、下流老人や介護の問題だけでなく、現役層の雇用の不安定、就職難と非正規雇用の増大、シングルマザーの困窮、子どもたちの貧困など多くの問題が同時に生じています。これらの各領域ごとに要求があり、予算の奪い合いが起きています。これらの、「個別領域の視野での要求と(奪い合いの)議論は間違っている」と著者はいいます。多様な問題が相互に関連しているのだから、その全体を考えた解決策(政策)が必要で、そのための全体的な考察とシミュレーションをしていくべきだ、と著者は主張しています。著者の考察は次章に続きます。
--- 著者がいうとおりだと、わたしは思います。このように「輻輳した問題」を「見える化」して、多くの異なる立場の人たちが共に議論し、解決策を探せるような素材(全体像の図的表現)を作ることが、(TRIZ/CrePSの大事な応用として)いまわたしがしようとしていることです。

 基礎理論論文: 「弁証法論理と生き方」(ノート)(第三部) 「弁証法論理の応用展開 」 (2015.11.13)

高原利生、『TRIZホームページ』投稿論文、 受理: 2015年 8月10日、掲載: 2015年11月13日 
この第三部が、応用への展開を述べていて、高原さんの「差異解消の理論」の意義が明確になります。「差異解消」の原動力は、個人にあると考え、個人の中の世界観(価値観)、態度、認識のしかた、などを論じており、それらを人の「生き方」として考察しているのです。技術と制度の考え方、「差異解消」の方法の詳細な論理、そして人間の生き方、などのすべてが一つの枠組みの中で論じられているのです。驚くばかりの構想を持った新しく大きな「思想」になっています。

 基礎理論論文: 「弁証法論理と生き方」(ノート)(第二部) 「中川徹の6箱方式へのコメント 」 (2015.11.13)

高原利生、『TRIZホームページ』投稿論文、 受理: 2015年 8月10日、掲載: 2015年11月13日 
この第二部が、高原さんの「差異解消」の思考法(論理)の中核部の説明です。高原さんのいう「矛盾の状況確認」は問題を捉えることであり、「事実の矛盾」を明確にすることは、問題のある現在の状況を分析することです。そして「解の矛盾へ変換する」というのは、理想を考え、「解決した結果」を定式化することです。「解の矛盾の解を求める」とは、「解決した結果」を実現するための方法を求めることに相当します。高原さんはこのように独自に論理を積み上げてきたのですが、「気がついたら中川徹の6箱方式と同じことを言っていた」というのです。私の「TRIZのエッセンス(英語による50語の表現)」(2001年)と「6箱方式」(2005年)について、評価し採り入れてもらっているのは、嬉しいことです。(私は、きっと近い将来に、「USITオペレータ体系」も高原理論の中の重要な要素になることと期待しています。)そしてこのような「差異解消の思考法」の全体が、(拡張した)「弁証法論理」であると、高原さんは言います。

 基礎理論論文: 「弁証法論理と生き方」(ノート)(第一部) 「粒度、矛盾、網羅による弁証法論理」 (2015.11.13)

高原利生、『TRIZホームページ』投稿論文、 受理: 2015年 8月10日、掲載: 2015年11月13日 
高原利生さんの最新の三部作の第一のものです。「研究ノート」という名称ですが、今年初めから何回も推敲して、8月に最終的に提出された論文です。著者の最新の理解の全体を丁寧に記述したもので、合計55頁の力作を、読みやすさに配慮して三部に分割しました。
この第一部では、(ありたいことと現実の間の)「差異を解消する」(すなわち、非常に広義の問題解決)のための基礎理論を目指して、いままで構築してきた基本概念を体系的に記述しています。「もの」だけでなく、「認識できるすべてのもの」を「オブジェクト」と呼びます。一つの「オブジェクト]を定義するには、その範囲(何まで、どこまで、いつまで、どんな面、どんな内部構造/関係まで)を明確にする必要があることを強調して、その「範囲」のことを「粒度」と呼んでいます。オブジェクト間の(時間変化や機能/作用なども含めた)「関係」の記述を(広義に)「矛盾」と呼んでいます。「オブジェクト」も(その間の関係記述としての)「矛盾」も、複雑な入れ子構造を持ちますので、論理的な議論/考察のためには、(根源的な)「網羅思考」が必要だといいます。これらの基本概念を準備したうえで、(第二部で)「差異解消のための思考方法」を作り上げ、それを(拡張した)「弁証法論理」と呼んでいるのです。--随分と拡張した概念と新しい用語が出てきますが、少し慣れてくると、明快な論理になっていることが分かります。

 基礎理論論文: 高原利生論文集(第3集): 『差異解消の理論 (3) 弁証法論理と生き方』 (2013-2015)  (2015.11.13) (2015.11.16)

高原利生、論文9編。「論文解題」 2015年10月18日受理、2015年11月13日掲載。編集:中川 徹。 
高原利生さんが 2013年〜2015年の3年間に発表されたTRIZ関連の論文9編をすべてまとめて、高原さん自身による解題を掲載して、各論文 (HTMLページ/PDF版) へのリンクを張ったものです。これは、第1集(2003-2007年、論文14編)、第2集(2008-2012年、論文13編)に引き続くものです。
「差異解消」というのは高原さんの造語で、「ありたいこと、したいこと」と「現実」との違いを「差異 (Difference)」と呼び (「矛盾」よりも広い概念です)、この違いを認識して解消を目指すことが人間の活動の根幹にあり、それが目標設定、問題認識、設計、問題解決などさまざまな段階と活動形式を取ると考えています。テーマは、(広義の)「差異解消」のための基礎概念から、その方法の体系的な考察、そしてその応用という広範囲にわたっています。その考察の中心は、高原の「根源的網羅思考」をベースにした、「差異解消」の方法であり、その思考法を突き詰めていく中で、従来よりも拡張した「弁証法論理」を提唱しています。また、「差異解消」の原動力は、個人にあると考え、個人の中の世界観(価値観)、態度、認識のしかた、などを論じており、それらを人の「生き方」として考察しているのです。技術と制度の考え方、差異解消の方法の詳細な論理、そして人間の生き方、などのすべてが一つの枠組みの中で論じられている、驚くばかりの構想を持った新しく大きな「思想」です。
本年8月に受理しました「弁証法論理と生き方」(ノート)の三部作は、実に丁寧に体系的に高原さんの現在の理解を記述してありますが、読者の皆さんがそのような(論理)体系の用語を受容し、内容を理解するには、いままでのいくつかの高原論文を読み解いてみることが必要でしょう。それをするに値する重要な思想が構築されつつあると、私は確信しています。
英文ページには、論文リストと紹介(編集ノート、中川 徹)を掲載しました。

  出版案内: 『TRIZ 実践と効用』シリーズの製本版は Amazonサイト(マーケットプレイス)でだけ販売します (クレプス研究所 中川 徹) (2015.11.11; 11.18)

DLmarket社の体制変更に伴い、DLmarketサイトでは製本版の販売を停止し、ダウンロード版のみ引き続き販売します。
販売情報の一覧表を作りました(2015.11.18)

  TRIZホームページ(TRIZ Home Page in Japan) の 満17年にあたって (中川 徹) (2015.11.11)

本ホームページを創設して(11月1日で) 満17年になりました。TRIZの理解と普及のために、非営利の立場で情報の公開による紹介・発信・交流を進めることを目的としております。ボランティアで開始し編集しておりますが、個人のホームページではなく、読者の皆さんの寄稿を掲載する「公共サイト(Public Web site)」を目指しています。また、和文と英文の並行したページ作りに努力して、日本と海外との協力関係を作ることを目指してきました。世界の各国・地域に公共Webサイトを作り、グローバルで自律的なネットワークを作ろうと提唱しています。また、私自身は2012年来、TRIZ/USITをベースとしつつも他の諸方法を統合して、もっと普遍的に使える「創造的な問題解決・課題達成の一般的方法論 (CrePS)」を確立・普及させたいと考えています。適用対象範囲も広げていきたいと考え、社会的問題(特に日本社会の貧困の問題の「見える化」)に取り組み始めました。なお、2005年11月以降のvisit数は、(11.11現在) 和文トップページが 225,296 (この一年で約 13,000増)、英文トップページが 39,243 (この一年で約 2,500増) でした。昨年9月に4つの「入口ページ」を作り、いろいろな読者の方に親しみやすくしました。読者の皆さんのTRIZの理解と導入に本ホームページを活用いただけますと幸いです。ご寄稿をお待 ちしております。

 フォーラム:  「札寄せ」しながら考える (8) 〜 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (3) 誰もがなり得る下流老人−下流化のパターン  (2015.10.18)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年10月10日; 原典: 『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、第3章 誰もがなり得る下流老人−「普通」から「下流」への典型パターン 
原典の第3章では、まず現在の高齢者が下流化する典型的なパターンを5つ挙げている。(1) 病気や事故による高額な医療費の支払い、(2)高齢者介護施設に入居できない。これは介護保険で利用できる特別養護老人施設の数がまったく不足しているから。その不足の原因は、より収益性の高い高額な有料老人ホームに事業者が流れるからであるという。 (3) 子どもがワーキングプア(年収200万円以下)や引きこもりで親に寄り掛かる (若年世代の(貧困)問題が高齢者に影響を与えている例である)。(4) 増加する熟年離婚。(5) 認知症で周りに頼れる家族がいない。
さらに後半では、現役世代に焦点を当てて、その老後がもっと下流化リスクが高いという。平均年収が下がっており、老後に貰える年金がまったく足りず、さらに減る恐れがある。また、「昔の年収400万円と、いまの年収400万円では、意味合いが大きく違う」という。企業の福利厚生の多くがカットされており、特に非正規雇用の賃金が低く、労働条件が悪く、雇用が不安定であることが問題。勤労者の立場で、政府や企業にもっと要求するべきであるという。また、核家族化のため、高齢者が子供世代に頼ることができなくなっており、若者世代の未婚率の増加も将来の老後の下流化の危険を高めていると指摘している。
-- これらの指摘は、そのとおりであると思う。国民にまだ「一億総中流意識」が残っているのは危険なことであろう。真剣に解決策を考えていかなければならないと思う。
第3章を「見える化」したもの、HTML版とPDF版。また、本書の全体について、「見える化」した図を一つのPDFファイルにまとめて掲載し始めた

 論文:  Practice-Oriented Approach towards Ideative Problem Solving (Part 1) Analogy-Based Ideation in Applied Innovations.(2015. 9.30)

S. Saleem Arshad (Applied Innovations, Australia)、2015年9月25日受理。
Arshad氏からは、2009年以来、数編の論文/記事と、たびたびのメールをいただいている。今回の論文も、「発想的(創造的)問題解決のための実践指向アプローチ」がテーマで、その第1部として、類比ベースの発想について述べている。新しい真の発想を得るには、「Ideative energy (発想エネルギー)」を自分の(心・頭脳の)内部に蓄積する必要がある、というのは比喩として面白い。

 出版案内:  『新版矛盾マトリックス Matrix 2010 A2サイズシート 普及用販促セット』 の出版案内 『TRIZ 実践と効用』シリーズ (1A+)、(2A+) (2015. 9.30)

原著:Darrell Mann、 訳・作成: 中川 徹 (大阪学院大学)、発行: クレプス研究所
発明原理と矛盾マトリックスはTRIZで最もよく使われているツールです。しかし、多くの人が(多くの教科書で)使っているのは40年前に作られたものです。一方、最近20年間の特許を解析し、パソコンをフルに使って完全に作り直したのが、Darrell Mann の新版Matrix 2010です。ずっと使いやすく、ずっと適切な発明原理を推奨してきます。このたび著者に提案して、表記の廉価・販促セットを販売します。Mannの著書『(1A) 体系的技術革新』または『(2A) 新版矛盾マトリックス Matrix 2010』とセットにして、Matrix 2010 の便利なデータシート(A2サイズ、2枚3面)を、追加料金2500円/5組 (単価 500円相当) で購入いただけます(Amazonマーケットプレース)。TRIZ適用のプロジェクトで、またご自分の部署で、研究室のゼミで、ぜひご活用ください。

 フォーラム:  「札寄せ」しながら考える (7) 〜 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (2) 下流老人の現実: 事例と背景  (2015. 9.30)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 9月27日; 原典: 『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、第2章 下流老人の現実 
原典の第2章では、「想定外」で下流老人になった人たちの事例4件を具体的に紹介し、全体的な背景を簡単にまとめています。事例では、(A) (76歳男性) 飲食店で働いていたが、40才前に実家に戻り両親の介護を10年余、後に首都圏で介護の仕事をし、65歳退職。年金が9万円だけ、腰痛・糖尿などあり、貯金500万円を使い尽くして、野草で飢えをしのいでいた。(B) (78歳男性) 町工場で腕の良い金型工として定年まで働いた。給料は低かったが幸せだった。年金17万円、貯金あまり無し。長女が、中学のときのいじめが原因で、不登校。なんとか短大を卒業させたが、うつ病で一度も就業できず(48歳)。困窮に向かっている。(C) (69歳男性) 建設会社で事務職員としてずっと働いた(会社が厚生年金に入っていなかった)。生涯独身。62歳で退職、貯金と退職金で3000万円。年金なしだが、安泰と思った。自分の墓に900万円払った。心筋梗塞で2度倒れ、治療費が高額。貯金が完全に消えて、ネットカフェで生活。(D)銀行員としてずっと働いていたが、50代半ばで変調 (業務がうまくできなくなり、家庭でストレス爆発)。早期勧奨退職。退職金を飲食代に湯水のごとく使った。協議離婚。若年性認知症を発症していたことに本人も周りも気づかず、そのままで生活を続けてしまった。年金半額で12万円。老後資産等すべて散財してしまい、公園で路上生活。 -- これらの事例を、中川は「生活の質(安定性)の個人履歴」グラフで表現した。
第2章後半の著者のまとめは簡潔。「高齢者になると、現役の頃よりも所得が激減する、「年金で足りない分は働いて何とかする」が成り立たない。しかし、支出は思ったほど減らない。「想定外」で多額の支出が発生するリスクが増える。貯蓄が足りない高齢者世帯が多い。高齢者の貧困は進行し続けており、すでに多くの人が下流老人になり始めている。個別の対処でなく、社会問題として根本から対策を立てる必要がある。」-- すべて知らなかったことではない。だが、「根本から対策を立てる」ための動きは、社会のごくわずかにしか起こっていない。これからである。

 TRIZソフトウエア:  ソフト「札寄せ用具」を更新し、英語版を(評価用に)公開しました  (2015. 9.30; 10. 1; 2016. 3. 6)

片平 彰裕、中川 徹、 2015年 9月22日
論理を「見える化」して考えるための簡便な汎用ツール「札寄せ用具」の利用例は、海外からも好評でした。そこでこのたび、英語版(表示および説明を英訳)を作り、無償で(評価用に)公開しました。英文ページでは、札寄せの考えかtとともに、札寄せ用具野津会方について、説明をいsています。また、同時に日本語版にも改良を加えました(現在2.08版)。「第一考舎」サイト(片平彰裕)からダウンロードできます。
その後この半年、札寄せ用具をフルに使って、「日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化」のテーマで、「見える化」をここら見、考察をしてきました。「札寄せ用具」もその後少しずつ改良されていて、現在4.0.1版です。英語版も公開しています。(2016. 3. 6)

 ニュース: 米国TRIZCON2016 の開催計画:2016年3月3-5日、ルイジアナ州ニューオーリンズ。論文募集中 (2015. 9.30; 12.19)  

米国Altshuller Institute は、新会長の下で活動の活性化のためにいろいろな改革を始めている。数年ぶりにしっかりしたTRIZCONが開催されるものと期待される。発表申込(概要提出): 2015年10月15日、論文提出: 2016年1月15日。
TRIZCONから、プログラムと論文アブストラクトの、詳細なPreliminary Draftを受け取りました。Altshuller InstituteのHPにはまだ概要しか発表されていません。 楽しみなプログラムです。(2015.12.19)

 フォーラム:  「札寄せ」しながら考える (6) 〜 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (1) 下流老人とは何か  (2015. 9.17)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 9月10日; 原典: 『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、第1章 下流老人とは何か 
「札寄せ」の図二つを作りました。その第一は、「下流老人」の特徴3点を述べたものです。特徴1: 収入が著しく低い。生活保護基準(生活補助費+住居補助費)でいうと、首都圏に住む一人暮らしの高齢者の場合月約13万円(年約150万円)。国際的には、「相対的貧困」の概念があり、「統計上の所得の中央値の半分以下の所得しか得られない人」で、一人暮らしの場合年122万円で、生活保護基準とほぼ同等。住居、食事、医療などで、普通の家庭にあるべきものがないケースが増える。特徴2: 十分な貯金がない。収入が少ないと、貯金を取り崩した生活になるが、トラブルに見舞われるとたちまち破たんする。特徴3: 頼れる人間がいない(社会的孤立)。核家族化のために、周りに家族がいないことが普通になって来ている。これらの特徴は、すべてのセーフティネットを失い、憲法が保証する「健康で文化的な生活」ができなくなっている状態といえる。「下流老人」は現在、600〜700万人と推定されている。第二の図は、「下流老人の増加」は次の4つの悪影響があることを述べる。(1) 親(老人)世代と子ども世代が共倒れする。(2)長生きは幸せ、敬老などの価値観が崩壊する。(3) 若者・現役世代の消費が低迷し、経済が低迷する。(4) 少子化を加速させる。

 フォーラム:  「札寄せ」しながら考える (5) 〜 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (0) はじめに AND [全索引] (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8) (2015. 9.17; 9.30; 10.18; 11.27; 2016. 1.28; 3. 6)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 9月10日; 原典: 『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、朝日新聞出版、2015年 6月30日刊 
本ページは、上記『下流老人』(藤田孝典著)を原典に選び、高齢者の貧困化について、問題を把握するために「見える化」を試みたものです。その本文を抜書き・要約しつつ書き出し、私自身が理解するところに従って、「札寄せ」ツール(片平彰裕作成)を用いて、図示(「見える化」)しました。上記の本の詳細な読書ノートであると、ご理解下さい。これが初回ですので、途中段階をも記録・掲載して、作成法を例示しています。原著者は「日本に「下流老人」が大量に生まれており、「一億総老後崩壊」といった状況を生み出す危険性が今の日本にある。本書では、「生活保護基準相当で暮らす高齢者及びその恐れがある高齢者」を「下流老人」という。その実態や背景が驚くほど知られていない。本書でその全体像を伝え、多くの読者とともにその解決策を考えていきたい」と述べています。テーマと基本姿勢を述べた部分です。
原著者藤田孝典さんへの中川の挨拶メールと、藤田さんからの返信を掲載しました。(2015. 9.30)
各章ごとで仕上げた「見える化」図(簡略版、PDF)の全体をまとめたファイルを作りました。順次追加しd更新します。(2015.10.18)
英文ページを作り、各章の「見える化」の和文ページについての紹介文(英文サイトのトップページに書いた紹介文)を順次掲載していくことにしました。「見える化」の図そのものの英訳は困難ですので、当分できません。(2015.11.27)
その後約半年、この「日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化」というテーマで多数のページを掲載してきました。本ページは、それらのページの親ページの役割を持ち、目次とリンクなどの一覧を掲載しています。なお、2016. 1. 9に最終章、2016.1.28にまとめを掲載しました。「見える化」の図をまとめた冊子
(24頁)のPDF版を公開しています。(2016. 3. 6; 4. 7)

 フォーラム:  「札寄せ」しながら考える (4) 〜 日本社会の貧困を考える: 高齢者、現役、若者、子ども(索引ページ)  (2015. 9.17)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 9月10日
本ページは表題のように、非常に大きな、輻輳した、そして重要なテーマについて、しっかり腰を下ろして、考えつつ社会に寄与していきたいと思って始めるものです。これを始めるにあたって、バックにある思いを書いておきます。 (1) TRIZ/USITが技術分野を対象にし、焦点を絞って分析するアプローチであったが、社会から求められるCrePSは、もっと広い分野での、大きく輻輳した問題を扱える必要がある。そのための拡張を試みる。(2) 輻輳した問題を扱うには、問題を「見える化」することが有用であり、片平彰裕さんの「札寄せ」ツールの活用を試みる。(3)「現実の世界の問題」にもいろいろあるが、非技術で重要なこのテーマを選んだ。(4) 高齢者の貧困化の問題が取り掛かりであるが、それは、若年層の低所得、現役層の逼迫、子どもの貧困などが連動して、日本の将来に重大な影響を及ぼすだろうことが、明らかである。(5) 現在の日本の政治は貧しい。特に、安倍晋三政権の政治は、虚言に満ち、国民の意思に反している。しっかりした論理を積み上げつつ、日本の将来を良くしていくための言論と行動が求められている。---これらの思いを持って、しっかりした文献を選び、その「見える化」をしながら、輻輳した大きな問題の解決のための方法を考え、作り上げていきたいlと、考えております。ご意見、ご寄稿をお待ちします。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2015年 5月〜8月)  (2015. 9.17) 「読者の声」一覧( 2015. 9.17)

[和文ページ] 長谷川陽一(神奈川県在住)、中川 徹(大阪学院大学)
本ホームページの更新履歴に従って、読者の声を継時的に整理しています。6月26日付の更新案内のメルガマに書きました、USITの紹介(中川 徹)を収録しました。長谷川陽一さんからたびたびメールをいただき、TOC・リーンとTRIZ、CrePSの理解、TOCと「思考の世界」など、それぞれに深い論点があります。ありがとうございます。

[英文ページ]  中川 徹, Valeri Souchkov(オランダ)
SouchkovのWebサイトの、ビジネス分野のTRIZの紹介、TRIZ Glossaryは貴重です。TRIZのWebサイトをもっと活発に、魅力的に、分かりやすく、時代に対応していくにはどうする必要があるのか。Souchkovのコメントは貴重です。

 USIT/CrePS フォーラム:  「札寄せ」しながら考える(3) - Sickafusの「潜在意識問題解決」の論文を理解する  (2015. 8.25; 9.17); (2015. 9.17)

(A) 片平 彰裕、2015年8月12日。 (B) 中川 徹、2015年8月24日; (C) 中川 徹、2015年9月12日
片平さんの「札寄せ用具」および「札寄せ」法を活用して、「札寄せ」しながら考え、考えを図示する(見える化する)ことを、実際にやってみよう、その効果を見えるようにしよう、という試みのシリーズの第3のページです。
(A)まず片平さんが、最近のSickafus博士の論文「夢想ヒューリスティックスを用いた潜在意識問題解決」(和訳版)の全体を、各節ごとに(原文の文をすべてラベル化して)図示しました。自分の読書メモだということですが、大変な力作です。概要を画像で、本体の各節を小画像で掲載し、全体をPDF版で掲載します。
(B)中川は片平さんの概要の図解を見て、論理を明確にするには、ラベルを文単位からもう少し分けるとよいと考えました。そこで、論文概要の「札寄せ」図解を試み、途中経過を残して4段階で図示しました。この4段階を画像、PDF、EXCELファイルで掲載しました。Sickafus博士の論文の概要が、図によってずっと明確になったと思っています。
(C) 中川の図解(B)を英文にしました。また、最後の図解をより簡潔にして論理を明確化しました。(2015. 9.17)

  USIT論文Q&A:  質疑応答: USIT と OAF図式について (Sickafus の「夢想ヒューリスティックスを用いた潜在意識問題解決」に関連して) (2015. 8.25; 9.17)

Q: 中川 徹(大阪学院大学); A: Ed Sickafus (Ntelleck、米国)、Email 通信、2015年 6月27日〜 7月21日、『TRIZホームページ』掲載、(2015. 8.25)
Sickafus博士の表記論文に関連して、同博士との間に最近行った数往復の質疑応答のメールを収録いたします。メール15件の全文を英文ページに掲載し、和文ページではその概要一覧だけを掲載しました。特に、USIT における OAF図式について分かりやすい紹介記事を書いてほしいと私が要請し、Sickafus 博士がつぎのような4頁の紹介記事を書いてくださいました。
「USITを単一グラフ(OAF)のヒューリスティクスに統合する」(Ed Sickafus、2015年7月2日)   
そこには、OAF図式の定義と使い方を簡潔に説明したうえで、問題解決思考の基本原理を考えるというSickafus博士の研究モチーフが述べられています。またそのQ&Aもあります。
また、フォードにおけるSIT (構造化発明思考、後にUSITと改称)の開始年代について、1995年ではなく1985年であることが明らかになりました。同博士のUSIT教科書(1997年)や学会発表論文(1999年)で、1995年と記載したのはミスプリであったとのこと。USITの出発は、従来の理解よりも10年遡ることになりました。

Q&Aと討論(続): Ed Sickafus, 中川 徹、Shahid Saleem Arshad(豪); 2015年8月14日〜9月15日、掲載 2015. 9.17。
Sickafus博士の応答が再開され、いくつかの点がより明確になりました。Sickafus博士がトラブルがあったWebサイトをやめ、あらたにブログを整備しました edsickafus.wordpress.com 。Arshadのいくつもの質問とコメントが参考になります。このページは合計30編のメールを掲載しています。(2015. 9.17)

 TRIZフォーラム: 読者の声:  「札寄せ」しながら考える (2) 〜 (短い)文章全体を「札寄せ」で図示(見える化)する  (2015. 7. 29)

中川 徹、片平 彰裕、2015年7月26日
片平さんの「札寄せ用具」および「札寄せ」法を活用して、「札寄せ」しながら考え、考えを図示する(見える化する)ことを、実際にやってみよう、その効果を見えるようにしよう、という試みのシリーズの第2のページです。
今回、「比較的短い文について、自動的に札寄せの札にし、それを札寄せ法で分かりやすく表現する」方法を作り、その事例を作ってみせることを始めました。7月20日に中川が片平さんに提案&依頼をし、片平さんがその依頼に応じて(中川の提案メールそのものを題材にして)、文章から札への変換および札寄せによる図示をしてくださいました。本ページにはそれらの記録を本HTMLページで説明するとともに、逐次トレースできる形でExcelファイルで掲載しています。最初の手紙文と 後の方の図式を比較すると、作成者の返答・応答を書き加え整理するにつれて、論点が明確になっていくことがよくわかります。今後の実践例の蓄積の土台になるものです。

  USIT/CrePS 関連論文:  夢想ヒューリスティックスを用いた潜在意識問題解決 (2015.7.29) ; 英文掲載 (2015. 8.25)

Ed Sickafus (Ntelleck、米国)、 第5回体系的革新国際会議(ICSI2014)、基調講演、2014年 7月16-18日、San Jose、 CA、米国; International Journal of Systematic Innovation, Vol. 3(1) (2014); 高原利生・古謝秀明・中川 徹 共訳、2015年7月 1日、『TRIZホームページ』掲載、(2015.7.29)

本ページは、USIT(統合的構造化発明思考)法の開発者Ed Sickafus 博士が昨年発表した論文を和訳したものです。この10年ほど、Sickafus博士は、創造的なアイデアを得るための私たちの頭脳の働きを理解し活用することに焦点を置いてきたとのことです。2006年の日本での基調講演では、左脳的・論理的なやり方と右脳的・イメージ的なやり方との関係/協調について論じていました。本論文では、さらに、意識的な考察と、潜在意識による脳内処理との関係を考察しています。「あ、そうだ!」というアイデアは、すべて潜在意識からもたらされる。発明をするのは意識ではなく、潜在意識の方だ、といいます。そこで、意識から、潜在意識に適切に情報を渡すことが大事であるとし、わざと曖昧にした(概念を広くした)意識的考察により、潜在意識による発想(潜在意識に記録されている情報の無意識下における探索と結合)を豊かにしようと提案します。著者はそれを「Hazy Heuristics」と呼びました。Hazyとは、曖昧な、ぼんやりしたという意味です。和訳では、「曖昧」には否定的なニュアンスがあるので避け、「直感」ではあまりにも短時間での処理のイメージがあるので避けて、「夢想」という語を選びました。
われわれは問題解決の方法を学び・使えるようにするために、意識的に「構造化、論理化」することをしてきたが、それは人間同士のコミュニケーションのためであり、文化の形成と教育のためだ。各個人がそのような方法を一旦十分に習得すれば、自分の中では、もっと潜在意識を活用したこのようなショートカットを使ってよい(使うのがよい)、と薦めています。(古来から言われている、「形に入って、形から離れよ」という達人の境地です。)
-- なお、同博士と数往復の質疑応答をしました。後日訳出・掲載します。同博士がイスラエルのSIT法に接し、それを改良してUSITの研修をFordで始めたのは1985年である(USIT教科書などで1995年と書いたのはミスプリ)ことが判明しました。USITの歴史は、私たちの今までの理解よりも10年遡るとのこと。  ==> 質疑応答を掲載:  (2015. 8.25)

 TRIZフォーラム: 読者の声:  「札寄せ」しながら考える(1) 〜新幹線焼身自殺 [放火] 事件を例に  (2015. 7. 7; 7. 8; 7.19)

片平 彰裕、中川 徹。コメント: 長谷川陽一、日野克重、高山直彦
今年の1月に、片平彰裕さんの、Webサイト「第一考舎」と図で考えるツール「札寄せ用具」の紹介を掲載しました。私はその便利さに感銘を受け、いろいろな図を作って、例示してほしいと片平さんにお願いしました。本ページはそのメールのやりとりで得られたものを示します。 (1) 「札寄せ用具」の活用例の作成・公表の提案とお願い (中川)、 (2) 「札寄せ用具」の利用例 − 認知心理学の授業ノート (片平)、 (3) 「札寄せ用具」の改良版(2.0.6版)の公表 (片平、2015. 6. 5)、 (4) 「札寄せ」しながら考える-- 新幹線焼身自殺事件に思う (中川・片平、2015. 7. 7)。 皆さんもこの「札寄せ用具」を使ってご覧になりませんか? 具体的には、6月30日に起こった「新幹線焼身自殺 [放火] 事件」について、お考えになっていること(あるいは、各種の報道)をこの「札寄せ」という方法で表現してみていただけませんか?ショッキングな事件であり、現在の日本社会の問題が根底にあり、多面的に考えるべきことと思っております。ご寄稿いただけましたら、順次本サイトで紹介させていただきます。

長谷川陽一さんから貴重なコメントをいただきました。中川の記述の一部を修正いたします([ ]内) (中川、2015. 7. 8)
日野克重さんからコメント、高山直彦さんからこの事件の考察図式例を寄せていただき、片平さん、中川と有益な意見交換ができました。(2015. 7.19)

 TRIZニュース:  The TRIZ Journal (『TRIZ ジャーナル』) が復活し、新しい論文・記事の掲載を開始しました  (2015. 6.19)

TRIZ Journal (1996年創設)の資産を継承し、新たに電子ジャーナル/公共Webサイトとして、The TRIZ Journal が復活しました。米国のコンサル企業BMGIグループの運営です (編集長:Dr. Phil Samuel (BMGI), 運営: Derek Bennington (BMGI))。サイトのURLは(旧来と同じ) http://www.triz-journal.com/  。従来のアーカイブも従来どおり。
その編集方針は非常にオープンで、記事は常時寄稿を受け付け、著作権は著者が持つことにしています。多くの寄稿が期待され、TRIZの普及に重要な役割をするものと期待されます。日本の皆様も、ご寄稿ください、またご購読(無料)・ご活用下さい。
なお、中川の「CrePSのビジョン」の論文(ETRIA TFC 2013) が、巻頭に再掲載されました。鯉のぼりの写真も (2015. 6.19)。

 CrePS/USIT体系資料: USIT プロセスの全体資料 (索引) (「6箱方式」による創造的な問題解決の一貫プロセス) (2015. 5.25) (2015. 6.26)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 5月23日。英文ページ掲載: 2015年6月26日。
本ページは、USITプロセスの全体的な資料をまとめた索引ページです。USIT マニュアル、USITオペレータ体系、USIT 適用事例集、USIT主要参考文献から構成しています。この資料は、(上位にある)「創造的な問題解決・課題達成の一般的な方法論 (略称:CrePS)」の体系資料の一部をなすものです。 CrePSの特長は、「6箱方式」をその基本パラダイムとすることです。それは、(TRIZやUSITだけでなく)さまざまな方法を統合し、再整理したものとして位置づけられています。 その「6箱方式」のプロセスを、一般的、代表的な形で、簡潔に一貫して実施しようとしているのが、(現在の)USITです。

 CrePS/USIT体系資料: USIT適用事例集 (「6箱方式」による創造的な問題解決の一貫プロセス)  (2015. 5.25)、 (2015. 6.26)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 5月23日、英文ページ掲載: 2015年6月26日
今まで発表してきましたいろいろな適用事例を集めて、「USIT適用事例集」を作りました。一つ一つの事例を「USITマニュアル」に対応したプロセスで改めて記述し、全体として多様な応用を持った一貫プロセスとして理解できるようにしました。なお、さまざまな問題解決技法も、「6箱方式」による枠組み(の一部)で捉えることができますので、USIT以外の方法で作られた事例をも、ここでは「USIT適用事例」として記述しなおしております。ご了承ください。このページは適用事例集の索引ページとし、各適用事例は簡単な一覧表示にしています。各事例の詳細は、事例ごとに独立のHTMLページとし、先頭のスライド3枚(タイトルと出典、概要と意義、目次)と「6箱方式」によるまとめのスライド1枚を示し、スライド全体はPDFファイルで掲載しています。現在10編の適用事例を記述しましたが、今後も逐次追加していくつもりでおります。どうぞご活用ください。[英訳 5編を掲載(2015. 6.26)]

 USIT適用事例集: USIT適用事例 1. 裁縫で短くなった糸を止める方法  (2015. 5.25) (2015. 6.26)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 5月23日
本件は大阪学院大学の下田翼君の卒業研究をベースにした適用事例です。身近な簡単な問題で、USITによる問題解決の考えるプロセスをきちんと示しています。標準的な玉止めという方法でに針の機能の理解がエッセンスです。意外性もあり、深みもある事例で、子どもたちにも分かるよい事例です。私の愛用のもので、USIT適用事例集の第1にしました。

 USIT適用事例集: USIT適用事例 2. ホッチキスの針を潰れなくする問題  (2015. 5.25) (2015. 6.26)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 5月23日
本件は大阪学院大学の神谷和明君の卒業研究をベースにした適用事例です。紙が30枚を超えるとホッチキスの針が潰れるのは、ホッチキスの軸の部分のガタが原因でないかと思っていましたが、試しているうちに真の原因が別にあることに気がつきました。それを解決するのに、アルトシュラーの賢い小人たちの方法(SLP)を使いました。子どもたちにも分かる事例です。

 USIT適用事例集: USIT適用事例 3. 水洗トイレを節水化する問題  (2015. 5.25) (2015. 6.26)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 5月23日
本事例は、韓国のHong Suk Lee & Keong-Won Lee が2003年に発表したものをベースに記述しています。水洗トイレで、便を流すのに多量の水を必要とし、もっと節水できるとよい、と世界中の人が知っています。その原因が便器の後ろのS字型の管にあり、それは「邪魔」だけど、必要なものだからしかたがない、と思われてきました。「邪魔」という言葉を、TRIZでいう「物理的矛盾」という考えで明確にし、TRIZの時間的分離の方法で解決しました。要するに「管の途中は、通常は高くしていて、便を流すときには下がればよい。それには管を柔らかいもの(プラスチックなど)で作ればよい」という事です。「物理的矛盾」などというと難しそうですが、考える筋道を示せば、それこそ小学校5-6年の生徒でも解決策を言い出すことでしょう。「物理的矛盾とその解決法」を学ぶのに最良の事例です。

 USIT適用事例集: USIT適用事例 4. 額縁掛けの問題  (2015. 5.25)、 (2015. 6.26)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 5月23日
この事例は、最初に USITの開発者 Dr. Ed Sickafus が、高校生向けに話したものを拡張して、USIT教科書に一つの事例として記述しました。その後中川 が整理しなおしたUSIT教材にし、USITを教えながらその事例説明を改良してきました。現在の「6箱方式」でのUSITの教材としても、最も詳しく検討し、たびたび使っているものです。掛けた額縁が傾いてしますのを防ぐためにはどうすればよいのか、さまざまな工夫ができ、こどもたちにも分かる事例です。(適用事例としては、技術者・上級者にも役立つものにしていますが、子どもたちに話すときには、話し方を工夫する必要があるでしょう。)

 USIT適用事例集: USIT適用事例 5. 発泡樹脂シートの発泡倍率を増大させる  (2015. 5.25)  (2015. 6.26)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 5月23日
この事例は、1999年に、Dr. SickafusのUSIT 3日間トレーニングセミナーにおいて、中川が作成したものです。化学工学の技術的問題で、(アルトシュラーのSLP法を改良した)Particles法を使って問題解決をした点に特徴があります。今回、「6箱方式」でのUSITの教材にするにあたり、(もともとは使っていなかった)属性や機能の分析の項を追加しました。

 CrePS/USIT体系資料: USITマニュアル (「6箱方式」による創造的な問題解決の一貫プロセス) (2015. 5.25) (2015. 6.26)

中川 徹(大阪学院大学)、2015年 5月21日。英文ページ掲載: 2015年6月26日。
このたび、「USIT マニュアル」(USIT Manual)をスライド形式(31枚)で作成しました。やり方・考え方をプロセスを追って説明しています[英訳準備中]。 USITはもともと、「Unified Structured Inventive Thinking」として、Dr. Ed Sickafus が開発し(1995年)、中川らが日本で発展させてきたものです。USITとTRIZを統合し、さらに、「6箱方式」という新しいパラダイムを認識したことで、ここでいうUSITはさらに新しく一般的なものになっています。 「創造的な問題解決・課題達成の一般的な方法論 (略称:CrePS)」の特長は、「6箱方式」をその基本パラダイムとすることです。それは、(TRIZやUSITだけでなく)さまざまな方法を統合し、再整理したものとして位置づけられています。 その「6箱方式」のプロセスを、一般的、代表的な形で、簡潔に一貫して実施しようとしているのが、(現在の)USITです。別ページで掲載しています多数の「USIT適用事例」は、この「USITマニュアル」に対応させて記述しています。ご活用下さい。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2015年 1月〜4月)  (2015. 4.25) 「読者の声」一覧( 2015. 4.25)

[和文ページ] 齋藤 修((株)ケーヒン)、前川恒久(日本品質管理学会)、山口和也(MOST合同会社)、平山裕子(日本VE協会)、Bui Van Tao (ベトナム)、中川 徹(大阪学院大学)
USITを学び始めた齋藤さんから、額縁掛けの問題での図の細部が適切でないとの指摘あり。確かに少し不適切で、よく観察・考察して描く必要がある。ただし、Sickafusの教科書の解決策は、アイデア段階のものであり、さらに副次的な問題解決と改良が必要な段階である。山口和也さんは、地震予知研究において、一つの面からの情報で異常を判断して地震予知するのでなく、非常に多様な情報(例えば1万種類の情報)をマハロノビス-タグチの方法を使って処理・判断することを考えるとよい、それが可能だ、という。

[英文ページ]  Ellen Domb (米), Iuri Belski (豪), Ramu Iyer (米), Jim Harrington (米), Ron Fullbright (米), Alla Zsman (米), 中川 徹、Stephen Dourson (米), James Kowalick (米), George Draghici (ルーマニア), Ravi Phani (印), Nicoletta Locatelli ( ), Helena Navas (ポルトガル), Shahid Saleem Arshad (豪), Soo Ben Khoh (韓), Bui Van Tao (ベトナム), Zawiah Abdul Majid (マレーシア), 中川 徹
E. Dombは、世界各国のTRIZ組織を簡単にリストアップしている。I. Belskiは、世界各国の大学でのTRIZ教育の経験を(20数名に)照会してきた。中川も応答。J. Harringtonは、TRIZの効用を示す実証的なデータについて意見・情報を(AI関係者20余名に)求めた。A. Zusmanが応答。中川は、K.J. Uhrnerの論文を紹介した。J. Kowalickは、地震予知研究に関して、山口和也さんと同様のポイントを示唆した。桜の写真4葉(中川撮影)に、いくつもの短信あり。

編集者より:  「新着情報」のページから、2012年掲載分をアーカイブのページに移動しました (2015. 4.25)

出版案内:  『TRIZ 実践と効用』シリーズ:Amazonマーケットプレースにも、製本版(のみ)を出店 (2015. 4.25)

クレプス研究所(中川 徹)は、『TRIZ 実践と効用』シリーズの製本版(のみ)を、Amazonマーケットプレースでも購入いただけるようにしました。4巻(1A)(2A)(3)(4)のそれぞれの製本版のみを、定価+(Amazon既定の)送料259円で購入いただけます。クレプス研究所に在庫した新品を、ゆうメールなどでお届けします。DL版はAmazonには出品していません。詳しくは、出版案内のページの下部の説明をお読みください。DLmarketでの販売はいままでどおりです。

論文: 基礎理論:  世界構造の中の方法と粒度についてのノート   (2015. 4.12)

高原利生、FIT2013 (第12回情報科学技術フォーラム)、D-001、2013年9月4日、鳥取大学工学部(鳥取市)。
高原利生さんの力作を2年ぶりに掲載させていただきます。本論文は2年前の発表で、高原さんがずうっと追求してきておられるテーマ、「世界を統一的に捉え、人間の生き方の土台を理解する。そのための論理的な方法を作り上げる」ことについて、8頁の論文にきちんとまとめたものです。その論理の土台として、直接・間接に知覚できる「存在」(=「もの」と「観念])とその関係(=「相互関係」=「相互作用」=「運動」)を考え、技術・制度・個人を含む「世界」を記述するやり方を構築していっています。これらを考察・記述するに際して、根源的網羅的思考の方法(通常の「体系的思考」をさらに明確にしたもの)と矛盾の表現(通常の「問題」をさらに明確にしたもの)が必要であるとし、これらを含めて「弁証法」の論理を従来よりももっと拡張して捉えています。 これらの論理から、各人の「認識と行動」の土台になる、「判断のしかた」(考える範囲と解を出す方法)を考え、さらにその土台にある各人の「態度」についても、考察・記述しています。その考察の広さと深さは本当に驚くばかりです。 高原さんが論文に「TRIZという生き方?」というタイトルをつけられたのが、2009年のTRIZシンポジウムのときでした。私たちには何のことかまったく分かりませんでしたが、この論文でようやくその意図が分かるようになってきました。ほんとうにすごい構想です。論文のオリジナル版をPDFで、また(節見出しなどを微調整したものを)HTMLで掲載し、発表スライドをPDFと画像HTMLで掲載します。英文ページは、短い概要と中川による紹介です。全文の英訳を著者に薦めています。

TRIZ/USIT/CrePS 講演:  創造的な問題解決の方法論:TRIZ とその発展 〜技術革新のための科学的方法〜   (2015. 4.12)

中川 徹 (大阪学院大学)、 鳥取大学大学院医学専攻 革新的未来医療創造コース 「革新的未来医療創造特論」講義 (鳥取県米子市)、2015年 1月20日。
本稿は、表記のように1月20日に鳥取大学の医学の大学院に呼ばれて、90分の特別講義をしたときの資料です。「発明の方法」、「研究の進め方」、あるいは「問題を創造的に解決するための考える方法」について、きちんと書いています。特別な予備知識は要りません。医学に限らず、理科系一般が対象です。(1)まず、現在の科学技術が前提にしている考え方(「抽象化の4箱方式」)に限界があること、従来の「創造性の諸技法」が部分部分だけを見て全体を見失っていることを論じています。そして、(2)新しいアプローチとして、旧ソ連で開発されたTRIZ(トリーズ)、(3)それに影響を受けて米国で開発され日本で発展させたUSIT(ユーシット)を説明しています。(4)それらを土台にして、「6箱方式」という考え方が生まれ、それが「創造的な問題解決の一般的な方法論」(略称CrePS(クレプス))を構成したことを述べています。-- 私自身の18年間の理解の進展を、これらの4段階できちんと表現したものです。スライド57枚。HTML版 とPDF版。同時に、スライドを英訳して、HTML とPDF で掲載しました。

TRIZ フォーラム:  TRIZシンポジウム2014参加報告(中川)に全論文へのリンクをつけました   (2015. 3.27)

2014年9月11−12日に開催された第10回日本TRIZシンポジウムでは、多数の講演・発表があり、中川はその参加報告(Personal Report)を、11月27日に掲載しております。主催者の日本TRIZ協会は、そのホームページ上に、招待講演・受賞発表を11月19日に、また全一般発表を1月14日に、公開で掲載しました。また、本ホームページでは、合計9編の発表をこれまでに独立ページとして掲載しました。このたび、協会サイトの各論文のPDFファイルへのリンクと、本ホームページ掲載の関連論文ページへのリンクを、上記の参加報告中の論文紹介に追記しました。いろいろな発表への参照にご活用ください。

TRIZ 論文: 社会分野への適用:  Darrell L. Mann 提唱のビジネス・マネジメント系進化トレンドの適用方法と適用例 〜進化トレンドを TRIZ の世界から翻案してビジネスやマネジメントの日常に持ち込む〜 (2015. 3.27)

ビジネス・経営TRIZ研究分科会 (NPO法人 日本TRIZ協会): 池田理(ニコン)、伊沢久隆(ソニー)、何 暁磊(上海泰澤投資コンサルティング)、菊池史子(パイオニア)、森谷康雄(富士通アドバンストテクノロジ)、吉澤郁雄(産業能率大学))、第10回 日本TRIZシンポジウム、2014年 9月11日〜 12日、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
TRIZ協会のビジネス&マネジメント研究分科会では、昨年報告した「ヒット商品・サービス」システムの創出に、「進化トレンド」が有効であったことから、今回、「進化トレンド」をさらに便利にすることを目指したと言っています。活動は次の3つです。
(1)Darrell Mannの本の進化トレンドの、日本語での分かりやすい解説集を作った。
(2) ビジネス・マネジメントでよく用いられている他の技法(野中のSECIモデル、バランススコアカードの4つの視点(財務、顧客、業務プロセス、学習と成長)、SWOT(強み/弱み/機会/脅威)分析)との関連を明らかにした。
(3) 進化トレンドの適用実例を作った(「事業再編により使われなくなった技術を使って、新しい技術サービスのビジネスモデルを提案する」問題)。32の進化トレンドで、3C (顧客、自社、競合他社)を検討するのが、大いに有効であった、という。
本ページには、概要説明(A4 1枚)のHTML版発表スライドの画像HTML版を掲載します。スライドのPDF版はTRIZ協会ホームページにリンクします。英文ページは編集ノートと概要だけの簡単なものにしました。英文スライド(英訳:TRIZ協会)は、協会サイトのPDF版を参照ください。

TRIZ 論文: 社会分野への適用:  簡単なTRIZ的価値評価方法の提案 −高齢者の新しいライフスタイルの提案を例として(その1)― (2015. 3.27)

長谷川公彦、竹内 望、片岡敏光、永瀬徳美、鈴木 茂、正木敏明、石原弘嗣、西井貞男 (日本TRIZ協会・知財創造研究分科会)、第10回 日本TRIZシンポジウム、2014年 9月11日〜 12日、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
この発表は、数年にわたり継続的に活動してきたTRIZ協会の知財創造研究分科会が、今後の活動について「いつも気になっていること」というテーマで自由討論した結果生まれた、新しい活動テーマということです。テーマの目的を議論した結果、上位目的(ビジョン)として、「高齢者とその関係者が幸せな生活を送る」と設定し、目標(ゴール)として、「高齢者が自分の問題と他人の問題を解決する」としました。さらに具体的には、「定年を迎えた研究者・技術者が生きがいを持った生活を送りたい」という問題意識に対して、「自分のビジョンを実現する目的のために、自分の問題と他人の問題を解決する」という解決策を作り出していこうとしています。そのような「高齢者の新しいライフスタイル」を提案し、そのためのいろいろな考え方を整理し、実現のための環境を整える活動を提案していこうと考えています。-- 日本社会にとって、また高齢になりつつある多くの技術者、特にTRIZ実践者の多くにとって、大事なテーマであり、アプローチであると思います。今後の活動に期待します。
本ページには、概要説明(A4 2枚)のHTML版PDF版発表スライドの画像HTML版を掲載します。スライドのPDF版はTRIZ協会ホームページにリンクします。英文ページは編集ノートと概要だけの簡単なものにし、英文スライド(英訳:TRIZ協会)は、協会サイトのPDF版を参照ください。

TRIZ 論文: TRIZ適用拡大のための一法 〜TRIZが使いにくい商品への適用のために〜 (2015. 3.27)

井坂 義治(株式会社 アイデア)、第10回 日本TRIZシンポジウム、2014年 9月11日〜 12日、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
農林業用などの多くの作業機械の動力源として用いられている「汎用エンジン」などでは、基本的な要求が変わらないので、同じ商品がずっと何十年も提供されている。そこにはTRIZを適用する余地がないのか? この例では、ターゲットユーザである作業機メーカのエンジン選定責任者を納得させられる「売り文句」を見出す必要がある。そのために、いろいろな発想法を使って、「売り文句」になる機能・特徴を考える。そしてその後で、それを実現する方法をTRIZを使って創り出す。これをTRIZの問題解決の「テーマ決定」段階と位置付けている。 -- 地味だが重要な問題提起であり、具体例での考察を関係者間の問答形式で書いていて分かりやすい。優れた発表であると思います。
概要説明(A4 1枚)および発表スライドの画像HTML版を掲載します(PDF版はTRIZ協会ホームページにリンクします)。英文ページは紹介と概要だけの簡単なものにしました。英文スライド(英訳:TRIZ協会)は、協会サイトのPDF版を参照ください。

  TRIZ 論文: 実践の場でどのように初心者をTRIZへ導くか (2015. 3.27)

久永 滋 (株式会社デンソー)、第10回 日本TRIZシンポジウム、2014年 9月11日〜 12日、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
本稿は、昨年の日本TRIZシンポジウムで発表され、参加者投票で受賞したものです。
「デンソーでは、昨年のTRIZシンポでの発表のように、10年前からTRIZを導入し、「実践主義」で、幅広いテーマで、短時間(20時間以内)での適用を推進してきた。希望者のみで初心者が多い活動チームを、TRIZ推進者がリードする。この際、初心者のニーズと指向にマッチしたアプローチとツールを採用しないと、うまくいかないことが多い。そこで、従来事例250件を整理して、初心者の3つのニーズ(多くのアイデアがほしい、決定打を出したい、根本から見直したい) と、2つの指向(制約の外へ、制約の中で)を分類した。各カテゴリで、しばしば使う TRIZの方法でうまくいったものと、うまくいかなかったものを、初心者の指向から考察した。まとめとして、これらの3×2の場合での推奨する方法をまとめている。」-- 深い考察を持った発表です。この発表の結びで著者は、「TRIZ実践の成功は、技術的成果だけでなく技術者の満足度も深く関係する。それには、コンサルティングよりコーチングが効果的」と言っています。
和文ページでは、拡張概要と発表スライドをHTML版で掲載し、協会サイトのPDFにリンクしました。英文ページでは、シンポジウム後に著者の英訳を中川が推敲支援して、スライドをHTMLとPDFで掲載しました。

編集者より:  本サイト内の記事・ページの検索について (2015. 3.27)

中川 徹、2015年 3月23日
本『TRIZホームページ』内の記事・ページのキーワード検索のページ を2013年2月に作成・公開しました。これをさらにアクセスしやすくするために、各ページの最下部の「(サイト内)リンク表」中に、(薄茶色のセル)「サイト内検索」というリンクを設けました。ご活用下さい。なお、検索ページに今回追記しましたように、本ホームページで記事を探すには、次のような方法がありますので、使い分けてください。(a) トップページ (最近6か月以内の新着情報)、 (b) 4つの入口ページ (子どものための、学生・社会人のための、技術者のための、実践者のための、精選記事集(テーマ分類、紹介文つき))、 (c) 総合索引のページ(カテゴリ別にした全ページの一覧)、 (d) 新着情報の総覧(すべてのページを掲載順に網羅。書誌情報と紹介文つき)、 (e) なんらかの関連ページからのリンク、(f)サイト内検索のページ(任意のキーワード(複数可)で検索、日本語ページの検索と、英語ページの検索がある)。

  フォーラム: 地震予知研究論文:  発電設備における異常予兆の早期発見についての最新状況報告 (地震直前(30分)の異常現象を検知) (2015. 3. 7;  3.9)

吉岡 匠 (マド・プランニング)、河合洋明 (北海道工業大学)、 日本機械学会、第15回 動力・エネルギー技術シンポジウム - 動力エネルギーシステム部門20周年、次の20年への新展開 − C102、(2010年6月20日) )。『TRIZホームページ』掲載、2015年3月7日。
この論文は、吉岡教授のもともとの研究の意図と成果を述べたものです。火力や原子力などの発電所で、発電機を中心とした発電設備の運転状況をモニターし、設備や運転状況の異常をできるだけ速やかに検知して、保守や運転に役立てるためのソフトウエアを開発しています。電力技術者たちのノウハウを取り入れてデータを可視化し、それから推測する状況が実際の設備や運転の不具合/異常と対応していたかを検証してきています。そのデータに、地震の影響が明瞭に観測されたというのです。毎分のデータで、地震の横揺れによって発電機が瞬間的に飛び跳ね、地震後は(地震動ではなく)発電機の軸の納まりのずれのために無効電流が見られる。それ以外に、横揺れの約30分前から、データに異常が顕われ「発電機が唸っている」。その原因は、地震動ではなく、何らかの電磁気学的な要因と考えられる、といいます。この論文は、3.11の東日本大震災の約1年前に発表されており、発電機の運転をモニターすることで、地震を直前(この例では30分前)に予知できる可能性を明確に述べています。モニターシステムとその開発意図を理解し、地震予知研究に至る過程を理解できる論文です。HTMLとPDFで掲載しています。

  フォーラム: 地震予知研究の紹介:  電磁気学的な現象を手掛かりとする地震の短期(直前)予知の研究についての紹介: 吉岡匠教授(北海道科学大学)の研究を中心にして (2015. 3. 7; 3. 9; 3.27)

責任編集: 中川 徹(大阪学院大学 名誉教授)、『TRIZホームページ』掲載開始 2015年3月7日。
本『TRIZホームページ』としては例外的ですが、「地震予知研究」について、特に表題のように観点を絞って、これから長期にわたり論文や記事を紹介していこうと考えております。本ページはその親ページとして、私の編集意図を記しています。
(a) 地震の短期(あるいは直前)予知は、甚大な被害(特に人命被害)を軽減するために、渇望されていることです。(しかし、日本地震学会と政府は、地震の短期予知は(ほぼ)不可能であるとして、(東日本大震災の後に)短期予知研究を放棄縮小・回避しています。(推敲:2015. 3.27)
(b) 従来の地震学が短期予知不可能というのは、力学的な側面(変位、力、振動など)を主要な鍵と考えているからです。それなら、別の種類の信号を鍵にすればよい、電磁気学的な信号が一般的に優れている、とTRIZは教えます。
(c) 地震の電磁気学的な面は、研究されてきていますがまだまだ未知であり、「眉唾もの」と批判されることがあります。しかし、新しい現象の発見、新しい現象を検出・観測する方法の発明、新しい現象のメカニズムの解明、新しい現象から有意味な情報を抽出し活用する方法の発明、などはすべて、相互に刺激しあって開発でき進歩するものです。各側面の研究開発を行うべきだと考えます。
(d) 昨年、「日本地震予知学会」が設立され、短期予知研究、特に電磁気学的な面からの研究を推進しようとしています。
(e) 特に私は、吉岡匠教授の「発電機のオンライン監視システムが地震の前兆現象をキャッチしている」という研究を知り、まだあまり知られていませんが、有望・重要と判断しました。これを広く紹介して、その検証と開発の推進に寄与したいと考えました。
(f) フォーラムのこの親ページには、参照するとよい文献の紹介、本ホームページ掲載記事の索引、質問と討論の索引などを掲載していきます。
追記: 参照するとよい図書やホームページの情報を追加しました(2015. 3.27)

TRIZ 論文: 開発事例:  TRIZ&TM&シミュレーションによるコマの開発 〜全日本製造業コマ大戦への挑戦〜 (2015. 3. 7)

片桐朝彦(株式会社アイデア)、SWCN(Solid Works Club of Nagano)、第10回 日本TRIZシンポジウム、2014年 9月11日〜 12日、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
本稿は、昨年の日本TRIZシンポジウムで発表され、参加者投票で受賞したものです。 SWCNは、2007年に発足した非営利・個人参加の異業種交流のクラブです。「全日本製造業コマ大戦」は、2012年2月に第1回、2013年2月に第2回が開催されています。20mmφ以下の手回しコマというだけで、重さ、長さ、形、材質など一切制限なし。1対1の勝負で、より長く土俵上で回っている方が勝ち、2連勝で試合終了。著者らSWCNは、回すとパカッと3つに開いて回転する「ネコパンチ」と名付けたコマを開発し、第2回全国大会で準優勝したといいます。このテーマのようなまったく新しい課題に取り組んで、短期間で優れたものを開発するにはどうしたらよいか。本発表では、それに答えた例として、まずTRIZを使って、問題の明確化(要求の分析、機能と属性の分析、原因結果の分析)をし、問題の矛盾を列挙して、解決策のアイデア出しを (矛盾マトリックスと発明原理、および進化のトレンドを使って)しています。その後にタグチメソッドで最適なパラメータを求め、さらにシミュレーションで検証しました。--楽しく、また素晴らしい開発事例です。
拡張アブストラクトと発表スライドとを、HTMLのページにしています。スライドのPDFは日本TRIZ協会のサイトに公表されましたので、リンクを張りました。

  TRIZ ニュース: 国内TRIZニュース :

- 日本TRIZ協会 「シンポジウム・レビュー 討論会(企業編)」開催案内 (5月28日、東京) (2015. 4.25)

- 日本TRIZ協会  第11回日本TRIZシンポジウム 2015 計画 (9月 3-4日、東京)  (2015. 3. 7; 6.19)

会場は: 国立オリンピック記念青少年総合センター (東京都渋谷区代々木神園町)。プログラム一覧、全発表の概要を発表。参加者募集中

- 日本創造学会 第37回研究大会 開催計画 (10月 3- 4日、大阪) (2015. 3. 7)

  TRIZ ニュース: 海外TRIZニュース :

- 米国: TRIZCON2016 の開催計画を発表。2016年3月3-5日、ルイジアナ州ニューオーリンズ。 (2015. 4.25)

- 米国: Altshuller Institute 新会長に Dr. H. James Harrington。改革を模索中。TRIZCON2015を小規模に開催済み(2月)。 (2015. 3. 7)

- 韓国: Korea Global TRIZ Conference 2015 開催計画。 2015年7月7-9日、ソウル(2015. 3. 7; 6.19)
       韓国での最近のMERS感染拡大の事態を受けて、7月7−9日の開催予定を延期した。開催日は状況を見て後日決定する。との連絡を受けました。(2015. 6.19)

- ICSI 2015 開催計画。2015年7月15-17日、香港 (2015. 3. 7; 4.25; 6.19)

プログラム(初版)発表: 基調講演とチュートリアルに [一部変更]、Darrell Mann, 中川 徹、D. Daniel Sheu の3名。

- MATRIZ(国際TRIZ協会):TRIZfest2015 開催計画: 2015年 9月10-12日、ソウル(韓国) (2015. 3. 7)

- 欧州: ETRIA 国際会議 TFC 2015計画:  2015年10月26-29日、ベルリン(ドイツ) (2015. 3. 7)

  論文: 社会変革:  社会変革の一般的構造 (2015. 2.10)

安平哲太郎 (産業技術総合研究所)、情報知識学会誌 (2010) Vol.20, No.2 pp. 103-10。『TRIZホームページ』再掲載、2015年 2月10日。
本稿は、日本創造学会の会員である著者の「自主研究」の成果として、2010年に発表された論文です。著者から見せていただき、大事なものと判断して、情報知識学会の許可を得てここに再掲載いたします。TRIZの本質は「矛盾を解決することによって理想性に向かうように変革する」指向です。TRIZは技術分野からスタートし、ソフト分野、人間関係やビジネス・社会の分野にも展開してきています。本稿は、歴史的な「社会変革」を (当然のことですが)「社会の矛盾を解決する/した過程」として捉え、その過程を非常に一般的・概念的に明確にしようとしています。文章はやや難解ですが、論文末尾の図1に、全体過程の一般化した表現と、明治維新の過程を例示しており、その図は明快で多くの示唆に富みます。すでに定年退職された著者が、今後もライフワークとして発展させていく所信とのことです。

TRIZ 論文:  ユビキタスのためのTRIZ マーケティング - いつでも、どこでも、誰でも、TRIZ を利用できるように - (2015. 2.10)

粕谷茂 (ぷろえんじにあ)、第10回 日本TRIZシンポジウム、2014年 9月11日〜 12日、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
本稿は、昨年のTRIZシンポジウムで発表されたもので、私は、Personal Reportでつぎのように紹介し、推奨しました。
「研修やコンサルティングにおけるユーザの顕在的/潜在的なニーズに応えるための、さまざまな試行・技法・ツールなど10事例を発表している。40の発明原理のスマホ版(1画面/原理)、IT/ソフト分野のための40の発明原理(スマホ版)、他の諸技法をTRIZの技法と関連づけ/意味づけて捉える(オズボーンのチェックリスト、NM法、ホンダのワイガヤ、目的展開、QCストーリなど)。TRIZは高価なものではない、いつでも、どこでも、だれでも使えるようにと、発表者が努力している。-- 詳しくは、「ぷろえんじにあ」のWebサイトを参照するとよい。」
今回本サイトに掲載するにあたり、著者が発表のトークを書き起こして提供してくれましたので、スライド(画像)とその説明が並行した分かりやすい記事になっています。TRIZユーザのニーズに応えるための、いろいろな配慮と独自に作ってきたツールが大いに参考になります。スライドPDFは日本TRIZ協会のサイトに公表されましたので、そこにリンクを張りました。英文ページもスライドのHTMLページを作りました。

  Innovation 論文/解説、ソフトツール:  ソフト「札寄せ用具」と ウェブサイト「第一考舎」の紹介 (2015. 1. 18)

片平 彰裕、2014年12月28日。主として、ウェブサイト「第一考舎」(片平彰裕) からの抜粋:http://members3.jcom.home.ne.jp/dai1kousha/
ここで紹介されているのは、片平さん自作のExcelマクロを使ったソフトで、無償でダウンロードできます。Excelシート上で、いろいろな情報やアイデアを1行ずつに記述し、それらをワンクリックで、四角の「札」に変換できる。これらの「札」を自由自在に動かし、連結の線を描き、囲んでグループ化できる。得られた図を、PowerPointやWordで扱うこともでき、印刷もできる。また、図をワンクリックで通常のExcel文書に戻して、保存することができる。これを使って、模造紙とポストイットカードでやるのと同じようなことを、PC上でずっと便利にできる。個人でアイデアを書き出したり、思考を練ったりするのに使え、会議でも使える。--非常に簡便で有能な、ソフトです。
さらに、このソフトのバックにあるのは、考えを作り出す(「考作」)過程全体を考察し、そこで使われる/使うとよい諸方法を分かりやすく丁寧に説明した、片平さん自作のウェブサイト「第一考舎」です。その中で特に強調されているのが、上記のソフトを使った「札寄せ法」です。「札」をいろいろに動かして、視覚化して、脳を刺激するのだといいます。--実践してみるとよい方法であり、ソフトだと思います。
本ページには、ソフトの紹介HTML、サイトの内容紹介のHTML、および著者作成の紹介全文のPDFがあります。詳しくは、ソフトの無償ダウンロード、ウェブサイトを参照ください。英文ページに、ソフトの紹介(英訳:中川)を掲載しました。

 TRIZフォーラム: 読者の声 (2014年12月〜2015年 1月)  (2015. 1.18) 「読者の声」一覧( 2015. 1.18)

[和文ページ] 小林 晃(ブラザー工業)、片平彰裕、林 利弘 (元 日立製作所)、大隅 昇(元 統計数理研究所)、吉岡 匠(北海道科学大学)、岩谷 龍(岩谷国際特許事務所)、中川 徹(大阪学院大学)
TRIZの「物質-場分析と76の発明標準解」を学ぶに際して、イタリアのD. Russoらの最近の優れた論文を中川が推奨しています。片平さんとのやり取りは、別ページの記事として結実しました。林さんは、山口教授の「パラダイム破壊型イノベーション」の考えに共感し、日立製作所でのソフト開発でも同様の事例がいろいろあったと書いています。吉岡さんから、短期(1ヶ月以内程度)地震予知をめざした、「日本地震予知学会」が昨年発足したと知らせていただきました。「地震電磁気現象」が注目されており、吉岡さんの研究ではそれが随分と明確に検出されてきているようです。

[英文ページ]  Ellen Domb (米), Yury Danilovsky (韓国), Simon Dewulf (豪), Valeri Souchkov (蘭), TS Yeoh & Tan Eng Hoo (マレーシア), Atom Mirakyan (独), Richard Langevin (米), Sarimah Misman (マレーシア), 中川 徹 (応答)
Y. Danilovskyらが「システムの「短所」の認識から直接に解決策のヒントを提案する知識ベース」について学会発表したそうです。S. Dewulfは、3年ほど前にベルギーのCREAX社を他者に売って、オーストラリアに移住してAULIVE社を興しました。新しい会社で始めたユニークなソフト(世界の特許データベースを多様な角度から分析して、表示するソフト)を紹介しています。非常に低額で、かつ有用な情報を出してきます。マレーシアTRIZ協会から、年末の報告・挨拶があり、その活動の活発さと進展は目を瞠るものがあります。V. Souchkovから、MATRIZで作った「TRIZ用語集(Glossary)」の案内がありました。きちんとした和訳を作成できるとよいと思います。米国のAltshuller Instituteが、新会長にDr. H. James Harringtonを選出し、品質保証やイノベーションのいくつかの学会と連携しつつ活動する方針で、早速Innova-Conと合同で2月にTRIZCON2015を開催する計画とのことです。

TRIZ 論文:  SNマトリックスとTRIZの連携による 顧客ニーズの取り込み 〜7つのソリューションを繋げる機能ベースの展開〜 (2015. 1. 18)

緒方 隆司、藤川 一広、土屋浩幸 (オリンパス株式会社))、第10回 日本TRIZシンポジウム、2014年 9月11日〜 12日、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
本稿は、昨年のTRIZシンポジウムで発表され、「あなたにとって最も良かった発表」の参加者投票で受賞し、4年連続の受賞が大いに注目されたものです。私は、Personal Reportでつぎのように紹介しました。
「本発表が追及しているのは、自社の技術シーズ(S)をベースに、顧客のニーズ(N)に繋げること、特に顧客にとっての新しい魅力的品質を(技術開発により)提示し、潜在ニーズを引き出すような方法を作り上げることである。 その方法として、自社技術からの目的展開(どんな目的に使いたいのか(という願望))と、それを実現するための手段の展開を、「機能」の表現で一貫して記述する。その(階層的に表した)機能ごとに、機能達成レベル(目標と現状)、他社技術(レベルと内容)、顧客要求、優先度などを一覧表示し、それをSNマトリックスと呼んでいる。これらの表現法を使うと、やりたいことを膨らませて(戦略に沿った)シーズを発想し、そのシーズからニーズを引き出し、さらにそのニーズに合った機能の実現手段を発想することが容易になる。またこの機能による表現とSNマトリックスは、7つのカテゴリの問題解決プロセス(「ソリューション」)に共通して利用できる、という。-- 足が地に着いた、そして同時に理論的な骨組を持った、素晴らしい発表であると思う。」
本ページには、概要説明のHTML版とPDF版発表スライドの画像HTML版を掲載し、PDF版はTRIZ協会ホームページにリンクしました。英文ページ(著者による英訳版)も同様の構成です。

編集者より: ご挨拶: 新年にあたって   (掲載: 2015. 1. 8) 

中川 徹 (『TRIZホームページ』編集者、大阪学院大学名誉教授)、2015年 1月 5日
新年を迎え、皆さまのご健康とご活躍を祈念し、今年もどうぞよろしくお願いいたします。TRIZ関係以外の方にお出しした私の年賀状を添付いたします(TRIZ関連の方へはホームページとメルマガだけで失礼いたします)。アドリア海の旅行での写真を拡大して収録しました。安倍政権の少数の富裕層を優遇し国民の多くを貧しくさせている経済政策、憲法の平和主義を壊して行っている政治全般の危険さを思い、日本の民主主義の弱さを痛感しています。もっと国民生活に深くかかわる大きな諸問題を解決する活動が必要と思っています。そのために、私自身がするべきこととして、「創造的な問題解決の一般的な方法」を確立、普及させていくことが、大事なことと思います。私の今年のいくつかの目標を書きました。皆さまのご愛読とご支援をお願いいたします。

 TRIZ/USIT/CrePS 解説:  創造的な問題解決の一般的方法: 「6箱方式」 (2015. 1. 8; 4.12)

中川 徹 (大阪学院大学)、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校 第141回和田サロン 講話、2014年12月 1日 (横浜市鶴見区)
本稿は、横浜サイエンスフロンティア高校(略称YSFH)で、約12人の高校生有志(主に1年生)に話したものです。同校の常任スーパーアドバイザの和田昭允先生(東京大学名誉教授)に招かれて、「和田サロン」という授業外の教育・コミュニケーションの場で、自発的に集まった高校生たちに話しました。60分の枠内で、20枚(だけ)のスライドを使い、沢山の小演習(質問と討論)を交えて、創造的な問題解決の方法を説明しています。問題を創造的に解決するための考える方法について、「裁縫で針より短くなった糸を止める問題」の事例を使って、方法の全体像をできるだけ高校生に分かりやすく話しました。高校生、大学生、社会人、技術者へのやさしい入門資料として、お薦めします。[英訳は未完です(2015. 1. 8)]
スライドを英訳して、英文ページにHTMLとPDFで掲載しました。(2015. 4.12)

TRIZフォーラム: 読者の声:  『トリーズの発明原理40』(高木芳徳著)の出版にあたって (2015. 1. 8)

高木芳徳(ソニー)、2014年9月11日、10月2日;中川 徹(大阪学院大学),2014年 9月29日。
昨2014年8月に高木さんが、TRIZシンポジウムでの2回の発表をベースに、下記の本を出版されました。『トリーズ(TRIZ)の発明原理 あらゆる問題解決に使える[科学的]思考』 高木芳徳著、(株)ディスカヴァリー・トゥエンティワン、2014年8月30日刊。シンポジウムの際に、メッセージと共に私に寄贈くださいました。本体部分の構成、発明原理のまとめ方、一つ一つの原理の説明、例の取り上げ方、など 全体としても、細部についても 非常によく配慮されていて、素晴らしい本だと思います (その後、Amazon.co.jpで工学/発明・特許分野のベストセラーになっています)。本ホームページには、2回のTRIZシンポジウムでの発表と共に、(著者・出版社の承認を得て)この本の紹介(表紙とサンプルページ)を掲載しました。
ただ、その一方で、この本の先頭部分(本の帯、「はじめに」など)には、1990年代後半の、TRIZがまだなぞに満ちていた時代の日本でしばしば書かれた「ジャーナリスティックでセンセーショナルな」書き方を踏襲しており、その結果TRIZの歴史に関わるいくつもの間違い、誤解を生じていると思います。 その主要点を、(本サイト掲載の)参照記事(特に、「ロシア・ベラルーシ訪問記」(中川、1999年9月)、「アルトシュラー先生の思い出」(Phan Dung、2001年5月))を挙げつつ高木さんにメールで指摘しました。幸い、高木さんに趣旨を理解いただきました。この本を読む多くの人たちに誤解が広がらないよう、また、本『TRIZホームページ』の読者の皆さんに正しくご理解いただけるように、お願いします。

TRIZ 論文:  発明原理すごろく 〜TRIZ発明シンボル40 on 9画面〜 (2015. 1. 8; 1.9)

高木芳徳、第10回 日本TRIZシンポジウム、2014年 9月11日〜 12日、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
本稿は昨年の日本TRIZシンポジウム2014で発表されたものです。私は「Personal Report」でつぎのように紹介しました。「著者は一昨年に発明原理40を、手描き絵文字風にシンボル化して発表し、好評を得た。今回それらをより教えやすくするために、グループ化することを考え、基本的に初めから4個ずつ、最後を調整して9グループにした。グループ名をつけ、9画面に配置し、すごろくのようにたどる経路を作った。「無害化」グループ(原理21〜24)を例にして、その研修のしかた、活用のしかたを示している。-- 非常に分かりやすく有用である。活用のしかたも生き生きしている」。 本サイトでは、和文で、著者の概要(と内容説明)、スライドの画像HTML版 とPDF版を掲載しました。英文では、著者のスライド原文(機械翻訳のままで、シンポProceedingsに掲載したもの)を、中川が全面的に推敲し、主要スライドの画像HTML版 と全スライドのPDF版を掲載しました。  [訂正(2015. 1. 9、中川 徹): 和文HTML版のスライドがTRIZシンポ2012のものになっていました。訂正しました。]

TRIZ 論文:  発明原理40のシンボル化 (2015. 1. 8)

高木芳徳 (ソニー株式会社)、第8回 日本TRIZシンポジウム、2012年 9月 6日〜 8日、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
本稿は2012年の日本TRIZシンポジウムで発表されたものです。著者概要は:「TRIZにおいて40の発明原理は強力な基本要素であるが、数が多く番号だけで想起することは難しい。そこでメモの際の利便性も考えてこれを手描きシンボル化した。このことにより、40の発明原理を手軽に援用することが可能になった。その結果、矛盾マトリクスを連続的に利用したり、日常的にリバースTRIZを行いやすくなり、社内での特許創出支援(アイデアクリエータ)活動の生産性向上にも寄与した」。分かりやすく有効な方法と評価され、参加者による「あなたにとって最も良かった発表」の投票で受賞しています。本ホームページでは、著者による概要およびスライド全文を画像化してHTMLで掲載しました。英文では、概要だけを掲載し、スライド全文は日本TRIZ協会のサイトのPDFにリンクを張っています。

 

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最終更新日 : 2022.11.10    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp